
「Stargate」AIプロジェクトで高まるテック株—注目ポイント
テック業界で大きな話題をさらったのが、トランプ前大統領による総額5,000億ドル規模のAIインフラプロジェクト「Stargate」の発表です。Nvidia(NVDA)をはじめとしたハイテク株の上昇や、巨大データセンターの構想など、一連のアクションは投資家にとって見逃せないニュースとなっています。
「Stargate」プロジェクトの概要
今回のプロジェクトは、ソフトバンク(SFTBY)やOpenAI、オラクル(ORCL)、UAE拠点のMGXなどが出資する新会社「Stargate」によって進められます。まずは1,000億ドルを投入し、今後4年で5,000億ドルに拡大する計画が示されました。
Nvidia、マイクロソフト(MSFT)、英国の半導体設計企業Arm(ARM)の3社が「初期の主要技術パートナー」に選ばれており、米国内に巨大なAI用データセンターを構築することが目的とされています。
背景にある米中対立
トランプ氏は今回の動きについて、「中国に対して米国がAI開発の優位性を保つことを目的とする」と言及しています。また、バイデン政権が先週、AIチップの対中輸出規制や米国内のデータセンター建設促進を狙った大統領令を連発したこともタイミング的に重なり、AI分野への大規模投資が進む土壌が整いつつあるとの見方が広がっています。
株式市場への影響
Nvidia(NVDA)の株価急伸
Nvidiaは今回の発表を受けて株価が4%以上上昇し、時価総額は3.6兆ドルに到達。Apple(AAPL)を押しのけ、再び世界最大の時価総額企業となりました。サーバー向け半導体需要の拡大が見込まれることが好感されているようです。
マイクロソフト(MSFT)、Arm(ARM)の躍進
マイクロソフトはおよそ4%上昇、Armは14%を超える伸びを見せました。オラクル(ORCL)は7%、ソフトバンク(SFTBY)も10%以上株価が上昇しており、AI需要拡大に関連する銘柄が軒並み買われる展開となっています。
サーバー関連企業にも波及
Nvidia製チップを搭載したサーバーを手掛けるデル(DELL)やSuper Micro Computer(SMCI)も4%程度上昇。データセンターの需要増加が見込まれることで、サーバー関連やインフラ関連企業にも買いが向かっています。
トランプ氏の狙いと「Stargate」の展望
トランプ氏は「Stargateが次世代AIの物理的・仮想的インフラを構築する。非常に大きなデータセンターで多くの雇用を生み出す」と述べています。実際に大規模プロジェクトの一環として、建設業を含めた幅広いセクターにプラスの影響が及ぶ可能性があります。
「Stargate」への批判とOpenAIの状況
一方で、イーロン・マスク氏は自身のSNS(X)上で「彼らには実際にはそんな資金はない」とOpenAIに対して疑念を示しました。OpenAIは2024年に50億ドルの損失を計上し、収益は37億ドルだったと報じられています。資金調達面での不透明感はありつつも、投資家の期待は依然高いままです。
投資家視点で捉えるポイント
米国と中国のAI覇権争い
Wedbush証券のアナリスト、ダン・アイブス氏は「これは中国とのハイステークス・ポーカーの一環」とコメント。バイデン政権やトランプ氏の動きからもわかる通り、AI分野での覇権争いは一段と激化しそうです。政治リスクや規制強化の動きは投資判断においても注意を要するポイントです。
大規模投資への期待と不確実性
「Stargate」は巨額投資が計画されており、関連銘柄へのインパクトは大きいと考えられます。一方で、OpenAIの財務状況に対する懸念や、プロジェクト全体の資金調達が実際にスムーズに進行するかどうかなど、不確実性も残っています。
インフラ関連銘柄にも注目
AI分野の大規模拡張に伴い、サーバー、データセンター建設、半導体、ソフトウェアなど、エコシステム全体が恩恵を受ける可能性があります。投資機会を探すうえでは、プロジェクトの進捗とあわせて関連する産業セクターの動きも追うとよいでしょう。
まとめ
米国内のAIインフラ構築を目指す「Stargate」プロジェクトは、Nvidiaをはじめとするハイテク株を大きく動かす要因となりました。中国とのAI覇権争いや、OpenAIの資金繰りなど不確実性はあるものの、5,000億ドルという巨額投資がもたらす影響力は無視できません。投資家としては、政治動向や市場の反応をしっかりと見極めながら、関連銘柄の動きや新たなチャンスを捉えていくことが重要になりそうです。