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AT&Tの新たな成長戦略:5Gと光ファイバー拡大で投資家に40億ドル以上を還元

通信大手AT&Tが、今後の成長戦略を明らかにしました。5Gおよび光ファイバー技術を中心としたインフラ拡大を進め、3年間で株主に40億ドル以上を配当と自社株買いで還元する計画です。この記事では、AT&Tの最新の戦略について詳しく見ていきます。



主要な戦略ポイント

1. 5Gと光ファイバーへの注力

AT&Tは、2029年までに全米5000万地点に光ファイバーブロードバンドサービスを提供する計画を打ち出しました。そのうち、約4500万地点はAT&T自身が構築・所有するネットワークでカバーし、残りの500万地点はBlackRockとの共同事業「Gigapower」や商業的オープンアクセスプロバイダーを活用します。

現時点では2800万地点が光ファイバーでカバーされており、2023年末には2900万地点に拡大予定です。また、5Gネットワークについては、2026年末までに3億人以上をカバーする中帯域スペクトラムの展開を完了する計画です。この新しいネットワークは、超高速ダウンロードと次世代AI(GenAI)の基盤としての機能を備えています。

2. 財務の健全化

AT&Tは過去4年間で250億ドルの債務を返済し、ネット債務を調整後EBITDAの2.5倍以下に抑えることを目標としています。この目標は2025年の前半までに達成され、その後2027年まで維持される見通しです。

さらに、DirecTV事業からの撤退も進めています。2025年の前半には残りの70%の持分をTPGに約76億ドルで売却し、通信事業へのリソース集中を完了します。

3. 株主への還元

AT&Tは年間1.11ドルの配当を維持し、総額200億ドルに達する自社株買いを実施します。このうち、第一弾の100億ドルは2025年後半までに実施予定で、残りの100億ドルは2027年までに完了します。

総額400億ドル以上の還元計画は、2027年までに持続的な収益成長を見込んだものです。特に、2025年の1株当たり調整後利益(EPS)は1.97ドルから2.07ドルと予測され、2027年には2桁の成長率を達成する見込みです。


投資家視点で捉えるポイント

1. 持続可能な収益成長

2024年の無線サービス収益は前年比3%増、ブロードバンド収益は7%以上の増加が見込まれています。これらの成長により、2024年の調整後EBITDAは3%の増加が予想されます。

さらに、2025年のフリーキャッシュフローは160億ドル以上、2027年には年間1億ドルずつ増加し、180億ドル以上に達する計画です。このキャッシュフローの成長が配当と自社株買いの財源となります。

2. インフラ投資の規模

AT&Tは今後3年間で、毎年220億ドルの資本支出を計画しています。この資金は、5Gおよび光ファイバーのネットワーク拡張に集中投入されます。この規模の投資により、通信インフラの近代化が加速し、競争力がさらに高まることが期待されます。

3. 債務削減の進展

AT&Tのネット債務は現在2.92倍ですが、2025年には2.5倍以下に削減される見通しです。財務の健全化が進むことで、企業価値が向上し、投資リスクが低減します。


まとめ

AT&Tの新たな成長戦略は、5Gと光ファイバーという成長分野に重点を置き、収益性の高い顧客基盤の拡大と財務健全化を目指しています。同時に、400億ドル以上の株主還元を約束することで、投資家にとって魅力的な選択肢となるでしょう。

AT&Tの株価は今年すでに35%上昇しており、今後の成長と収益性の向上によりさらなる上昇が期待されます。通信業界における同社の動向に注目しつつ、投資を検討する価値がありそうです。

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