100日後に花咲くビリオネアトレーダー……になれるのか?~ロスカットまつりのFXトレード日誌~5
登場人物紹介
・keith.w 通称キース。
仮想通貨からトレードを始めていま6年目。
なんとなくまつりを拾ってしまう。
![](https://assets.st-note.com/img/1710982627801-amTB7H7eVy.png)
・終乃(あとの)まつり 通称まつり。
24歳。ギャンブル廃人の元ホームレス女子。
キースにFXを習って億り人を目指す。
![](https://assets.st-note.com/img/1710982628620-XraAF392KI.png?width=1200)
第5話「まつり、ポジポジ病になる」
まつりにFXにおける決済方式について学ばせたところ、やらかした。
自分が持つポジションと逆方向にポジションが伸びてしまい、損切りの嵐だったのだ。
これをポジポジ病という。
キース「またか……あれほど俺がいいと言うまでポジションを持つな、と言ったのに」
まつり「師匠――世界は終わりだ」
キース「おまえの名前が全部、物語ってるだろ。あとのまつり!」
まつり「他人の名前で遊ばないで!って、学校でも習ったでしょっ」
思わず涙ぐむまつり。
いかんいかん、これではパワハラだと思われてしまう。
これはメンタルの指導が大事だ。優しく受け止めたりはしないが……。
キース「FXで負けるやつらには、大体、法則性がある」
まつり「法則性?」
キース「つまりこんなやつだ」
キースは壁にかかっているスケジュール管理用のホワイトボードにすらすらとなにかを列挙する。
トレードに負ける要因、4選
取引に取り憑かれる人間はだめ(調べずに始める人間はサイコパス)
自由を求めない(学生時代を思い出し、規則正しいルールに従う)
市場は無計画な取引による負債を増長させる
トレーダーは常に自分の取引が正しいと思い込み、取引をするように仕向けられてしまう
まつりはそれらを声に出して読み上げた。
まつり「サイコパス……」
キース「思い込みが激しく、勝てると思っていて下調べもせずに始める奴は、必ず負ける。トレードに運の要素はあまり必要ない」
まつり「だって50対50の確率でしょ?」
キース「あほか、勝利70:負け30! 比率がそもそも間違ってる。勝ち2対負け1なんて意見もだめだ。最低3:1! おまえは勝ち1:負け9でやってるんだよ」
まつり「嘘ッ、知らなかった……」
他にも3項目あるが、キースはまず、まつりに自分の取引履歴を確認させることにした。
反対のポジションを持った際、取引したロット数は正解だったか、それとも持ち過ぎたのか。
ポジションを保有したその理由はなんだったのか。
キース「毎日、10ポジに制限しろ。その理由をチャート画面を印刷して、ノートに貼りつけて日記形式で損益を報告しろ」
まつり「ええええ……そんなん、マジの報告書やん」
キース「文句あるならこれで終わりだ」
まつり「やるっ、やりますッ。ししょー!」
まつりの返事は相変わらず調子がいい。
これで本当に大丈夫なのだろうかと、キースは溜息をつくのだった。