伝説の一戦、N体N大戦
今回から実業団編をお送りする予定でしたが、一部の読者より「あの伝説の一戦をぜひ!」というリクエストがありましたので、予定を変更してお送りします。
N体大のライバル大学はどこか?
チームが強くあるためには、ライバルが不可欠です。なぜなら、「ライバルには負けられない」という競争心が、練習の質を高めるからです。では、N体大のライバルはどこの大学だったのでしょうか?
それはズバリ!N大です。
理由としては、
1.有望な高校生がN体大とN大に集まっていた。
2.ともに世田谷区に大学がある。
3.昔ながらの伝統校で、有名なOBも多い。
が挙げられます。
代々木第二が満員札止めに!
インカレ決勝のN体vsN大戦は、最も注目された一戦。会場の代々木第二体育館は、朝から長蛇の列をなし、開場と同時に満員札止め。立ち見も出るほどでした。
選手入場から、お互いのテーマソングが流れ、会場を盛り上げます。N体は「ロッキーのテーマ」。N大は、今日のホームランでおなじみ、「Vibrations」です。
熱気で天井に霧がかかる⁉︎
ウォーミングアップのダンク合戦は迫力満点。会場から1本1本のダンクに、「ウォー!」という歓声が挙がります。ウソだと思われるかもしれませんが、体育館の天井が、熱気で霧がかったようにくもります。コート上がライトで照らし出され、天井には霧が出ている。なんとも言えない空間になるのです。
強烈ダンクで目を覚ます
春のトーナメント、秋のリーグ、そしてインカレと負けなしの優勝を狙うN体大。対するは春、秋ともに決勝をわずかな差で敗れ、リベンジをかけるN大。盛り上がらない訳はありません!両校とも気合の入った、ハイペースな試合が展開されました。
N大が先手を取り、試合を優位に進めます。前半、N大エースのT中選手に、速攻から強烈なダンクシュートを決められました。敵ながら、とんでもない運動能力だと舌をまきました。
ただ、N体も負けるわけにはいきません。ここから、N体大はギアを上げました。持ち前の速攻が続けて決まり、N大を一気に突き放しました。
「勝つぞ 男だ N体大!」
後半は一進一退でした。
試合終盤のことです。突然、S水先生が、試合に出たことのない4年生をコートに送り出したのです。今までベンチを温め続けた4年生、キャプテンを支え、後輩を励ます役に徹してきた4年生が、最後の試合で初めて、全員一緒にプレーすることができたのです。
そして、歓喜の瞬間がやってきます。前半の差が縮むことなく81ー68で優勝!正直なところ、嬉しさよりみんなホッとしていました。勝つことが使命、N体大の伝統を守ることができたからです。
人生のライバルとの出会い
この試合は、TVの中継がありました。試合前、中継の注意点を打ち合わせるため、N大のマネージャーと初めて対面しました。
初めての会話は「よろしく」だったか、あまり覚えていません。ただし、彼のただならぬ落ち着きだけは、今でもはっきりと覚えています。
彼の名は清水満雄君。清水君は高校バスケ界の名門、F大大濠高校出身。私と同じ高校時代からマネージャーです。インターハイ、選抜(現在のウィンターカップ)を制し、彼自身もバスケ専門誌で特集されるほどでした。
ほんの数分の出会いでしたが、まさか、この数分が〝人生のライバル〟との出会いになるなんて、この時は全く想像できませんでした。
彼がなぜ〝人生のライバル〟なのか。
それは後々、ゆっくりお伝えさせていただきます。