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「がんばれ!」って英語で何ていう?
今日は「がんばる」について考察してみたいと思います。
うちの中学生の息子は、学校の部活で駅伝を、地域のクラブチームでラグビーをやっているんですが、駅伝の沿道やラグビーのグラウンドで、みんな「がんばれー!」と声援を送ります。
ふむ、、、「がんばる」って何でしょうね?
慣れ親しんだ言葉の本質を理解するために、英語で表現したらどうなる?が有効だったりします。
ちょっと余談ですが、「私はお酒に強い」を英語で何て言う?という動画がありました。
強い=Strong? I am storng against alchool とか?
その動画では、I can drink a lot が一番わかりやすいとのこと。
確かに意味を考えれば、そりゃそうですよね。
■ "Keep doing regardless pain"
「苦痛を感じたとしても、その行動をとり続けること」
これが「がんばる」の英訳だとしたら、どう思います?
がんばるシチュエーションって、苦しさ・辛さ・不快を感じながらも、それを跳ね除けて、なにかをやり続ける(あるいは始める)というイメージではないでしょうか。
箱根駅伝の走者たち。
心拍・脈拍が上がり、カラダはしんどさを感じているけれども、その反応を制圧して、自分のカラダを限界まで動かし続ける、そんな印象がありますね。
でも、Painを制圧しつづけるのって、なんだか恐い感じもします。
regardless the voie from your body (カラダの声を無視して) を続けていったら、どこかで身体と心が壊れてしまいそうですね。
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■ "Go for it"
「がんばれ」を翻訳すると、これ出てきますね。
英語の定型的な表現として使われています。
さて、この it ってなんでしょうか?
「がんばる」のは、なにか生み出したいものがあるからなんだと思います。
こうなったら嬉しい、こういうものを望んでいる、こうあるべきだ、という「望む未来」があるから、それに向けてがんがっているわけですよね。
これが itです。つまり「望む未来のために進め!」ということ。
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「望む未来」vs 「ホメオスタシス」
大会での優勝とか、仕事での成果など、「望む未来」があるとしても、どうしても現状を維持しようとする力が働きます。それを専門用語で「ホメオスタシス」(=恒常性)と呼びます。
部屋でゆっくりしていたい
これまで通りのやり方でいい
今の仕事、今の会社のままでいい
ピーター・センゲのベストセラー『学習する組織』では、この望む未来と現状を維持しようとする力の関係のことを「創造的緊張」と呼んでいます。
・望む未来の力と現状維持の力が互いに引っ張りあい、その緊張が緩和されるように事態は動くとして、
・望む未来へ引っ張る力が強ければ、現実が変わり、現実が動くことによって望む未来の力はさらにその力を強め、
・望む未来へ引っ張る力が現状を維する力よりも弱ければ、現実への働きかけが小さいために現実もずり下がり、それによって望む未来に向かう意欲も弱まってしまう、
というのが、ピーター・センゲの洞察です。
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Doing と Being
それじゃあ、「望む未来」へ引っ張る力をどうすれば強くできるのか?
そのヒントは、Doing < Beingです。
大会での優勝、自己ベストの更新、プロジェクトの成功、高い評価・昇格・昇給、、、このような目標 (Acheivement) は Doing系のものです。
それで自分にドライブがかかるのであれば良いかもしれませんが、より強い力を生み出すためには、
どのような自分になりないのか
何を大事にして生きていきたいのか
どのような社会・世界を望んでいるのか
という、Being 系のビジョンを持つことが、とても有効です。
最近、「パーパス」とか「Well-Being」という言葉が流行っていますが、これもBeing系のアプローチ。
「何をしたい」よりも「どうありたい」を問うことよって、幸せで充実した人生に近づいていくのではないか、という考えですね。
■ "Take Care"
この表現も、English Speakerはよく使いますね。「気をつけて」という軽いニュアンス。
まあ、慣用表現ではあるのですが、何に気を付けたらよいのでしょう?
現実を維持する力(=ホメオスタシス)は、生来とても強いものです。
ついつい「今のまま」を続けて、ストレスや刺激が起こらないよう、巧みに生きている人は結構多いのではないでしょうか。
本当にそれでよいのか?
Careするべき対象は、Go for it の "it" です。
ココロの声をCareする
現状維持の力につい負けそうになるとき、日常の忙しさの中で自分が望んでいる未来をつい忘れてしまうとき、
本来の自分が本当に望んでいること (=it)をCareしてあげましょう。
「そうだよね、やっぱりこれを望んでいるもんね」と、自分の気持ちを受け止めてあげましょう。
そして、その it のために、現状を維持しようとする抵抗力に挑んでいく気持ちを再確認し、薪をくべていきましょう。
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カラダの声もCareする
不快・苦痛・疲労感を感じるとき、それが「望む未来」に向けて「ホメオスタシス」が抵抗をしているために生じているのであるのか、よく自分に問いかけてみましょう。
[A] ホメオスタシスによる抵抗なのであれば、それは「望む未来」へのエネルギーを増幅し、ブレイクスルーが起こるまでの産みの苦しみなのかもしれません。
ただ、そうであったとしても、カラダが悲鳴をあげないように、よくよく耳を傾けてあげてください。
[ B ] もしかすると、その不快・苦痛・疲労感は、「望む未来」に繋がっていないのかもしれません。
繋がっていないからこそ、カラダが違和感や不協和音を感じ、それを教えてくれているのかもしれません。
例えば、
役割の責任として、やらなければならない
みんながやっているから、やらなければならない
できないヤツだと思われたくないから、やらなければならない
こんな感じの「ねばならない」思考があるようなら、一回立ち止まって、本当にそれをやる必要があるのか、ココロの声に耳を傾けてみてください。
今日はこの辺で。
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