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Jリーグの審判について

サッカーにおいて、誤審問題については従前から課題のひとつとして挙がってはいるものの、審判の技術向上は一向に進んでいないと言える。特にJリーグにおいては、この課題が顕著になっており、誤審問題がクローズアップされるケースが増えている。

更に追い打ちをかけるように、昨今のSNSの発達や視聴環境の充実により、審判が下すジャッジに関する様々な論評が増え、中には誹謗中傷を行う者も多く現れている。

それでは、現在のJリーグ審判に関しての考察を進めていこうと思うが、審判の詳細については、昨季プレーオフ決定戦の記事で紹介しているので、是非こちらをご覧頂きたい。

J1昇格プレーオフ決勝 東京V vs 清水 94分のジャッジについて|けっけ(365連休中の夢烏) (note.com)


【審判の現状】

Jリーグにおいては、2024シーズンにおいては61人の主審と100人の副審が登録されており、VARおよびAVARの有資格者のみが、VAR担当に割り当てられる。J1においては、1試合あたり、主審/副審(2人)/第4の審判/VAR/AVARの6人が割り当てられる。当然ながら、審判の割り当てに関する定義については一切非公開となっているので、根拠等は一切不明である。

上記審判のうち、主審の14人がプロフェッショナルレフェリーとして契約しており、8人が国際審判として登録されている(国際副審は11人)。

【国際主審とは】

国際大会の審判員として活動するには、FIFAに国際審判員の申請を行う必要がある。JFAは1級審判員の中から実績などを考慮し、FIFAに申請を行っている。

【プロフェッショナルレフェリーとは?】


プロフェッショナルレフェリーとは、「国内・国際大会において、安定して高いレベルのパフォーマンスを発揮するため」に導入された制度で、主審としては14人がJFAと契約。全国各地で講演会を実施するなど、審判レベル向上にも貢献しているとのこと。

プロフェッショナルレフェリー一覧

上記は、プロフェッショナルレフェリー14人の一覧となっている。既にレジェンド的な存在となっている西村雄一氏を筆頭に、Jリーグで実績のある審判が名を連ねている。

ここで不自然なデータがある事にお気づきかと思うが、御厨貴文氏と山下良美氏の担当試合の少なさが際立っている。山下良美氏に関しては、2024年に女子1級審判員制度が廃止(1級審判員に統合)された事があるにせよ、他のプロフェッショナルレフェリーと比べると、ひときわ経験が乏しい事が分かる。

【審判をサポートするシステム】

審判の補助を目的としてシステムとしては、VAR(Video Assistant Referee)が2021シーズンから導入(2020シーズンに開幕戦で試験導入)され、
手でテレビを描くジェスチャーが定着しつつある事もあり、既に市民権を得ていると言えよう。また、オフサイド判定に関しては、3Dオフサイドラインが導入されており、かなり高い水準で正しい判定ができる様になっている。
ただ、GLT(Goal Line Technology)については、設置時のコストが足かせとなっており、Jリーグでは未導入である。恐らく、今後も導入される可能性は低いと思われる。

【山下良美氏について】

私は常々、審判の地位を向上させる事に対するJFAの対応に怠慢があり、いまの体たらくはJFAの責任であると言ってきた。山下良美氏については、2015年頃にJFAの推薦により、国際主審となっている。ただ、その実績は乏しく、経験の無さがJリーグの試合のジャッジにも明確に表れていると言えよう。

山下良美氏がJリーグの笛を吹くようになってから2年が経過し、ポジショニング等々は改善の余地が見られるようになってきたものの、全体的にはJリーグで笛を吹くには経験的に乏しいところがある。経験を積ませる事には当然ながら賛成であるが、昇格・残留や、優勝などが懸かった重要な試合への割り当ては絶対に避けるべきである。

そのような中で、山下良美氏に対して降格を求める署名活動を行ったり、ひとつひとつのジャッジに対する「粗探し」など、山下良美氏を巡るネット上での批判が止まらない。審判に対しては、JFAの審判委員会は数多くある試合の判断間違いを洗い出し、適切な対応をするように助言している。中には割り当て禁止の処分だったり、あまりに悪質の場合は、降格となる場合もある。ただ、余程の事がない限り、1級から2級に降格するなんてありえないし、降格の署名だなんて、ハッキリ言って愚の骨頂である。

全国の審判登録者数

上記の図は、全国の審判登録者数であるが、女子1級は2024年に1級に統合されているので、いまは存在しない。審判は、3級までは本人の努力で何とかなるが、2級に上がるのは滅茶苦茶大変。本人の努力だけだと、絶対に2級に上がれない。2級に上がる為なら、各都道府県のサッカー協会の御眼鏡にかなわないとならない。こう書くと、「枕営業のおかげ」とか言い出す輩もいるが・・・・・。

【さいごに】

審判だって人間。ヒューマンエラーはたくさんあるし、補完するためのテクノロジーだって数多く導入されている。JFAの審判委員会も黙っている訳ではなく、ブリーフィングを行い、適切な対応を取っている。それでも対応に不満があるように感じるのは、審判それぞれの能力(コミュニケーション、ポジショニング等々)や、個々の主観性も起因しているとも言えよう。

審判個々の能力を批判しても始まらない。割り当てなど、実際に審判派遣に対する責任を負っているのはJFAである。

山下良美氏に限らず、審判個人に対する人格攻撃などの過度な批判や誹謗中傷は、絶対に止めてほしい。心からそう願う。


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