がんの研究についてみんなに知って欲しいこと #deleteCリレー連載 (1/8)
※本記事は2021年に作成したものです。過去のdeleteCの情報が含まれます。
9月9日から、がん治療研究を応援するプロジェクト「delete C」が始まりました。
"delete C"とは、直訳すると「Cを消せ」。
"C"はCancer(がん)の頭文字です。
賛同企業の対象商品の「C」を、好きな形で消して撮影した写真をハッシュタグとともにSNSで投稿すると、1投稿につき100円が寄付としてがん治療研究に贈られる仕組みです。
また、賛同企業の公式SNSからの投稿に対する「いいね」やRT、動画再生などのリアクションも寄付の対象になります。
今の時点ですでに、かなり多くの投稿が集まっています。
本当に意義深い企画だと思います。
自分にも何かできることはないかと考え、「delete Cリレー連載」という企画を事務局に提案し、そして7人の仲間が私の思いに賛同してくださいました。
私は第一走者として、今この原稿を書いています。
delete Cの公式サイトに行くと、
「がんを治せる病気にする」
という言葉が見つかります。
主催者の中島ナオさんがこのプロジェクトを始めようと思った時、最初に思い立ったフレーズだそうです。
ナオさんは、ご自身がステージ4の乳がんを治療しながら、このプロジェクトに関わっています。
「がんを治せる病気にする研究」と聞くと、どんな研究を思い浮かべますか?
がんに効く新薬を開発する研究でしょうか?
もちろんそれだけではありません。
「がん」とは、たくさんの異なる病気の総称です。
「治せる病気」にするために必要な研究もまた、非常に複雑です。
たとえば、今ある既存の抗がん剤が「効く人」と「効かない(効きにくい)人」を見分ける手段を研究している人たちがいます。
100人中70人に効く薬なら、最初からその70人だけに投与する方法はないだろうか?
効果が期待しづらい30人が事前に分かれば、別の薬を優先した方がいいはずです。
「効く人」を見分けるためのサイン、マーカーはないのか?
様々な検査に関する研究が行われています。
がん治療の副作用を軽くするための方法について研究する人たちもいます。
患者さんにベストな治療を受けてもらうには、副作用のコントロールが欠かせません。
患者さんの体と心が副作用を許容できなければ、治療そのものが継続できないからです。
実際、副作用が強く、途中で治療を中断せざるをえないケースもあります。
同様に、がんに伴う痛みなど、特有の症状をコントロールする方法に関する研究もあります。
日々の生活の質(QOL)を維持しなければ、やはり患者さんは治療に前向きになれないからです。
これではがんは「治せ」ません。
治療を受ける患者さんの社会面のサポートも大切です。
近年は、飲み薬の抗がん剤を使ったり、ポータブル式の器械を使って抗がん剤を自宅で点滴する患者さんも増えています。
午前中に外来で点滴を受け、午後から出勤する患者さんもいます。
生活面や就労面での質の高いサポートが、治療の継続には欠かせません。
これらの側面もまた、重要な研究対象です。
このように、がん治療に関わる研究は非常に多彩です。
そして、それらには莫大なお金がかかります。
多くの施設が、限られた予算の中でギリギリの戦いを強いられています。
残念ながら、こうした話は一般にはほとんど知られていません。
報道されることもあまりありません。
しかし、がん研究に関わる人にとっては、非常に大きな関心事です。
delete Cには、多くの研究機関から応募が殺到しています。
どの機関も、がんの治療成績の向上のため、日々努力を続けているのです。
このプロジェクトをきっかけに、研究の大切さをぜひ知っていただきたい。
そして、研究という営みがもっと可視化され、多くの人から応援される、そんな世界になってほしいと願います。
山本健人(delete Cリレー連載 vol. 1)