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【環境問題】紙ストローやめませんか?「安易な環境ポーズ」に翻弄される大衆にならないために。

▶紙ストローを導入した企業は、「環境にやさしい企業」?

大手と言われる企業が次々に紙ストローの導入を表明している。スターバックスは既に紙ストローを導入を行い、マクドナルドは2025年までにプラスチックストロー(以下、プラストロー)を廃止するというニュースがなされている。プラストローは、海洋投棄されるプラスチック問題と合わせて、批判の的にされて、さらに石油を使って作製されるため、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出も助長しているため、紙ストローを導入したほうが環境にやさしいということなのだ。

▶紙とプラスチックの性質をもう一度考える
それでは、単純に「なぜ紙ストローは自然にやさしいの?」という質問にはどう答えたらいいのだろうか。プラスチックは、生分解性プラスチックでもない限り、土に還らない。一方、紙はもともと木が原料であるため、土には還りやすい。だから、自然にやさしい。このこと自体は正しいと思う。しかし、問題の本質に迫った上で到達した答えなのか疑問が残る。もし、本当にそうだとするなら、世の中のあらゆる消耗品に係るものは全て紙に由来するものに置き換えてしまえばいいということになる。なぜ、ストローだけ注目が集まり言及されてしまうのか分からない。

▶生産コストについて
次に生産をするコストの面も考えていきたい。紙ストローを作製するには、紙とそれを接着する糊(のり)が必要だ。当然それを製作する機械にもエネルギーを要する。少し調べて見ると、ざっくりではあるが、紙ストロー購入にかかる費用は(2023年6月調べ)、約1,000円/100本 であるのに対し、プラストローは、その約10分の1で、約100円/100本との差がある。正確に一本当たりの製作コストを算出するのは困難であるが売価を見ると、比例して生産コストもそのくらいの差があると見ていいと思料される。量産可能な体制の整備が整っているかどうかにも拠ると思うが、どう考えても紙ストロー製作には、圧倒的にコストがかかる=生産負荷が高い ということになる。

海洋投棄プラスチックイメージ

▶海洋投棄プラスチック問題とは何なのか
当問題に対しては、不思議に思うことがある。海に打ち上げられたプラスチックごみの映像と共に、海洋投棄プラスチックの問題がメディアで取り上げられるが一体誰が捨てているのだろうか。報道では、中国や発展途上国から排出されたものと記載がある。また同時に、日本人ならば理解いただけることと思うが、日本人は、犯罪者を除いて使わなくなったものは海に捨てたりはしない。ましてや、生産活動を行う企業も単純投棄で海に直接ゴミを捨てようものなら、明日の企業生命は絶たれると言っても言い過ぎではない。ここで問題なのが、直接海に捨てていないのにも関わらず、わたしたち日本人の生活が、それを支えている生産活動によって海洋投棄を行っているということにつながっているということだ。つまり、我々は多くの輸入品に頼らざる得ない状況にあって、海外の生産活動無くしては普段の便利な生活が維持できない、ということにある。これが日本における海洋投棄プラスチックの問題であって、プラストローを使っているからといって直接の理由として、投棄プラスチックが増加していることと繋げられて取り上げられるのは浅はかな気がしてならない。

▶プラスチックは「捨てる」から本当の再利用へ 

紙とプラスチックでは、土に還るかそうでないかの性質の違いはあるが、「捨てる」という選択において現実的な行き先は「焼却」である。ここで、日本における興味深いデータがある。2019年のデータとなるが、日本におけるプラスチックのリサイクル率は、84%で、アメリカは32%だという。もちろん、プラスチックの種類は多く制限もあるので単純比較はできないが世界的に見ても高い水準にあることが言える。プラスチックにおいて高いリサイクル率を誇っている日本ということなのだが、先ほど、海洋投棄プラスチックと日本におけるプラスチックの問題を述べたが日本は少なくともプラスチックの投棄問題に対し、真面目に取り組んでいる。捨てるのではなく、また再利用しようとしているからだ。では、プラストローでは何が起きているのかというと、使った後は再利用されず捨てられている。焼却だ。
では、再利用すればいいのではないか、それができていない。それはなぜかというと、「捨て方」に問題があるからだ。どういうことかというと、ストローだけ集められていないということだ。実は、プラスチックと言っても、様々な材質がある。プラストローに使われるプラスチックの材料は再利用に非常に適している「PP」(ポリプロピレン)というプラスチックの材質なのである。もし仮に、捨てられたプラストローのみが単一で集めることができるのであれば、再利用可能なマテリアル資源となる。本当のことだ。

プラチック再利用

▶本当の責任を追及しようとしない企業が安易な対策に奔走している
では、具体的にどうすればいいのか?答えは簡単である。徹底的に完璧に、「分別」すればよいのである。企業は、生産して販売する責任のもと、捨てられるところまで追及して考えなければならないのに、わたしたちの思考を勝手に停止させようと必死だ。その方法が、紙ストローの導入にほかならないとわたしは考えている。作ったプラストローに、企業の刻印を行い誰が生産し事業活動をしたものか判別できるようにし、使い終わったものを徹底的に回収をする覚悟をもてばよい。紙ストローも、プラストローも、結局は捨てて、焼却されるという現実に対し向き合いもせず、紙ストローは土に還るからという勝手なイメージ先行に便乗し、海洋投棄プラスチック問題にこじつけ、プラスチックを再利用するという有効な方法に目を向けようとせず、安易な戦略に走る。はっきり言えば、少し費用はかかるが、その方が企業イメージは高まるし、解決手段としてはラクなのである。

▶環境ポーズに流されない、行動に責任を。
もう一度、書くこととなるが同じ材質のプラスチックを単一で集めることは難しい。ただ、これが成し遂げられるとすれば民族的に見渡しても日本人だけではないかと思っている。あとは、徹底的に完璧に「分別」を「やる」と決めるだけなのだ。考えを止めて、使われる原料を変えるだけでは根本的な解決に至らない。有効利用できるプラスチックの可能性を追究し、使う責任を最後まで考え尽くし、最終的に我々個人に至るまで責任をもった行動をとれるかどうかが問われているのだ。

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