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米国GDP、2024年第4四半期は予想を下回る伸び
米国経済は第4四半期に予想を下回る成長率を示しました。今回は発表されたGDP成長率の詳細や背景、そして投資家目線でのポイントについて整理していきます。
第4四半期のGDP動向
第4四半期(2024年10月〜12月)の米国の実質GDP(国内総生産)は、年率換算で2.3%増となりました。これはブルームバーグ調査のエコノミスト予想(2.6%)を下回る結果であり、第3四半期の3.1%からも伸び率が鈍化しています。
消費と政府支出がプラス寄与
今回のGDP成長率を下支えしたのは、引き続き堅調な個人消費と政府支出でした。雇用や賃金の伸びが続き、株式や住宅価格の上昇による「資産効果」も消費意欲を後押ししたとみられています。
投資の減少が重荷に
一方で、企業の設備投資の減少や純輸出の伸び悩み、在庫の大幅な取り崩しが成長率の足を引っ張りました。ナショナルワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボストヤンシック氏によれば、「特に企業が在庫を引き下げたことが成長を抑制した要因となった」と指摘されています。
年間のGDP成長率
2024年通年でみると、米国経済は2.8%の成長を記録しました。これは2023年の2.9%からはわずかに減速したものの、2022年の2.5%は上回る水準です。
消費主導の継続
ボストヤンシック氏は「雇用と賃金の堅調推移、そして株価や住宅価格が高水準にあることで消費が強く、全体の経済成長をけん引している」と述べています。今後も消費がどの程度維持できるかが注目されます。
在庫調整の動向
在庫の取り崩しは2024年後半から顕著になってきていますが、これは一部で関税リスクを警戒した早めの在庫積み増しの動きが後に取り崩されているとも考えられます。早期の在庫調整が済むかどうかは、2025年初めの動向をチェックする上で重要なポイントとなりそうです。
インフレ指標:コアPCE
変動の大きい食品とエネルギーを除く「コアPCE(個人消費支出物価指数)」は第4四半期に2.5%上昇し、第3四半期の2.2%からやや加速しました。これは市場予想どおりの結果で、依然としてインフレ圧力が続いていることが示唆されます。
金融政策と市場の反応
2025年の金融政策をめぐり、市場関係者の注目が集まっています。米連邦準備制度理事会(FRB)は、水曜日の会合で政策金利を据え置き、「経済は引き続き強いが、インフレはやや高止まりしている」とコメントしました。
パウエル議長の発言
パウエル議長は記者会見で「今すぐ金融政策を調整する必要はない」と述べ、早期の利下げに慎重な姿勢を示しています。市場では、CME FedWatch Toolによると、6月までに利下げが行われる確率は50%を下回っています。
投資家視点で捉えるポイント
消費動向の維持
GDP成長を支えている個人消費が今後も安定して続くかは、投資家にとって重要な観点です。雇用と賃金の動向、さらに株価や住宅価格などの資産効果が継続するかを注視する必要があります。
在庫調整と企業投資
在庫積み増しの反動で在庫取り崩しが進む状況は短期的に成長率を押し下げる可能性があります。企業投資の停滞が続くのか、年明けの在庫調整の方向感を見極めたいところです。
金融政策の行方
FRBはインフレを注視しつつ政策金利を引き上げてきましたが、2025年に入って利下げへ向かうのか、あるいは現状維持を続けるのかが不透明感を与えています。今後の指標発表やFRB高官の発言、インフレ率の推移に注目が集まります。
まとめ
第4四半期の米国GDP成長率は2.3%と予想を下回り、企業投資の減少や在庫調整の影響が見られました。しかし、消費と政府支出が底堅く、年間成長率は2.8%と比較的良好な水準を維持しています。インフレ指標であるコアPCEは依然として2.5%の伸びを示し、FRBの金融政策の先行きにも注目が高まります。投資家としては、消費の持続力、企業の在庫調整や投資の行方、そしてFRBの政策判断を中心に経済の見通しを判断していくことが重要と言えそうです。