絵を見る自分はどこに?不思議な浮遊感を楽しむ【ピーター・ドイグ展】
週末、山種美術館のSAKURA展以来の美術展へ行ってきました。なのでこのブログも再開です(^^)
雑誌の展覧会スケジュールで見た当初から、絵本のような世界観に惹かれたピーター・ドイグ展を観に近代美術館へ。会期はもともと6月14日まででしたが、自粛期間を受けて10月11日まで延長されてます(概要は末尾)
ピーター・ドイグはスコットランド出身。
ロンドンで芸術を学びますが、カリブ海に浮かぶ島トリニダード・トバゴとカナダにルーツを持ち、その豊かな自然を主なテーマとしています🏝「画家のなかの画家」とされる現代のスター画家ですが、日本で個展が開かれるのは今回が初めてとのこと。
代表作「のまれる」(展示あり)は2015年のクリスティーズ・オークションで30億円で取引されたそうです。
さてチケットはネットで事前購入(手数料かかります)。
竹橋駅を出て毎日新聞社のあるビル内のコンビニで印刷(そこが最寄りなので注意)し、検温も受けて館内へ。
撮影可とのことだったので、以下は私がメモしたことを写真を載せながら紹介です(あくまで素人感想)
✍淡い青と紫の異世界
✍超越的な自然と、埋もれる人(心細さ、没個性)
フロア①「森の奥へ」は、ロンドンの美術学校を卒業したドイグが過去に暮らしたカナダに戻り、その情景を描いた作品が並びます。
青や紫といった淡色を組み合わせて、どこか異世界的に表現した風景、その絵に登場する人物は多くがひとり。個性を出さず、それでいて象徴化もされない人に、「ちいさな存在」としてのリアルさを感じます。
風景を描いているのか、人物の内的世界を風景で表現しているのか、見る人によって捉え方も変わりそうな不思議な世界観がひろがっていました🎨
〈プロッター 1993年〉
✍さまざまな画家の要素
ムンクの「叫び」のような漠然とした不安感が伝わる作品や、マティスを思わせる色彩の強い対比…アートの可能性を探求する姿勢のあらわれか、さまざまな画家の要素が組みこまれた作品も目立ちました。
〈エコー湖 1998年〉
✍三分割構成、直線による区切り
ドイグならではの実験的な手法はほかにも目立つものが。
意図的に直線を多用し、あえて目に映る対象から切り離された「絵画」としての意味合いを主張してきたり、
〈ロードハウス 1991年〉
このような三分割構成を多用し、鑑賞者の意識をいくつかの段階にわけさせたり。
印象的だったのは、ドイグの作品を「観ている私」がどこにいるのか、その立ち位置を逆に意識させられるような仕掛けがたくさんあるなということでした。ミスティカルな絵に引き込まれつつ、完全に没入するわけでもない、そんな現実と作品の世界観の中間に浮遊するような感覚をふんだんに味わえる楽しい鑑賞体験でした。
グッズは作品が描かれたマグカップ(小さめ)やエコバック、文具など。とても雰囲気のある作品たちなのでとてもおしゃれでしたが、もう少し作品の種類やマグカップのサイズ展開などがあったらよかったかも。
わたしはパンフレット表紙にもなっている【ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ】の額絵や数枚のポストカードを買って帰りました。
やはり美術展めぐりはよい!そう思わせるにうってつけな想像力をかきたてられる素敵な展覧会でした〜😄
気になる方はぜひ。
【概要】
会場:東京国立近代美術館 (東京メトロ東西線・竹橋駅)
会期:10月11日(日)
開館時間:10:00-17:00
休館日:月曜日(8月10日、9月21日は開館)、8月11日(火)、9月23日(水)