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エネルギー株が2025年序盤に好調スタート、天然ガスが存在感を示す

2025年の幕開けとともに、エネルギー株が市場全体を上回るパフォーマンスを見せています。石油や天然ガス価格が上向き傾向にある中で、S&P 500 Energy Sector (XLE) が年初来で2.8%上昇し、主要指数 (^GSPC) の0.6%上昇を大きく引き離している状況です。過去2年ほど低迷していたエネルギーセクターの展開に、投資家から再び注目が集まっています。



エネルギーセクターの動向

エネルギー株が反転の兆しを見せる一方で、背景にはどのような要因があるのでしょうか。ここでは、アナリストのコメントや市場指標をもとに、エネルギーセクターの現状を整理します。

2024年の停滞からの一転

BTIGのアナリストであるジョナサン・クリンスキー氏によると、「エネルギーセクターは2024年に3番目にパフォーマンスが悪いセクターだった」ということです。過去2年間もエネルギーセクターは市場全体を下回り、唯一のマイナスだったとされています。しかし、2025年の年初からは逆行高の様相を呈しており、市場では“ローテーションによる一時的な上昇”かどうかが注目点となっています。

天然ガスの存在感

クリンスキー氏は特に天然ガス関連企業を高く評価しています。具体的にはアンテロ・リソーシズ (AR)、EQTコーポレーション (EQT)、エキスパンド・エナジー (EXE) といった独立系天然ガス生産企業が「明確なリーダーシップを示している」と言及。天然ガス先物 (NG=F) もここ数ヶ月で上昇傾向を辿っており、寒波の影響や欧州向け輸出の増加、電力需要の拡大などが材料視されています。


天然ガス市場の拡張性

天然ガスは「2025年以降も需要が伸び続ける」という見方が一部で根強く、テクノロジー分野との連携を含め、エネルギー市場での存在感が増しているようです。

需要拡大の背景

トータス・キャピタルのシニアポートフォリオマネージャーであるロブ・サメル氏は、「2025年のエネルギーセクターは石油のバレル数より、天然ガスの需要にフォーカスが当たる」とコメント。IT分野の技術発展により、天然ガスはさまざまな形で活用の幅が広がっており、投資家からの注目度が高まっています。

石油需要もなお堅調

一方で、一部のウォール街アナリストは「原油供給の増加が価格に下押し圧力をかける可能性がある」と指摘していますが、短期的には需要の方が供給を上回る可能性が示唆されています。実際に年明けから原油価格は上向いており、WTI (CL=F) は1%ほど上昇してバレルあたり74ドル付近、ブレント (BZ=F) は77ドル付近を推移。12月初旬からはWTIが約10%、ブレントが約8%上昇している点が、市場のエネルギー需要の強さを示しています。


原油メジャーの動向

エネルギーセクター全体が上昇するなか、オイルメジャーの動きはやや異なる様相を見せています。

エクソンモービル(XOM)の株価推移

オイルメジャーの代表格であるエクソンモービル (XOM) は、2025年序盤のエネルギーラリーに乗り切れていないようです。年初来で株価は1%未満の下落にとどまっており、1月に入ってからの市場全体のエネルギー上昇トレンドには参加できていません。

収益見通しの下方修正

エクソンモービルは、第4四半期に精製マージンが落ち込んだことなどを理由に、収益見通しを下方修正。その一因には、原油価格の下落基調が重なったことが挙げられています。こうしたニュースは、一時的に株価の重しとなりましたが、業界全体としての需要は依然として底堅いと見る向きもあります。


投資家視点で捉えるポイント

エネルギーセクターが上昇傾向にあるとはいえ、すべての銘柄が足並みを揃えて上げているわけではありません。投資家として、どこに注目すればよいのでしょうか。

天然ガスセクターへの注目度

天然ガスは需要増の材料が多く、価格も安定しやすいと言われています。アンテロ・リソーシズやEQTコーポレーション、エキスパンド・エナジーのような独立系天然ガス生産企業への投資は、需要拡大シナリオを期待する投資家には魅力的な選択肢となりそうです。

原油価格の先行き

一方で、原油価格は依然として世界経済や地政学リスクに左右されやすい分野です。需要増が続くにせよ、供給過剰に転じれば、価格は下落する可能性もあります。ただ、足元では「世界的な寒波」や「中国の早期の旅行需要回復」などの要因が、需要を下支えしているとの見方もあります。

大手石油企業の個別要因

エクソンモービルのように、精製部門などの業績要因が直近の株価に影響する例もあるため、銘柄ごとに状況は異なります。投資の際は、企業の収益構造や原油・天然ガスの生産比率、財務状況などをしっかりと分析することが重要です。


まとめ

2025年のスタートは、エネルギーセクターが市場全体をリードする形となりました。天然ガス関連企業が目立つ一方、原油メジャーは個別要因に左右される動きも見られます。需要面での下支えがある一方、先行きは依然流動的な部分も残されています。投資家にとっては、企業の事業内容や収益構造に注目しながら、自身のポートフォリオに合わせた戦略を立てることが求められるでしょう。

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