外来生物のホントのところ
① なぜ日本は外来生物大国になったか
日本は四方を海に囲まれた島国です。元来、そのお陰で他地域からの生物の移入は最小限に留められていました。
今でも小笠原諸島などの離島には沢山の固有種が存在しています。自然状態での離島への移入の原因は、流木や渡り鳥によるものぐらいで、それらは外来生物とは呼びません。
つまり、島国という日本の立地条件が在来種をこれまで守ってきたのです。
しかし、船舶や航空機などの交通網の発達による外国人観光客の増加と同じで、生物の移入も年々増加しています。
これまで外来生物との競争に無縁だった在来種は、競争に対して基本的には弱い立場です。何か、私たち日本人にも当てはまる気がします。
② 国内の移動でも外来生物になり得る
国外からの移入種だけを外来生物と呼ぶわけではありません。
例えば、関東には分布していないカンサイタンポポを関東に持って行き、そこで根付けば外来生物です。
また、ある河川で絶滅が心配されるホタルを増やすため、他の河川で捕獲したホタルの幼虫を放流する。
これだって十分に外来生物になる可能性があります。とにかく、何かしらの生物を他の地域に移動させることには、十分な注意を払う必要があるのです。
③ 外来生物の問題は日本だけじゃない
交通網や輸送手段の発達で世界は狭くなりました。「こんなところに日本人」ではありませんが、世界各国で日本原産の生物が外来生物として猛威を振るっています。
マメ科植物のクズ、意外なことにワカメもです。日本ばかりが被害者ではありません。国際化が進展する現代では、世界共通の問題になっているのです。
④ そんなに悪者扱いして良いのか
そもそも誰が連れてきたのかと言うことです。報道で猛毒のヒアリが移入したと聞くやいなや、一斉にヒアリは悪者扱いされてしまいました。
しかし、ヒアリにしてみれば訳の分からないうちにコンテナに乗り込み、気が付けば異国の地に連れて来られていたのです。
そんな状況で悪者扱いなんて気の毒すぎると思いませんか?私たちヒトの往来はヒトが移動するだけでなく、他の生物や病原体も同時に移動させます。
そのことを理解しているヒトならば、そんな短絡的な反応はできないはずです。
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