光、逮捕
彼は街中に汚物を投棄して、逮捕されてしまいました。
俺は袋に詰めた汚物を捨てていたが、次第に袋詰めでは満足しなくなり、中身の汚物をぶちまけるようになった。
「汚物を佐藤家にぶちまけてやる・・・。」
俺は大量の汚物を車に積んで、街中に運んだ。佐藤家とその周囲の家一帯に、俺の汚物をぶちまけた。
「汚物の山だ・・・。」
佐藤家の前にも他の家の前にも、大量の汚物の山が出来上がった。
「臭い!」
「これじゃ外に出られない!」
「ざまあ見ろ。」
俺は汚物投棄に困った皆を見て、ざまあ見ろと思いながら退散した。
「うちの前に汚物を捨てたな。」
佐藤家の眼鏡娘が汚物を捨てたなと言って、俺を睨んだ。
「怖い~!」
俺は汚物袋を持ったまま逃げたが、この眼鏡娘は追いかけてこなかった。
「将人達にも汚物をぶちまけてやる。」
俺は将人が住むアパートの前にも、汚物をぶちまけた。
「光!俺も許さないぜ!」
「将人~。」
後ろに激怒した将人がいたが、俺は逃げた。将人は怒った以外、俺に何もしてこなかった。
「神谷家の奴等にも汚物をぶちまけてやる。」
俺は佐藤家以外の家にも、神谷家の息子と娘が住んでいる団地の前にも、汚物をぶちまけた。
「来ないな。」
俺は瑞穂か誰かに怒られると思ったが、神谷家の誰も来なかった。
「葉月姉ちゃん達にも汚物をぶちまけてやる。」
葉月が住む団地の前にも、俺は汚物をぶちまけた。
「どうしてくれるのよ~!」
「ざまあ見ろ~。」
怒って追いかけてくる葉月からも、俺はざまあ見ろと言いながら逃げた。ところが、葉月は観念して行ってしまった。
「公園を汚物まみれにしてやる・・・。」
俺は子どもがいる公園に、汚物をぶちまけた。遊具もだが、公園の設備全ても俺の汚物で汚した。公園は汚物公園と化した。
「ざまあ見ろ。」
俺は汚物公園で被害を受けた皆も、ざまあ見ろと思いながら逃げた。
「駐車場を汚物まみれにしてやる。」
俺は駐車場も、そこに駐車してある車も汚物まみれにした。車も砂利も、一瞬で汚物色に変わった。
「グラウンドを汚物まみれにしてやる・・・。」
俺は汚物をグラウンド中にぶちまけた。グラウンドは一瞬で、汚物の海と化した。
「逃げよう。」
俺はグラウンドを汚物まみれに変貌させて、そのまま逃げた。
「なんてこった!」
「汚物まみれだ!」
「練習にならない!」
「大成功だ。」
俺は大成功した。皆が汚物まみれのグラウンドを見て騒ぎ、絶望している。
「汚物野郎~!」
「追いかけてきた!」
汚物をばらまいて逃げる俺を、サッカー選手の集団が追いかけてきた。俺も逃げたが、俺よりずっと運動神経の優れたサッカー選手の集団に捕まった。
「この汚物野郎!」
「どうしてくれるんだ!」
「グラウンドを汚物まみれにしやがって!」
3人のサッカー選手が、俺を怒鳴って糾弾した。俺はどうにも言い返せなかった。
「グラウンドに汚物が投棄されました。」
他のサッカー選手の1人は、俺の行為を警察に連絡していた。
「俺の汚物が~!」
俺は汚物をサッカー選手達に責められ、奇声をあげた。
「うるせえ!汚物野郎!」
「汚物まみれじゃねえか!」
「練習できねえだろ!」
「責任取りやがれ!」
「汚物テロリストめ!」
「サッカー選手達に汚物を塗りやがって!」
「汚物!汚物!汚物!」
俺は初対面のサッカー選手達にも監督にもコーチにも、袋叩きにされた。
「こうしてやるぞ!」
「きったねえ!」
相手はサッカー選手なのもあり、俺の汚物入り袋を蹴る者もいた。当然汚物がこぼれて、あたりにぶちまけられた。
「光!どうしてくれるのよ!」
俺の後ろには、葉月も立っていた。
「誰だ!」
「私はこの汚物を捨てた弟の姉よ!全くどうしようもないわ!」
声をあげた選手に、葉月も物怖じしないで俺の姉であると応えた。
「逮捕だ!」
「神山光!廃棄物処理法違反の罪で逮捕だ!」
俺と葉月とサッカー選手達のもとに、警察官の集団が来た。俺は手錠をかけられ、逮捕された。
「お姉さんは下がっていてください。」
「姉貴は下がってろ!」
「弟は悪いけど姉ちゃんは関係ないだろ。」
「私は下がるわ。」
警察官もサッカー選手達も、葉月を退けた。俺は葉月、サッカー選手、警察官の監視の中、パトカーに入れられた。
「神山光!なぜ汚物を捨てたんだ!」
「街中を俺の汚物だらけにしようと思いました。」
警察官の取り調べに、俺は街中を俺の汚物だらけにしようと思ったと応えた。
「彼女が来ているわよ!私達が任意同行を持ちかけたのよ!」
「光くん!」
「桃子!」
女性警察官が、桃子を任意同行で連れてきていた。桃子は変わり果てたように酷く痩せていた。
「桃子ちゃんは摂食障害で苦しんでいたのよ!光くんは桃子ちゃんが出した物も汚物に混ぜて捨てたでしょう!」
「光くん・・・!私も辛いのになんでそんなことをするのよ・・・!」
女性警察官も怒り、桃子も悲しんでいた。桃子は摂食障害で苦しんでいるが、俺はそれを嘲笑うかのように桃子の嘔吐物も捨てていた。俺は俺自身の汚物ばかりではなく、桃子の嘔吐物もぶちまけていた。
「俺・・・。逮捕されてしまった・・・。」
俺は街中に汚物を投棄して、逮捕されてしまった。スポーツのコーチとして教えている子ども達にも、選手達にも、神山家の父母にも姉にも、愛してくれる桃子にも面目ない。