見出し画像

JFL2021開幕

震災から10年、この地に生まれたいわきFCの2021年がスタートする。改めて、この地域の歴史を振り返りながら、地域に生きる人々の精神性を考えてみたい。

一山一家

 炭鉱=山の言葉に「一山一家」があります。一つの山(炭鉱)は一つの家族。炭鉱夫だけではなくその家族もまた、山を支える一つの家族であるという連帯の言葉。

 昭和30年代、日本はエネルギー革命の渦中にあり、かつて国内最大と呼ばれた常磐炭鉱(福島県いわき市~茨城県北部)もまた閉山の危機を迎えていました。その時に同社は「炭鉱から観光へ」と方針転換を図り、地域の雇用を維持することに成功させます。その象徴が、映画でも描かれた「フラガール」です。山の娘たちが「一山一家」の精神の下、企業や地域を救うためにフラを学び、全国でPRを実施することで「常磐ハワイアンセンター」(現・スパリゾート・ハワイアンズ)の盛況を生み出しました。フラガールの活躍や地域に住まう多くの人々の努力もあって、いわき地域は時代に潰されることなく存続することに成功したのです。

東日本大震災

 それから約50年、平成23年3月11日午後2時46分。東日本大震災という未曾有の自然災害が東日本太平洋側を襲い、いわき市や双葉郡、茨城県を含む「常磐地域=常盤君+磐城国」も甚大な被害を受けることとなりました。同時に、いわきから約40キロ離れた福島第一原子力発電所は水素爆発を起こし、放射性物質がこの地にも降り注ぎました。ホームタウンの双葉郡には多くの放射性物質が降り注ぎ、人々は追い立てられるように故郷を離れざるを得ませんでした。いわき市は放射性物質の降下は少なかったものの、風評被害を含め様々な困難に見舞われました。

画像1

フラガール

 あの時も、人々の心を支えたのは「フラガール」たちでした。映画「フラガール」の主題歌「フラガール~虹を」の歌詞にある「名もないような花が 命を震わせて咲いている 大地に光を 果てしない夢を」のように、まさに小さな花が、懸命に踊りを通して咲き誇る姿は、私たちに勇気を与えてくれました。彼女たちも「一山一家」の言葉を胸に、全国をPRキャラバンで回りながら、いわきの元気を全国に発信し続けてくれました。

 いわき市の歴史は、エネルギーに翻弄されながらも、そこから力強く立ち直ってきた歴史でもあります。そこに常にあったのは「一山一家」という精神なのです。

画像2

いわきFC

東日本大震災から5年後、いわきFCが立ち上がりました。いわきFCの「倒れない、何度でも立ち上がる」その姿は、フラガールと同様、エネルギーに翻弄され、打ちひしがれながらも再起を繰り返してきた私たちの生きざま、精神性と同様なのです。小さく可憐な花に思いを寄せたあの日から、力強く走り抜く戦士たちの姿に思いを寄せる今日までの10年。そして11年、15年、20年と続いていく私たちの歴史は、まだまだスタートしたばかり。

 さあ、いよいよ開幕。昨年の悔しさを胸に、今年こそJの舞台に上がろう。
先人たちが「一山一家」の御旗の下に築き上げてきたこの地域を、いわきFCとともに東北一輝く、楽しい地域にしていこう。

 そしてハーフタイムにはスパリゾートハワイアンズダンシングチームによるフラが披露される予定となっています!ヴィアティン三重サポーターのみなさんも、ぜひご覧いただければ幸いです!


いいなと思ったら応援しよう!