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ソロコンで吹きたいサックスの曲目リスト③【バリトンサックス編】13選

こんにちは!クラシックサックス奏者角口圭都です。YOUTUBEの角口圭都サックスチャンネルも合わせてごらんくださいね!

ソロコンテストや発表会などで演奏したい曲目を【初級】【中級】【上級】に分けてリストアップしました。第3弾はバリトンサックスです。

他の楽器の曲目リストはこちらから↓

【アルトサックス編】

【テナーサックス編】

バリトンサックスでソロをするときはかなり選曲が大変だと感じている方も多いと思います。

バリトンサックスは吹奏楽などではふだんからあまり音数が多くないですし、伴奏を担当することが多く、メロディーを吹く機会が少ないと思います。

また、アルトサックスに比べると、ソロの曲もかなり少なくマイナーなものが多いので、限られた中からの選曲になりがちです。またそれぞれの曲のレベルと自分のレベルが合うかどうかわからなくて困っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、角口圭都のサックス奏者・講師としての経験、そしてソロコンテストの審査員などの経験から取り組みやすいものを掲載しています。また、ぜひ参考にしてほしい音源と楽譜入手先も併せてご紹介しています。皆様の選曲のお手伝いになれば幸いです。


【ソロコンで吹きたい曲目リストサックス編④バリトンサックス編】

【初級】

①マルティーニ:愛の喜び

マルティーニは、ドイツに生まれ、ドイツ名シュヴァルツェンドルフを改名して、イタリア名マルティーニとしてパリで活動しました。この曲の歌詞は、「愛の喜びは長続きしない。愛の苦しみだけが長続きする。僕のつれないシルヴィアは……」というものだそうです。譜読みしやすく、あたたかく甘美なメロディがバリトンサックスの音色とよくマッチするでしょう。楽譜によって拍子が違うものがありますが、私のおすすめは8分の6拍子です。


②ドビュッシー:夢

フランス人作曲家ドビュッシーの作品。もとはピアノの小品ですが、様々な楽器に編曲されて親しまれています。バリトンサックスでの演奏は比較的珍しいですが、バリトン特有の伸びやかさと渋さを同時に表現できると思います。変化する和音を味わいながらじっくり演奏したいですね!ご紹介している楽譜はinB♭とinE♭の両方の楽譜が付いていて、どのサックスでも演奏できるようになっていますが、バリトンで演奏するのが一番似合うのでは、と筆者は思っています。



③ピアソラ:オブリヴィオン

アルゼンチンタンゴの革命児アストル・ピアソラの名曲オブリヴィオンはもとは映画音楽のために書かれました。忘却という悲しいタイトルで、泣きのメロディが特徴的です。いろいろと楽譜が出ていますのでぜひ調べてみていただきたいです。今回ご紹介している動画と楽譜は別物になります。ロシアの13歳の男の子による大人顔負けのセクシーな演奏が素晴らしいです。ご紹介している楽譜にはオブリヴィオンの他にも何曲か収録されているのでオトク感あり。



④八木澤教司:陽のあたる庭

世界で活躍中の八木澤教司さんによる作品です。youtubeに解説文が載っていました!

バリトン・サクソフォーン奏者の浅利真さん(ヴィーヴ!サクソフォーン・クヮルテット)の提案もあり、私の吹奏楽曲の代表作でもある「太陽への讃歌 — 大地の鼓動」(2005年)のコラールを基に2016年に作曲したのが「陽のあたる庭」です。木漏れ日のあたる温かな庭(憩いの空間)をイメージした耳馴染みやすい小品に仕上げましたのでリラックスしてお楽しみください。
 原曲はバリトン・サクソフォーンのソロ曲ではありましたが今回の出版にあたってバスーン、クラリネット、バス・クラリネット、ユーフォニアムのソロでも演奏できるようにパート譜を用意させて頂きました。又、ピアノだけではなく吹奏楽伴奏でも演奏でき、吹奏楽伴奏版はウインドアート出版から販売されています。

初級といえど、最後はフラジオも出てきます。1ランク上の作品に取り組みたいと思う方にはもってこいですね。



【中級】

①バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番~3番他

ヨハン・セバスティアン・バッハの無伴奏チェロ組曲は、とても人気が高く有名な作品ですのでチェレンジしたい方が多いのですが、実は骨の折れる作品です。バリトンサックスですとチェロの原調でできるのがいいところですが、低い音から高い音までまんべんなく出てくるため、基礎力がしっかり身についていないと吹ききるのが難しいです。また、休符もないので、音楽的な流れを止めないようにして息継ぎしたり、息継ぎの場所を考えなければなりません。第1番が一番演奏回数も多いですが、第2番、第3番も比較的取り組みやすいので、トライしてみて下さい。楽譜は6番まで記載されているものをご紹介しておりますが様々な版がありますのでお気に入りを探してみるのもよいでしょう。


②ピエルネ:カンツォネッタ

フランスの作曲家ピエルネの作品です。こちらはアルトサックス、クラリネットなどでも演奏します。古典的なフランス音楽の形式で書かれていて、メロディはひらひらと舞うように歌います。エスプリを効かせながら演奏したいですね。尺としては短めですが、こういった作品をしっかり聴かせるには、技術も音楽的センスも必要ですね。演奏は、サクソフォン界のレジェンド、マルセル・ミュールです。表現が素晴らしいですね。



③サンジュレー:演奏会用ソロ・Op.77

フランス人作曲家のバリトンサックスとピアノのための演奏会用ソロ作品77は、緩-急とバランスの良い形式で、冒頭はピアノとのユニゾンで始まり、優しいメロディーが特徴的です。後半はテクニカルな場面も多いですが、明朗快活で表現しやすいです。普段はあまりクラシックになじみがない方がクラシックの作品に取り組む第一歩としてとてもオススメの一曲です。



④モンティ:チャルダッシュ

日本のバリトンサクソフォンの名手としてやはりこの方をご紹介しないわけにはいきませんね。動画は、佼成ウインドオーケストラのコンサートマスター田中靖人さんによるイタリアの作曲家モンティの傑作、チャールダーシュです。チャールダーシュは酒場という意味合いがあります。兵士を集めるためにチャールダーシュを酒場で演奏したようですが、あまりにも人気になり、中毒性が大きいということで演奏禁止令まで出されたことがあるそうです。タンギングが早い人はシングルタンギングで、ダブルタンギングができる方は、ダブルを使ってテンポをどんどん上げて吹くのも楽しいでしょう。




⑤ピアソラ:アディオス・ノニーノ


アストル・ピアソラの人気に火が付くきっかけとなった作品がこのアディオス・ノニーノです。ピアソラはニューヨークで音楽活動をしていましたが、売れるまで生活が苦しい時期も長かったそうです。そんな折に、故郷のアルゼンチンから、父の訃報が届きます。しかしお金がなくアルゼンチンに帰ることができませんでした。そんな悲しみや苦しみをこの曲に込めたのでしょう。ところどころフラジオが出てきますが、フラジオが出ない人用にガイドも書いてあります。ソロコンでこの作品を演奏されているのをよく聴きます。


【上級】

①サンジュレー:演奏会用独奏曲Op. 93

クラシックサクソフォン創成期の作品、サンジュレーの演奏会用独奏曲作品93は、演奏機会は多くないものの、大変優れた作品です。サンジュレーの作品はどれもとてもシンプルながら、サクソフォンの可能性を広げるために弦楽器的なアプローチを用いたり、楽器の種類にこだわらず、アクロバティックな要素を色々取り入れています。バリトンサックスにもかなり大胆なフレーズを演奏することを要求しています。曲調は大変わかりやすく、どのように聴かせるかをsしっかり練りたい一曲です。


②ボザ:インプロビゼーションとカプリス

フランス人作曲家ボザの無伴奏の作品。まずインプロビゼーションは音楽的な解釈を自分の中に落とし込めるまでに少し時間がかかりますが、この不思議な雰囲気を表現できるスキルはだれもが持てるものではないです。ただ音符を並べるのではなく、楽譜の向こうにある心象風景や感情など奏者の中の想像力・表現力を最大に生かしたいですね。カプリスは、短い作品ですが、運指の練習をしっかりとこなして、どの音もしっかり鳴らしつつ流麗なフレーズを作りたいです。手を出しにくいと思う方もいらっしゃいそうですが、チャレンジする価値は大いにあると思います。


③ドゥメルスマン:ファンタジー

アルトサクソフォン編でも上げましたが、最近のソロコンでこの作品をバリトンで取り組む方も多いようです。アルトサクソフォンで取り組むよりも難易度は高くなりますが、演奏効果はピカイチですね。音程を合わせたり、細やかなパッセージで雑音が出やすいのが注意ポイントになりそうです。あわせて一曲吹ききる集中力・体力も必要です。吹きこなせば一歩差をつけられるかも!?



④ボノー:ワルツ形式によるカプリス(無伴奏)

こちらの作品は、どのサックスでも演奏できます。バリトンの名手である栃尾克樹さんの演奏をぜひ参考にしていただきたいです。アルトサックスで演奏する以上に難易度があがりますね。跳躍やタンギングも大変ですが、取り組むことで自分自身もパワーアップできると思います。バスーンで演奏されている素敵な動画を発見したので、ご紹介します!また、楽譜の表紙、ワルツを踊る男女の絵も素敵です。想像力がかきたてられますね!



この中にやってみたい!という曲があればうれしいです。この記事を読んだ感想などもいただけましたらうれしいです。ぜひいろんな作品にトライしてみてくださいね!

ソロコンで吹きたい曲目リスト③バリトンサックス編いかがでしたでしょうか。もしいい記事だった!面白かった!と思われた方は、応援として、ここから先の有料記事を買って応援していただけると嬉しいです。(記事としてはここで終わりです。)

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