ヒーローかよ
(シーパス代を稼ぐための)バイト先での出来事。
バイト先には山雅サポが数人いる。
先日の栃木SC戦後、出勤したときのこと。
職場のサポさん「けいさぁぁぁぁぁーーーーーーーん!!」
わし「あ、おはようございますー。」
職場のサポさん「試合見ました?!見ました!?」
わし「そりゃもちろんですよ」
「あいつヒーローかよ!!」
同時に声をあげて笑ってしまったのだけど、まさにリアルヒーローであった。
そう、田中隼磨のこと。
71分過ぎ。
またしても無得点、スコアレスドローで終わりそうな試合。
石原がいいランで左サイドから駆け上がり、中にボールを入れようと試みるが相手に阻まれる。
その球に合わせようとした大然は、当然諦める。
でもこの人は諦めなかった。
大然が合わせられず、流れるだけの球に駆け寄り、足元をとられながら、倒れながら、利き足ではない左足でシュート。
足の芯にミートしてるかどうかのギリギリのタッチだったが、その球はゴールネットを揺らした。
あれ、きっと大然にもっと「経験」があれば対応できたと思う。
田中隼磨が対応できたのは間違いなく「経験」であると思う。
かっこいいわ
あの日は家でダ・ゾーンで応援していたのだけど、それまでがこらえるばかりの展開で、うだうだーと見てしまったのだけど、そのゴールの瞬間、「ふわー!」と叫んだ。
ビリっと全身に電気が走った。
かっこいいわ…。
しかもゴール後、走り回るパフォーマンスもなく
ベンチに駆け寄るでもなく
その場に膝をつき、咆哮し、地面をバンバンっと叩く。
誰と抱き合うでもなく、ただ地面に語るように
喜びとか、大一番でゴールを生んだ自分への称賛とか、そんな感情をかき混ぜたようなパワーをその場で一人放出してた。
かっこいいわ…。
この試合は、そんなヒーローみたいな漢が決めたゴールと、Jの門番と言われたSAGAWA SHIGA FCに所属し、真の門番だった漢村山の好セーブ連発もあり、なんとか勝つことができた。
ヒーローかよ。
いや、間違いなくヒーローだろうなあ。
初めてJ1に昇格の時も、この男は本当にかっこよかった。
最終節、レベスタでは誰よりも走って、誰よりも球を取りに行き、声を上げて、チームを鼓舞して、冴えない山本にビンタして…
そして試合終了と共に、今回のように地面に膝を落とし、咆哮してたなあ。
あのあと右半月板の損傷という大怪我を半年間もの間隠し、痛み止めを打ち続けて戦っていたことが公にされた。
そりゃあ叫ぶさ…そこまでして切り開いた昇格への道…。
(…ちょっとそれに関しては怒りたかった。いくらなんでも、命を削るような戦いはしてほしくなかった。)
翌年からは怪我の影響もあったり、しばらくスタメンに入ったり控えになったりと、本人にも辛い時期もあったと思う。
冷え込んだ日のフットワークは重くて、本当にしんどそうだった。
更には2016年には網膜剥離で手術。
2017年には岩上が戻ってきたりと「J1昇格に使い切った」運の代償のごとく、数々の困難が「こんちわー」とやってくるんだけど
そこも日々の努力とか持ち前のストイックさで、岩山を登るかのようにガツガツと登ってしまった。
…しかも、アイゼンとかピッケルとかナシで登ってるように見えるんですけどね。
どんな岩山もフリークライミングしてる的な…。
きっと、挑むことが怖くないどころか、挑むのが生きることみたいな。
生きるように挑んでるんだろうなあ、日々を…。
ヒーローかよ。
私の中での田中隼磨像=?
まあ、このタナカという人には賛否両論ある。
前からオレオレと我が非常に強く、気が強く、ワンマン感も満載。
審判に食いつくこと山の如しで、大嫌いとまで言っている人も多い。
私はそんな先入観もなく、いやあなんか凄い松本出身の選手きちゃったわーと思ったくらいだったので…嫌いとかそういうのはなんとも。
つーかね、けいさん思うんです。
この人ね、ピッチの上でのプレーを誰よりも楽しんでると思うよ。
顔には絶対に出さないけども、あのストイックな顔の裏側絶対ニヤニヤ笑ってると思う。
何事にも全力、ちょっと手が出ると怒っちゃう…。
そんな田中隼磨像…私の中では
ワンプレーワンプレーが全力の、しばわんこ…(笑)
こら、石を投げるでない!!投げるなら石原を…←やかましい
サイドラインやエンドラインギリギリの速い&伸びる球に
「ボールボール!うおおおおお俺のじゃーー!!!」とばかりに走って追いついて間に合ってしまうのは、今までの選手ではなかなかいなかった。
そんなところは結構いいと思うし、なにより好きだなあ。
そしてなにより、ラインのギリギリの使い方が上手い。
ライン際で球を抑えたあと、笛を吹かれないギリッギリまでもライン状を使う、あの「どや!吹いてみい吹いてみい!」とばかりのエリアの使い方。
広く広く自陣を使う、あれは本当にさすがとしか言えない。
田中隼磨劇場来るか?
このように、栃木SC戦は松本出身であり、ベテランであり、エースである背番号「3」田中隼磨がドラマチックに、まるでヒーローのように勝たせてくれた。
田中隼磨劇場が明らかに開幕している…気がする?
もともと山雅劇場という、ドラマチック体質はもともとあった、松本山雅。
その劇場体質も最近なかなかなりをひそめていた中突然開幕した「田中隼磨劇場」らしき雰囲気。
「うおおおおお昇格できんのかよ!?」とサポがそわそわアワアワ右往左往していた中、最高の雰囲気を作ってくれた。
まあ、でもそれは現地行ってくれたサポの皆さんのおかげもあると思う。
ありがとう!
ただ、まあこの劇場が次節はどうなるかわからない。
今季、残り1節。
とりあえず、私ごときのような存在のちっさい個人サポーターができることは
この劇場が続くように、雰囲気を作るお手伝いをするだけだと思う。
ドラマチックでなくてもいい、泥臭くてもいい、昇格とかそういうの抜きで、勝ってくれ!
私も久しぶりにゴール裏でバモるかねえ!
ところでさ…。
ツイッターでも書いたけど…。
セルジさん、なぜ襟首掴んだ…。
はたから見ると、カツアゲしてるヤンキーじゃあ…
その後、よれっよれの襟元のユニでインタビューを受ける田中隼磨さんであった…。
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