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スポーツバー物語⑦ースポーツバーからみたサッカーW杯(大会中)ー

前回まではサッカーW杯の準備の様子をお伝えしました。社会の異様とも言える盛り上がりの中、いよいよ大会が始まりました。日本戦のない日も、ありがたいことにお客様は連日一杯でした。そんな中、怪しげなお客様が現れました。

サッカーがワールドスポーツと言われる所以


 ケイタズバーのある大阪京橋は、ホテル「ニューOータニ」があり、ホテルからのご紹介で、多くの外国人のお客様がご来店されました。

大会期間中、外国人のお客様を見ていて、私は、あることに気がつきました。

それは、日本人と外国人のサッカー(スポーツ)の観戦の仕方です。

日本人は、試合中ずっと画面にかぶりつき、終始「いけーっ!」と声を上げ、ミスをすると「何やってんねん!」と野次ります。

ちょっと、◯イガースファンに似ています

しかし、サッカーのサポーターは、観戦中はほぼお酒を飲みません。

一方、外国人のお客様は、静かにビールを飲みながら、お互いの家族や仕事の話をしながら、サッカー観戦を楽しみます。

そして、シュートチャンスが近づくと「オイ、見ろよ!」とサッカーに集中し、熱く観戦します。

お酒を楽しみながら、人と人がスポーツ観戦を通してコミュニケーションを図るのです。

スポーツの見方一つにしても歴史と伝統、文化があるんだなあと感じさせられました。

「アー ユー フーリガン?」


 ある英語圏から来られた、外国人のお客様がいました。

いかつい男性2人と、子供1人なんですが、大会初日から毎日来店されていました。

すごく紳士的であり、親しみもあり陽気なお客様でした。

お酒も強く、よっぽどお金に余裕があるのか、毎日しこたまおごられ、ふらふらになるまで酔わされました。

いつしか、その一行の周りには他の外国人も集まり、連日サッカー談義で盛り上がっていました。

ある日、私は見てしまいました。

そのいかつい2人が、大量のW杯チケットをテーブルの下で、他の外国人客に売りさばいていたのです。

フーリガンかどうかはわかりませんでしたが、間違いなく私の店がW杯チケットの売買に使われていました。

そんな時、札幌のスポーツバーでフーリガンが暴れて店内が破損、怪我人が出たというニュースが流れました。

私の不安は一気に膨らみました。

これからどう対応したらいいのか?
本当に彼らはフーリガンなのか?

実は、大会期間中は、毎日警察の方がお店に来られ、営業の様子を聞き取りしていました。

何のためか、なぜ私の店なのかわかりませんでしたが、毎日のお客さんの数、外国人の割合、破損や盗難の有る無しを15分ほど事情聴取されました。

よっぽど相談しようと思いましたが、別に被害にあったわけでもなく、言い出せないでいましたが、外国人のお客様は増える一方です。

私は、意を決して「あなたはフーリガンなのか?」と声をかけました。

すると彼らは「イエス」と答え、「あんたには世話になっているし、子供も連れてきたので、この店で暴れるつもりはない。ただ、イングランドが敗退した日、この店を貸し切ってパーティーがしたい。」と言ってきました。

パーティーの件は断ると「金に糸目はつけない、いくらでも払う」と言ってきました。
もちろん、私は断りました。

彼らは、残念がっていましたが、日本が本当に気に入ったらしく、「日本は本当にいい国だ。」と懲りずに毎日きてくれました。

私は思いました、
「なんだ、フーリガンって優しいじゃん!」

今回はここまでです。最後まで読んでいただきありがとうございました。次回はいよいよ日本戦の模様をお伝えします。
そして、本日9月1日はケイタズバーのオープン記念日です。早21年!
あの時のフーリガンは元気にしているのでしょうか?

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