ないものねだり
梅雨だ。
今日もかなりの雨が降っている。
1年で最も嫌いな季節だ。
理由は明白。
僕は天然パーマなのだ。
天然パーマというと聞こえがいいが、言ってしまえばただの癖っ毛である。
今日みたいな湿度のバカ高い日に僕の髪の毛は本領発揮する。
あっちこっち色んな方向に遊びたがる。
まるで幼児のように言うことなんか聞きやしない。
そんな理由もあって、夏は髪を短くしている。
長くて毛量が多くかつ癖っ毛だとむさ苦しいから。
でも僕の短髪はあんまり評判が良くない。
そんなことはさておき、僕の癖っ毛は他人から見たら意外と悪くないらしい。
これは最近気づいたことだ。
実際に「パーマかけてる?」って美容師に聞かれるくらいだ。
僕からしたら憎き天然パーマなのだが、自分が思ってるより変ではないらしい。
僕は癖っ毛だからサラサラな髪の毛の人には素直に憧れる。
勝手なイメージだけど清潔感あるし、サラサラな人の方がモテる気がする。
きっと髪型も選び放題だし、アレンジもし放題なんだろうなと思っていた。
だけどサラサラな人にはその人なりの悩みがあるみたいだ。
アイロンでアレンジしても湿気で落ちてしまうとか、ボリュームが出なくてペタンコになってしまうとか。
なるほど、と思った。
数年前にないものねだりという曲が流行った気がするが、そんなようなものなんだなって思った。
僕はサラサラヘアーに憧れるが、サラサラヘアーの人は逆に僕みたいな癖のあるボリュームのある髪に憧れたりすることもあるみたいだ。
隣の芝は青い、じゃないけど自分が持っていないものは憧れるしかない。
だからもう割り切って自分の持っているものを思いっきり愛するのがいいのかななんて思っている。
だって、自分が持っているものに憧れてくれている人もきっといるはずだから。
中高生の頃、あれほど気にした天パも今じゃ割とお気に入り。
癖っ毛をどう隠すかじゃなくてどう活かすか考えるようになった。
短所は言い過ぎかもしれないけど、厄介者も活かし方次第で味方になってくれるものだ。
だからといって梅雨が嫌いじゃなくなったわけじゃないけど。