[無料]奥多摩の雲取山で各種通信機器をテストしてきた(第2回通信比較テスト)
スマホを機内モードにしないで登山に使った場合、どれくらい通信できているのか?を検証するシリーズの2回目。
1回目はコチラ。
スマホにはジオグラフィカの最新版をインストールして、グループデータリンクのフィールドテストをしています。位置情報共有をすると、下の画面のようにメンバーの位置と移動履歴が地図上に表示されます。
(共有にはネット通信が必要なので機内モードには出来ません。少なくとも、たまに機内モードを解除する必要があります。)
今回のコース
歩いてきたのは東京都の最高峰、東京の西の端にある雲取山です。標高は2017m。最も歩かれているのは山頂の南東、鴨沢からスタートする鴨沢ピストンルートです。
今回は山頂の北側、埼玉の三峰神社から白岩山を経て雲取山に至り、石尾根を歩いて赤指尾根(あかざすおね)という半分バリエーションルート(登山地図に載っていないルート)を下山するコースを選びました。下の地図のSからスタートしてGがゴールとなります。
一般的には、七ツ石山から先は赤指尾根の西の鴨沢ルートか、赤指尾根には入らず七ツ石山から東の石尾根を下り続けて奥多摩駅に至る石尾根ルートが主流です。赤指尾根は物好きが歩く尾根です。
約24km、累計標高は登り2100m、下り2650mです。雲取山のちょっと北にある雲取山荘でテント泊をしてきました。
ヤマレコの山行記録はコチラ。
では、各通信キャリア、端末を比較していきましょう。
地図の赤い線がオンラインだった区間で、灰色は圏外(オフライン)になっていた区間です。ジオグラフィカの機能で通信可能区間を記録しています。
docomo回線(mineo dプラン iPhone12Pro)
接続率(コース全体でのオンライン部分の割合)は59%でした。
スタートしてしばらくは通信できていましたが、白岩山の周辺から雲取山層までは圏外になりがちでした。白岩山から先のオフラインは、巻き道(山頂に行かない道)を選ぶことが多かったせいもあるかも知れません。巻かずにピークを踏めばもうちょい繋がったかも知れません。
雲取山荘の前や山頂では繋がりやすかったです。ただ、雲取山荘のテント場では繋がりが微妙でした。
雲取山から七ツ石山までの稜線もよく繋がっていました。このへんは丹波山村の800MHz帯が繋がったのかも知れません(そう言えば電波調べてくるの忘れた…)。
七ツ石山から先、赤指山を過ぎてしばらく圏外でしたが、小袖の集落が近づいてくると繋がりました。このへんも800MHz帯のエリアがあるので、それで繋がったのかも知れません。
途中に電波を遮る尾根やピークが無ければ、5km程度離れていても通信できる様です。そこで電波が繋がるかどうかは、街と現在地の間に高いピークや尾根がないことが条件みたいです。街を見通せる場所で、距離が5km程度なら繋がる可能性があります。ただ、繋がっていると言っても非常に弱い電波なので写真など大きなデータは送れません。テキスト情報ならなんとか、という程度です。
雲取山周辺のサービスエリアはコチラでも公開されています。概ね正しいと思います。
au回線(イオンモバイル aプラン Pixel6)
接続率(コース全体でのオンライン部分の割合)は57%でした。
埼玉側ではよく繋がりました。白岩山から雲取山荘の間も、低い場所や尾根の陰では圏外になりましたが定期的に接続し、ジオグラフィカクラウドの位置共有も働いていました。
雲取山荘のテント場でも、テントから通信につながったので便利でした。
雲取山を超えて東京側に入ると圏外が増えて、docomo回線では繋がっていた石尾根でも圏外の部分が多くなっています。赤指山を中心とした赤指尾根でも圏外になりましたが、範囲はdocomoと似た感じになりました。
auの雲取山周辺サービスエリアは下記のリンクから確認できます。
ソフトバンク回線(mineo sプラン Pixel4)
接続率は46%でした。
三峰神社からしばらくは繋がっていて、意外と繋がるなと思ったのですが、白岩山周辺から赤指山の先までは断続的にしか繋がりませんでした。それでも明瞭なピークでは繋がるので、ソフトバンクユーザーも救助要請をする際はピークに登ってみるなど、諦めずに繋がりそうな場所を探してみてください。
ソフトバンクだけが繋がる場所はほぼ無いので、やはり登山者が選ぶキャリアではないなと思ったりします。悪いこと言わないので、docomoかauの格安SIMなどに変えましょう(MNOでもいいけど)。
GPS.bot第1世代(docomo FOMA)
雲取山の山頂を過ぎたあたりでバッテリーが切れてしまったので途中までです(ケーブルを忘れて充電出来ませんでした)。傾向はdocomo回線のiPhone12Proと似ています。
スマホが十分に繋がり、サービスエリアもそんなに変わらないので、GPS.botはそろそろ必要ないかなと思い解約しました。バッテリーもかなり劣化しているような感じですし。解約したら即座に位置情報を見られなくなりました。残りの期間は日割りになるんだろうか…。
スマホの画面をキャプチャしたものを載せておきます。下の画像から通信実績を作りました。
coneco(docomo LTE-M)
傾向はやはり、docomo回線を使っているiPhone12Proに似ていますが、アンテナが小さいためか出力が弱いためか分かりませんが、オフラインの割合が多いようです。雲取山の山頂では位置が更新されましたが、以降はゴール近くの雨乞山手前までオフラインだったようです。
送信間隔は1分に設定していました。そのためバッテリーの消費が早く、1日目の夜にはバッテリー切れになってしまいました。こちらはType-Cのケーブルを持っていたので充電できて、2日目も使えました。
conecoは2ヶ月の約束でお借りしていたので、登山での試用はこれで最後になります。本来は、スマホを持たせるには早いお子さん向けの見守り端末なので、登山で使うのは無理があったのかも知れません。小学生の子供がいたなら持たせたかも。
もうちょい、スマホと同程度に電波が繋がったなら、スマホを機内モードにしてバッテリーを温存、conecoで位置送信とメッセージのやり取りをするという使い方が出来たと思います。
バッテリーの節約で電波出力を抑えてたりするんですかね。620mAhだから仕方ないのかも知れません。Pixel6なんて4,614mAhですし。7.4倍です。
バッテリー消費
今回は3台のスマホをオンラインの状態で、1台をオフラインで使っていました。
写真も撮り、SNSの投稿にも使ったiPhone12Proは1日目で残り30%になりました。山でスマホを機内モードにしないとバッテリーがよく減ります。1日1台につき5,000mAhは必須です。一泊二日なら10,000mAhですね。
今回は主にiPhone12Proの充電に使いましたが、他のスマホやconecoも充電したため10,000mAhのモバイルバッテリーでは足らなくなりました。iPhone12Proは帰りの電車で20%まで減り、他のスマホも空に近い状態になりました。(iPhone12Pro以外は下山後に電池が切れても困らないので、2日目は満充電にしていません)
機内モードにせずにスマホを使う場合、機内モードにしたときのおよそ2倍のバッテリーを消費します。これまで5,000mAhでギリギリだったなら10,000mAhが必要ですし、10,000mAhを使っていたなら、5,000mAhを予備で持つといいかも知れません。
まとめ
docomoとauは、公式のサービスエリア外でもちょこちょこ繋がっていた。サービスエリアから5km程度の距離なら通信できるみたい。
docomoとauはそれぞれを補完し合うので、格安SIMで2回線契約しておくといいと思う。2台持ちか、SIMを2枚挿せるスマホでもいい。
ソフトバンクだけが繋がる場所はほぼ無いので、登山者が敢えてソフトバンクを選ぶ理由は無い。
山中で機内モードにしないとスマホのバッテリーは本当によく減る。機内モードにしない場合の2倍と思ってください。
GPS.botやconecoの様な位置送信端末は、スマホのバッテリー節約には寄与するが、通信エリアの優位性は無い。ただし、ソフトバンクユーザーはスマホがつながらないので位置送信端末を持つ意味がありそう。conecoなら定型文を送れるし。
なお、前回はあったIBUKI.GPSですが、オフライン中に溜めた座標をオンライン時にまとめて送信する機能のため正確にオンラインとオフラインを判別することが難しく、今回は除外としました。