怒りの有効活用
マイナスな感情は出来ることなら避けたいです。
悲しみ同様、怒りも、喜んで!という人は少ないでしょう。
では、怒りを感じないようにしよう、と考えて、その通りに出来るでしょうか。
答えはNOです。
大事なのは「怒り」が何を意味しているのか、そしてそれを表現するかしないかの「行動」面のコントロールです。
1.何に対して怒りを感じるか
何に対して怒りを感じるか、は、その人が何を大事にして生きているか、によって変わってきます。
例えば親を大事に思っている人が、他人から自分の親を非難するようなことを言われたら怒りを感じるでしょう。逆ならば、あまり気にしない。
趣味、仕事、家族、友人、その他信念など。
「~~に対して怒りを感じないはずはない」という言葉をたまに耳にしますが、それだって人によるでしょう。
2.怒りを表現しない人は怒っていない?
それはないですよね。喜怒哀楽のうちの一つです。普通なら感じています。
感情は、感じただけなら他人には分かりません。
感じたものを何かしらの方法で表現したときに、第三者に伝わります。
嬉しかったり楽しければ笑う、悲しければ泣く、ショックなら動けなくなる。
その表出方法が人によって違ったり、周囲へ与えるインパクトに強弱があるのです。
3.問題は表出方法
そして、表出方法が第三者にとって脅威になる場合に、「怒り」が忌避されます。
それが度重なると「怒るな」という指示・命令・指導・躾に繋がります。
「怒ってはいけない」とは、つまり、他人の都合なのです。
もっと言えば、怒ること自体は仕方ないとして、その感情を周囲に知られるような方法で表出するな、ということですね。
確かに怒ったことで人に危害を与えたり、大声出したり、物を壊したりするのは歓迎されません。
しかし「怒りの感情」そのものを封じるのは無理があります。
怒りを感じることと、怒りを外部に表出する行動は分けて考えるべきでしょう。
4.怒りは自分を知る手がかり
上述したように、何に対して怒りを感じるか、は、人それぞれです。
ということは、自分が怒りを感じることは、自分にって重要な何か、であることが多いのです。
大事にしているもの
守らなければならないもの
損なわれたら自分に危害が及ぶもの
怒りを感じるような事態を招いた状況・タイミング・人物
など。
自分が本当は何を大事にしたいか、何を基準に選択すべきか、に迷う人は少なくありません。
それは、自分の価値観をハッキリと自覚できていないから、ではないでしょうか。
怒りの感情を持て余してしまうなら、なぜ自分が怒りを感じたのかを考えることで、自分にとって本当に大事なものは何か、を見極めることが出来るかもしれません。
怒りは、数ある感情の種類の中でも、一番インパクトと瞬発力があります。
だから、感じた時すぐに表出してしまうことも多い。
怒鳴ったり、暴力になったり、言葉になったり。
だから怒りに関しては、行動をコントロールするヒマがないため、そもそも「感じるな=怒るな」という図式になりがちです。
しかし感情はコントロールできません。
出来ないことに精を出すのはストレスしか生みません。
どうしたって感じてしまうなら、その意味を探るという有効な利用方法へつなげていきましょう。