観たかった観せたかった景色を見に行こう〜vol.8
La Mère 母
東京芸術劇場シアターイースト
4/10
4/17 マチネ
穂の国とよはし芸術劇場PLAT
6/30 大千穐楽
フロリアン•ゼレールさんの家族3部作の1番初めに書かれた「母」
公演が始まる前に圭人くんが言ってた「母の想像のニコラ、想像とはちょっと違うニコラ、現実のニコラ」この言葉から、もしかして映画ファーザーのようなアンヌの頭の中を旅する世界?と想像していた。(実際は最後さえくるくると……)
ファーザーのずーっと何が起こっているのかわからない状況、最後の最後に全てのピースがピタッとハマるあの瞬間…美しい映像…オシャレなセット…ヨーロッパの色彩…全てが好きだった。
あの世界観が…?と想像するだけでわくわくした。
(ちなみに「父」は「母」の後に書かれて、3部作の最後の作品が「息子」になる)
そして4/1の圭人くんのお誕生日にアップされた圭人くんの公式HPにお稽古場でのお誕生日をお祝いしてもらった写真の圭人くんの衣装が初演「息子」のラストで着ていた衣装と同じ(初演時はニットのインナーに白いシャツを着ている)だったことも私のわくわくを加速させた。
楽しみすぎるっ!
まずは
La Mère 母 ニコラ動き/衣装まとめを。
舞台セットとてもオシャレで印象的。
下手
白い丸テーブル/白イームズっぽい椅子3脚/テーブル下に赤の丸いラグ
中央
壁→イエロー
茶色キャビネットの上に右→赤のモビール/左→写真立て2つ(右→圭人くん9歳のイギリス時代のバストアップの写真かわいい♡/左→サラの写真)
上手 ブルーの本棚/茶?オレンジかも?ソファ/ネイビーのクッション2つ
はじまり。
上手ソファ アンヌ→ソファに座っている(ネイビーワンピース(ベルトつき)→息子衣装と同じ?)
玄関からピエール帰宅
暗転
上手ソファ アンヌ→今度はソファで寝ている。
玄関からピエール帰宅→アンヌ ガバっと起き上がる
暗転
朝(とても眩しい、キラキラしている)
リビング
アンヌ→水色総花柄ワンピース/ベルト
テーブルの上→オレンジ?赤?ランチョンマット
左→モスグリーンのマグカップ(ニコラ用)
右→青マグカップ(アンヌ用)
カトラリー
ジャム瓶/バター
ピエール→白いカップ
ピエール→「遅れそうだ」と起きてくる
アンヌ→夜中にニコラが帰って来た/まだ寝ている→ニコラの部屋の前で立ちはだかる(まるで何かを隠して居るようにも感じるし、ニコラは自分だけのものだと言ってるみたいにもみえた)
下手から(ニコラの部屋)ニコラ登場→上手の椅子に座る→モスグリーンのカップでコーヒーを飲む→アンヌに注いでもらったオレンジジュースを飲む→上手へ移動→窓辺に立ってアンヌの話を聞いている→指をトントンと動かしてイライラしているのが伝わる→ソファ前で大笑い(呆れたように)→「エロディもママのことあんまり好きじゃないって」
ニコラはエロディにママのせいで自分の人生を生きれないと言われたことをアンヌに伝える
「ママは僕を愛しすぎている」→下手(ニコラの部屋)から退場
♦黒×グレーランダムボーダーニット/腕時計/黒パンツ/黒靴下/黒スニーカー紐、ソール共に黒…スタンスミス?)
暗転
下手(ニコラの部屋)から登場→下手の椅子に座る( この時対角線上に9歳の圭人くんの写真があるのすごくいい→アンヌにとってのニコラはずっと9歳、9歳でいて欲しいの意味なのかな?)→とても穏やかでにこやか→モスグリーンのマグカップでコーヒーを飲む(おかわりをする)→アンヌ「前は紅茶だけだったのに今はコーヒーなのね」→アンヌ左の椅子に座る→青いマグカップでコーヒーを飲む→「ありがとうママ」「僕のために色々してくれてありがとう」手を伸ばしてアンヌの手を握る…ここの圭人くんの言い方とてもとても優しい→ピエールスーツケースを持って登場→ニコラ「ママには言ったの?」→ピエール適当にアンヌをあしらって出て行く→ニコラも玄関へ行く→アンヌ誰も座っていない椅子に話しかけている→ニコラ、リビングをのぞくように暗い無表情でゆっくり戻ってくる→右の椅子に腕をダラリと垂らしたまま微動だにせず座っている(5分くらい?以上?)→ピエール再び下手から登場→「君はさっきから誰と話しているんだ?」→アンヌ誤魔化す→ニコラそのまま動かない→ピエール出て行く→アンヌ泣き出す
♦黒×グレーのランダムボーダーニット/黒パンツ/腕時計/黒靴下/黒レザー
暗転
アンヌ→赤いドレス
中央(キッチン)からニコラ木の器を持ってシリアルを食べながら登場→上手ソファ座ってシリアルを食べている→「なんでエロディから電話がないんだろ?」→ニコラ、不貞腐れたようにソファの上に背中を向けて丸くなって寝る(腰がちらりと見える♡)→アンヌ「今夜どこかにお出かけしましょうよ」(車のキーを振り回す)→アンヌ音楽をかけて踊り出す→ニコラの手を取り一緒に踊り出そうとする→そんな気分じゃない。ほっといて欲しい。ずっと寝ていたい。→テーブルの上のiPadを強く叩いて曲を止める→「聞きたいなら言うけど、うまく呼吸ができない」
下手テーブル/下手椅子→ニコラ 上手椅子→アンヌ
アンヌがいつも飲んでいる薬(白と青の薬)をバッグから取り出してニコラに勧める。→ニコラ「なんの薬?」→アンヌ「睡眠薬と鎮痛剤」→2人で飲む→アンヌ「幸せになりましょう」的なことを言う→チャイム→エロディ(黒ライダース/ボーダーT/カーキワイドパンツ/グレーadidasガゼルっぽい)訪ねてくる→ニコラと話したい→ニコラ「嫌だ!話したくない!」→二言3言話しただけで…→ニコラ吸い寄せられるようにエロディの元へ…笑→きつくハグ→エロディがアンヌを挑発→2人で出掛けると言う→
ニコラ 着ていたジャケットを脱いでコート掛けにかけてあったジャケットを着る→エロディ、アンヌの持ってたバッグとコートを取る→2人で玄関から出て行く
(ここさ〜ちょっと他の場面と毛色違うよね?みんな演技がちょっとオーバーでコントっぽい。ニコラの表情とか今までのニコラとちょっと違ってて面白い。圭人くんもしや…笑い取りにいってる?)
♦黒シャツジャケット/白T/黒パンツ/腕時計/黒レザースニーカー
↓
エロディと出掛ける時に着ているジャケットを脱ぎ、掛けてあるジャケット(♦黒ジャケット(ラペルとポケットがサテン、ピエールも着用するからか圭人くんが着ると小さめ))に着替えて2人で出て行く
暗転
アンヌ→赤いワンピース、赤ワインを飲んでいる→チャイム→エロディ(黒ライダース/赤いワンピース)が訪ねてくる→ニコラは居ないとアンヌに言われてメッセージをアンヌに渡し帰る→アンヌ、メモを燃やす
暗転
アンヌ→姿見をソファ横から廊下へ移動させている
下手 ニコラの部屋からニコラ出てくる→そのままキッチンへ→シリアルを持ちながら出てくる→ドアのチャイムが鳴った、「誰か来なかった?」「チャイムが鳴らなかったら起きなかった」→ニコラのスマホのバイブが鳴りメールを確認→エロディからのメッセージを受け取ってないかアンヌに確認、渡さなかったことを責める→ソファ脇の棚(右端)のiPadを止める→ほっといて欲しい!!怒鳴って下手ニコラの部屋へ戻る
♦黒ジャケット/白Tシャツ/黒パンツ/腕時計/黒靴下/黒レザースニーカー
暗転
アンヌ→赤いワンピース→ソファにいる
下手からピエール→サングラス/黒ジャケット(ジッパー)スーツケースを持って登場
チャイム→玄関から赤いボブ/赤いシャツ/赤いミニスカート/黒ベルトの女の人が入ってくる→2人で出て行く→アンヌ「サラ…」(その女の人をそう呼ぶ)
下手部屋からスーツケースを持ったニコラ登場→アンヌ「あなたまでも出て行くの?」すがるアンヌを突き飛ばす→玄関から出て行く→アンヌ1人で泣いている
♦黒シャツジャケット/白T/黒パンツ/腕時計/黒スニーカースーツケース(グレー)/腕に黒のジャケットを持っている
暗転
チャイム→玄関から看護師登場→本棚の後ろからベッド、リビングから病室へセットチェンジ
アンヌ→赤いワンピースの上から白の入院着を着せられる→ベッドへ→薬で眠りへ…
暗転
ニコラの姿が一瞬照明がついて見える
2回くりかえし
ニコラ病室、アンヌのベッド左脇に座っている
♦黒ジャケット(ラペルとポケットがサテン)/ネイビーシャツ/黒パンツ/腕時計/黒ベルト/黒靴下/黒靴(スニーカーではない)
下手ニコラジャケットを脱いで腕まくり(これとてもいい♡)→アンヌ「何が起ころうとしているの?」→ニコラ「ママを抱きしめる時間。僕はママをぎゅうっと抱きしめる。そして…(この時、圭人くんの頬に涙がつたってて…それにライトがあたってキラキラ光って…それがもう本当に綺麗で悲しくて悲しくて美しくて…)→ニコラ左ベッド脇に来る→ぎゅっとアンヌを抱きしめる→そのままアンヌの首を絞める→そしてそのままベッドにあがりアンヌの上にまたがりさらに強く首を絞める(ここちょっとセクシーなんだよね…)→アンヌ…息絶える→右ベッド脇でニコラ泣き崩れる→泣きながら下手から退場→ピエール、エロディ(ライダース/赤いワンピース)登場→ピエール 終わったんだ→エロディ 私のためにやった→エロディ、ニコラの後を追う→ピエール ニコラがかけたジャケットを着てアンヌのベッドの横に座る→アンヌ 目覚める→2人で話す(子供たちが小さかった時に学校へ送って行った話)→上手カーテン越しにニコラの姿(一往復してるかな?)→ピエール ニコラはきっと来るよ
♦カーテン越しのニコラ(シングルライダース/黒×グレーランダムボーダーニット/黒パンツ/黒靴下/黒靴)
息子ニコラの最後の服装と全て同じ
終わり。
すごい…
若村さんすごい…
圧倒的。
激流の中にいるみたいだった…
どこまでが現実でどこからがアンヌの妄想なのか、その境界線さえ曖昧だけど、全てが妄想とも真実とも思えた。そこが重要とはもはや思えなかった…
そして
圭人くんが言ってたように、ニコラのことが語られることあまりはない。
全てアンヌから見たニコラ。
どのニコラが実際の本当のニコラなのかは分からない。
ううん…本当のニコラはいたのかな?
それだって分からない。(ゼレールさんがパンフレットの中でニコラは死んでいるから家に帰って来ない(車での事故死)…と話してたのはびっくりした)
でもニコラがアンヌを愛を持って大切に想っていたのは分かった。
だからこそ苦しかった。
アンヌの愛は時に近親相姦的な愛にみえることもあったしアンヌもそれを知っていたけど男の子の母親って少なからずそういうとこあると思う。
娘を持つ父親だって似たような気持ちを持ってるし…
やっぱり異性なんだよなぁってアンヌを見て思った。
若村さんのアンヌには「愛してるからこそ失うことの怖さ」をすごく感じた。
エキセントリックの中にも心の芯に愛を感じた。
あったかかった。
若村さんのアンヌとても好きだった。
印象的なセリフで
母ではニコラがアンヌに対して「ママのせいで生きることができない」
息子ではニコラがピエールに対して「パパのせいで生きることができない」
2人が絶対的に違うのは母のニコラは自分を生きようとしていた。
ニコラがニコラとして生きるための選択が病院での行動だとしても。
あの場面、
私はニコラがアンヌから旅立った(親離れ)ことへのイメージだと思った。
アンヌが言う「まるであの子の人生に私が居ないみたい」(このセリフも息子でもアンヌは言っている)
ニコラは自分を生きるための選択をしたことだと思った。
最後、ピエールがアンヌに言う「きっとニコラは来るよ」
カーテン越しのニコラ。
若村さんが希望が見えると言ったラストシーン。
初めて観た日は、アンヌがアンヌの人生を生きることが新しい一歩への希望だと思ったから「希望ってなんだろう」って思った。
2回目を観た時に
離れていてもニコラの母を想う気持ちがあのカーテン越しの姿に感じて、すごく優しい気持ちになれた。
離れていても想う気持ちは同じ。
お母さんだって生まれた時からお母さんだったんじゃない。お母さんにも嬉しい日も悲しい日も楽しい日もどん底の日もある。
観た後に母に電話をした。
会いに行った。
おわり。