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Costcoの最新決算見通し:成長と足元の消費動向

Costco (COST)は、インフレに疲れた消費者がホールセール型の小売モデルに注目する中、2024年度第1四半期の決算発表を控えています。既存店売上高の伸びや国際部門の堅調なパフォーマンスが期待される一方、不透明な消費環境の中で同社がどのように成長を維持するのか、その動向が注目されています。



直近期決算見通しと市場予測

Costcoの2024年度第1四半期(12月4日締め)について、市場予想は以下の通りです。

  • 調整後1株当たり利益(EPS):3.81ドル(昨年同期:3.58ドル)

  • 売上高:621.4億ドル(昨年同期:578億ドル)

  • 燃料を除く全社比較売上高成長率:6.26%(昨年同期:3.9%)

  • 米国既存店売上高成長率:6.14%(昨年同期:2.6%)

  • カナダ既存店売上高成長率:5.68%(昨年同期:8.2%)

  • その他国際部門既存店売上高成長率:7.08%(昨年同期:7.1%)

  • Eコマース成長率:14.1%(昨年同期:6.3%)

  • 会員費収入:11.7億ドル(昨年同期:10.8億ドル)

消費行動と集客動向

足元で注目されるのは、来店客数(フットトラフィック)の増加です。前年同期比約6.87%の伸びが見込まれ、Costcoはこれまでどおり多くの顧客を呼び込む力を維持すると期待されています。一方で、トランザクション成長率は若干の減速(▲0.40%)が予想されており、顧客1回当たりの購入量・金額の動きにも関心が集まります。

会員費値上げの影響

2024年度第1四半期には、9月1日に実施した会員費値上げの影響が本格的に反映されます。Gold Star会員費は5ドル値上げで65ドル、Executive会員費は10ドル値上げで130ドルとなりました。これは2017年以来初めての値上げであり、インフレ沈静化や消費者の購買力回復を待ってからの実施となりました。

前四半期時点で、この値上げは約5,200万件の会員アカウントに影響し、その半数以上がExecutive会員です。これにより会員費収入は前年同期比で高シングルから低ダブル桁成長が見込まれています。

さらに、入店時の会員カードチェックの徹底により、リアルタイムで来店者数を把握し、顧客に期限切れ更新を促すといった効果的なオペレーションが行われています。

Eコマース部門の好調

Eコマース部門は前年同期の6.3%増を上回る14.1%増の成長が見込まれています。前期は家電、タイヤ、おもちゃ、ギフトカード、食品、ヘルス&ビューティ関連商品、さらには金塊まで幅広い商品群がオンライン売上に貢献しました。

アナリストの見解

Telsey Advisory GroupのJoseph Feldman氏は、会員数の増加やExecutive会員へのアップグレード継続を評価しています。消費者がよりお得感を求める中、Costcoの提供価値やブランド力に支えられた会員基盤の拡大が業績を下支えすると見られています。

また、OppenheimerのRupesh Parikh氏は、Costcoを有力な「Top Pick」として位置付け、市場シェア拡大と堅調な売上の勢いが続くと予想しています。ギフトカードやプレミアムブランドへの積極的な取り組みが、さらなる総合力強化につながるとの見解も示されています。

投資家視点で捉えるポイント

安定した売上成長と会員ビジネスモデル

Costcoは顧客の「お得志向」に対応し、比較的インフレに強いビジネスモデルを有しています。会員収入は安定的なキャッシュフローを生み出し、収益基盤の強さを裏付けています。

強まる国際展開とEコマース戦略

Costcoは891拠点を有し、今後895拠点への拡大も予想されています。海外市場での持続的な成長余地が存在する一方、Eコマースの堅調な伸びは消費者行動の変化や利便性需要を的確に捉えた戦略といえるでしょう。


まとめ

Costcoは、厳しい消費環境下でも価値訴求力と堅実な会員ビジネスモデルを武器に成長を続ける見通しが示されています。国際事業やEコマースの拡大、そして会員費値上げによる収益改善など、多面的な戦略が収益基盤を強化しています。今後の決算は、消費行動変化、会員維持戦略、デジタル対応力などが改めて評価される場となりそうです。

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