介護と富士山の絆

執筆者
#有度の里 #Ishikawa・Hironao
介護と富士山に関する物語を書いてみました。この物語はフィクションであり、実在の人物と団体とは関係ありません。

智子は祖父の介護をするために、東京から静岡の富士山麓に引っ越してきた。都会から離れ、自然豊かなこの地での新生活に、少しの不安と大きな期待を抱いていた。

「おばあちゃん、ここは空気がきれいでしょう？」智子が明るく言うと、祖母は微笑んだ。
「ええ、昔はよく来たわ。富士山は私たちの家族にとって特別な場所なのよ」

その言葉に智子は驚きながらも、深いつながりを感じ始める。日々の介護は大変だったが、祖母との会話や、富士山の雄大な景色に心が癒されていった。

祖母と語る

ある日、祖母が過去の思い出を語り始めた。
「私が若い頃、山登りが好きだったの。富士山にも何度も登ったわ」と祖母は目を輝かせて語る。

「本当に？私もいつか登ってみたいな」と智子は夢中になって言う。
「でも、今は私のことで手一杯よね」祖母は少し寂しそうにつぶやく。

智子は祖母の肩に手を置き、「一緒に頂上を目指す日が来るかもしれないよ」と優しく微笑んだ。

祖母の目には涙が浮かび、二人はしばらくただ富士山を見つめていた。この大きな山のように、人生もまた、時には険しく、時には美しい道のりなのだと、智子は感じていた。