100日後に花咲くビリオネアトレーダー……になれるのか?~ロスカットまつりのFXトレード日誌~5
登場人物紹介
・keith.w 通称キース。
仮想通貨からトレードを始めていま6年目。
なんとなくまつりを拾ってしまう。
・終乃(あとの)まつり 通称まつり。
24歳。ギャンブル廃人の元ホームレス女子。
キースにFXを習って億り人を目指す。
第5話「まつり、ポジポジ病になる」
まつりにFXにおける決済方式について学ばせたところ、やらかした。
自分が持つポジションと逆方向にポジションが伸びてしまい、損切りの嵐だったのだ。
これをポジポジ病という。
キース「またか……あれほど俺がいいと言うまでポジションを持つな、と言ったのに」
まつり「師匠――世界は終わりだ」
キース「おまえの名前が全部、物語ってるだろ。あとのまつり!」
まつり「他人の名前で遊ばないで!って、学校でも習ったでしょっ」
思わず涙ぐむまつり。
いかんいかん、これではパワハラだと思われてしまう。
これはメンタルの指導が大事だ。優しく受け止めたりはしないが……。
キース「FXで負けるやつらには、大体、法則性がある」
まつり「法則性?」
キース「つまりこんなやつだ」
キースは壁にかかっているスケジュール管理用のホワイトボードにすらすらとなにかを列挙する。
トレードに負ける要因、4選
取引に取り憑かれる人間はだめ(調べずに始める人間はサイコパス)
自由を求めない(学生時代を思い出し、規則正しいルールに従う)
市場は無計画な取引による負債を増長させる
トレーダーは常に自分の取引が正しいと思い込み、取引をするように仕向けられてしまう
まつりはそれらを声に出して読み上げた。
まつり「サイコパス……」
キース「思い込みが激しく、勝てると思っていて下調べもせずに始める奴は、必ず負ける。トレードに運の要素はあまり必要ない」
まつり「だって50対50の確率でしょ?」
キース「あほか、勝利70:負け30! 比率がそもそも間違ってる。勝ち2対負け1なんて意見もだめだ。最低3:1! おまえは勝ち1:負け9でやってるんだよ」
まつり「嘘ッ、知らなかった……」
他にも3項目あるが、キースはまず、まつりに自分の取引履歴を確認させることにした。
反対のポジションを持った際、取引したロット数は正解だったか、それとも持ち過ぎたのか。
ポジションを保有したその理由はなんだったのか。
キース「毎日、10ポジに制限しろ。その理由をチャート画面を印刷して、ノートに貼りつけて日記形式で損益を報告しろ」
まつり「ええええ……そんなん、マジの報告書やん」
キース「文句あるならこれで終わりだ」
まつり「やるっ、やりますッ。ししょー!」
まつりの返事は相変わらず調子がいい。
これで本当に大丈夫なのだろうかと、キースは溜息をつくのだった。
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