2024シーズン 前半戦を終えて
16年ぶりにJ1に昇格し、早くも前半戦を終了。多くの有力紙記者が降格候補に挙げるという下馬評を覆す戦いをみせ、6勝4敗9分け、勝ち点27の10位で折り返した。潤沢とはとても言えない予算でJ1を戦っている東京ヴェルディとしては、及第点以上の結果を残していると言えよう。
観客動員数の大幅増加
観客動員数は、ホーム開催10試合を終えたところで、1試合平均約20,976人と2万人を超えている。あまり比較にはならないかも知れないが、昨季の平均観客動員数が約7,982人だったことを考えると、倍以上に増えている。まさにJ1昇格効果が出ていると言えよう。平日開催となった2試合でも、1試合あたり1万人を超えているのは、驚きでもある。
特にグッズショップの盛況ぶりは、目を見張るものがある。グッズ収入についても、今季はかなりの数字を残せるのではないだろうか。昨季まで苦戦した導線についても、今季は大きなトラブルは見られない。着実に「J1仕様」へと変化を遂げているのがよくわかる。
前半戦19試合を、ひとことで言うと・・・
前半戦の19試合は、開幕戦となった国立での横浜F・マリノス戦からいろいろな事があった。各試合について書くと長くなるので、ひとことに絞って表現しようと思う。
第1節(H●1-2 横浜FM) J1の洗礼を浴びる
第2節(A△1-1 浦和) J1でやれる可能性を感じる
第3節(A●1-2 C大阪) これがJ1の力か
第4節(H△2-2 新潟) これはイケるのでは??
第5節(H△2-2 京都) これはイケるぞ?
第6節(A〇2-1 湘南) 記念すべき久々のJ1勝利
第7節(H△1-1 柏) まだまだここから
第8節(H△2-2 煽垢) HT中に僕が浮足立ったから「負けた」
第9節(A△0-0 川崎F) どうした風呂屋
第10節(H△0-0 福岡) まずは目指すべきポジションは福岡
第11節(A〇2-0 鳥栖) 快勝!そして優安初ゴール!
第12節(H〇3-2 磐田) 過去を清算する勝利 さらばJ2
第13節(A△3-3 鹿島) 諦めは最大の敵
第14節(H△0-0 G大阪) 今までのガンバでは無かったな
第15節(A●0-5 町田) 記憶にございません
第16節(A〇1-0 神戸) アウェイ神戸での勝ち点3、素晴らしい
第17節(H〇5-3 札幌) 集中を切らさないこと
第18節(A●1-4 広島) ACLを目指すには・・・
第19節(H〇1-0 名古屋) 昨季前半を思い出す、集中力の勝利
数字でみる前半戦
それでは、前半戦を終えた時点での全選手の活躍ぶりについて、数値化してみよう。
チームで全試合フル出場しているのはマテウスのみ。全試合出場は齋藤のみとなっている。出場時間においてグルーピングをすると、このような結果となった。(数字は得点/アシスト)
【50%以上:12人】※うち、新加入選手は翁長/見木/木村
GK:マテウス
DF:谷口(1G)/林/宮原(1A)/千田/翁長(2G1A)
MF:森田(3A)/齋藤(1G3A)/見木(3G1A)/稲見
FW:染野(6G)/木村(9G1A)
【25%~50%:5人】※うち、新加入選手は袴田/山田楓喜/山見
DF:深澤/袴田
MF:山田楓喜(3G)/綱島
FW:山見(1G3A)
【0.1%~25%:8人】※うち、新加入選手は山田裕翔/チアゴ・アウベス/食野/松橋
DF:平/山越/山田裕翔
MF:チアゴ・アウベス/食野
FW:河村慶人/山田剛綺/松橋(1G)
【0%:12人】※うち、新加入選手は中村/河村匠/永井/山本/古川/白井
GK:長沢/佐藤久弥/中村
DF:河村匠
MF:永井/山本/熊取谷/新井
FW:古川/白井/川村楽人/仲山
昨季のチームをベースに戦い方をバージョンアップさせながら勝ち点を稼いでいると言う事ができよう。ただ、負傷の影響等があるにせよ、出場時間25%以上の選手が17人というのは、心許ない。また、今季出場ゼロの選手がGKを除いても9人いるというところも、チーム力の底上げがうまく進んでいないという証左となっている。夏の移籍市場では、出場時間25%以下の選手を中心に、多かれ少なかれ選手のIN/OUTは起こるであろう。
夏の移籍市場での動きは?
注目される夏の移籍市場だが、やみくもに点の取れる選手を獲ったり、有名選手を獲るという事はヴェルディではしないという事は皆さんご存じの通り。守備を含めて多くのタスクをこなせる選手でないとヴェルディでは活躍できないという事は、昨季のマリオ・エンゲルス等で証明済みである。
主な補強ポイントとしては、以下が挙げられるであろう。因みに実際には既に37人の登録選手がおるものの、ホームグロウン選手が7選手おり、A契約の制限としては、現状は問題ないものと思われる。
・染野、木村に次ぐ第三のFW
出場時間2位・3位の選手であり、依存度が非常に高く、なかなか代えの利かない選手である事は周知のとおり。同様のタスクをこなせる選手は数少ないが、日本人の中堅選手を中心に、最優先で補強すべきポイント。個人名を挙げると、山村和也(横浜FM)、杉本健勇(大宮)。
・打開力のあるサイドアタッカー/ゲームチェンジャー
来季は新井・熊取谷の加入が内定しているが、2種の今季は過度な期待ができない。またJ1未経験というところでのリスクもあり。チアゴ・アウベスの復帰の見通しがまだ立たない事もあり、こちらも補強すべきポイント。個人名を挙げると、松村優太(鹿島)、中原輝(鳥栖)。
・守備力の高い即戦力SB
主に4バックを採用した際の、守備力が高く縦への推進力を持ち合わせるSBが欲しいところだが、上記2つのポイントよりも、優先度は低い。欲をいえば、宮原和也のクローンをもうひとり。
J1残留の可能性は?
まだまだ安心できない状態ではあるが、前半戦で稼いだ勝ち点27という数字は悪くない数字である。降格の無かった2020年を除いた過去5年間の平均降格ラインは36(端数切り上げ)となっており、理屈でいえば、あと勝ち点10でクリアし、過去の降格チーム最高勝ち点(柏/勝ち点39)を上回る勝ち点40までは、あと勝ち点13で到達できる見込みである。もちろん終盤戦まで安心はできないが、確率でいえば、現時点での残留の可能性は70%ほどであろう。
30失点という数字が多いか・少ないかは評価が分かれるところではあるが、前半戦で得た勝ち点との乖離は無く、常に得点力不足に悩まされていたヴェルディにとっては、28得点という数字は合格点であると言えよう。
今季はオリンピックがある為、7/20の福岡戦以降、2週間以上試合の無い時期が続く。ルヴァンカップは既に敗退し、天皇杯も7/10の3回戦に勝利しても、次の4回戦は8/21まで開催は無い。この与えられた期間を有効活用できれば、一気に残留に近づくであろう。
まずは4勝を挙げ、残留をほぼ確実なものにすること。その先にACLが見えてくる可能性もあるのだ。