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タコツボ化を促進するYouTube

ネット世界に生まれて、僕らは幸せだ。

動画コンテンツはYouTubeやNetflix、他にも多数のメディア・コンテンツがこの世に存在する。
そういった中から自分の好みのメディアを見ることもでき、さらにYouTubeなどはログインするだけで個人の趣味嗜好に合わせたコンテンツを提供してくれる。
そんな個人に合わせたコンテンツを見ることができて、とても幸せだ。

自分の好きなコンテンツに似ている傾向のコンテンツばかり見られて、ハズレが少ない。
でも、昔なら、そうはいかない。
空間性に支配されていた。
どういうことかというと、その空間に合ったコンテンツに提供しないと、その場では価値がない。
例えば、世界中で面白いとされるモノ(コンテンツ)でも、その場(劇場)で受けなかったら、決して評価されず、価値がないと判断されていた。
でも、今は違う。
ネットという開かれた世界で、本来ならばニッチすぎて、面白いとされなかったモノでも、今なら、誰かにハマるかもしれないという可能性があり、もしハマったらそのモノには価値がある。
それはコンテンツを提供する側だけではなく、見る側にとっても幸せだ。
劇場に行ったら、例え興味がないコンテンツだろうと、基本的には最後までみるだろう(お金を払っているからという理由や、途中で帰ったら演者に失礼という配慮から帰りづらい)。
でも、今は簡単に見ないという選択ができる。
だから、今のネット世界は見る側と見られる側の双方向にとって幸せな環境だと思う。

先日の2018年のキングオブコントは、まさにその空間性に支配されたコンテンツだ。
分からない人のために簡単に説明すると、キングオブコントを優勝するには、ネタ2回披露し、その2回の合計得点が10組中一番高いと優勝できる。
その1回目のネタの得点1位だったのが、「チョコレートプラネット(以下、チョコプラ)」だ。
でも、優勝は「ハナコ」という1回目の得点が3位のトリオが優勝した。
チョコプラの2回目のネタがつまらなかったというわけではない。ただ人を選ぶネタだったのだ。チョコプラの2回目は、大工の親方が意識高いという設定で、大工という職業なのに「アジェンダ」「フィックス」という横文字を使いたがるネタだった。
普段からその横文字達を仕事で使っていて、さらにネット上ではその横文字達が小バカにされているという背景があり、その背景を分かっている人たちがみると、とても面白いネタになる。
でも、審査員のバナナマン・さまぁ〜ず・ダウンタウンの松本さん達からすると、その背景を知っている可能性はあまり高くない。(年齢的な問題もあるし、働いている環境も関係しているが・・・)

だから、あの場では高い評価をされずに、優勝を逃す結果になってしまった。

万人が面白いと感じるネタだったのは、優勝した「ハナコ」というコンビで、空間性を上手く使った結果とも言える。
チョコプラは、YouTubeに自分たちのアカウントを持っているので、空間性に支配されないネットでは今後もファンが増えるだろう(ハナコもyoutubeにチャンネルがある)。

上記の例は、空間性がなくなったネット最高!ということを言いたいのではなく、空間性が残る現実と空間性に支配されないネットの両方があって、それを選択できるというのは、本当に幸せだと思う。

現代のネット社会だと、自分が面白いと感じるコンテンツばかり目にする頻度が昔に比べて、とても高い。それによって、見る側・見られる側の両方にとって幸せだと思うが、一つ懸念点も存在する。
それは、個人が見るコンテンツの幅がなくなり、目にする多様性が失われるということだ。

いつも自分の好きな同じようなジャンルのコンテンツを見るようになると、自分の中の多様性はなくなってしまうのだろうか。
もしなくなってしまうのならば、今後も多様性を失った人たちが増えていくのだろう。
趣味嗜好が「タコツボ化」してしまった未来は、良い未来なんだろうか。

簡単にタコツボ化できる現代だからこそ、僕は食わず嫌いせずに色々なものを見ていきます。

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ケイタ
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