スポーツバー物語15・バーで起こったアンビリーバボなこと
3大スポーツのシリーズも終わり、今回はバーで起きたアンビリーバボなことを書きたいと思います。
ケイタズバーは大阪は京橋にあることは以前にも書きましたが、京橋にはOBP(Osaka Bissiness Parkの略)というオフィス街もあり、ホテルニューオータニが隣接しています。ありがたいことにそのニューオータニさんからのご案内だと思うんですが、宿泊されている外国人の方がふらりときてくれることもありました。今回はそんな外国人ご一行様が起こしたアンビリーバボな話をご紹介します。
突然泣き出した女性
ある時、数人の外国人グループがカウンターに並んでお酒を飲まれていました。
日本語は全く話せず、どうやらニューオータニ宿泊のツーリストのようです。
私もボディーランゲージでお相手していましたが、途中から深刻な雰囲気に変わり会話に入れない状況が続きました。
しかも、その中の一人の女性が人目も憚らず泣き出してしまったのです。
周りのお客様もビックリして、何があったのか気にされている様子でした。
どうすることもできず、私は困り果てていました。
「英語ができる人はいないの?」
その女性は何故か私に、涙ながらに訴えてきました。
どうやら「マドンナ、マドンナ!」と言っているようです。
ここは「ギャグでかわすしかない!」と思い、歌手のマドンナ「ライクアバージン」を面白おかしく歌ってみました。
その途端、彼女の顔に笑顔が戻りました。
その女性は落ち着きを取り戻し、名前もS(仮名)と名乗ってくれました。
そして、Sは再び何かを訴えてきたのです。
しかも、同伴の男性も一緒になって何かを訴えてきます。
お互い言葉が通じずもどかしさ募る中、とうとうSはカウンターから振り向きお客様に向かって訴え始めました。
どうやら、「誰か英語が喋れる人はいないの?」と言っているようです。
やがて、一人の女性のお客様が「私、少し英語ができるので通訳します。」と申し出てくれました。
バー史上最大のアンビリーバボ
二人がしばらく話していると、通訳役のお客様が神妙な顔つきで、「この方達は、歌手のマドンナのツアースタッフです」と教えてくれました。
通訳していただいた内容は、
「今日彼女に深刻な出来事があり落ち込んでいたんですが、日本の方々の親切な対応に癒された」
「マドンナのツアースタッフにも日本人がいて、マドンナの食事担当。彼女はとても良い方です。だから日本の印象はとても良い」
続けて「でも、あなたのライクアバージンは酷かったけどね」と最後にアメリカンジョークをかましてくれました。
店中が笑顔になったところで、Sはある提案をしてきました。
それはケイタズバー史上とてもアンビリーバボなことでした。
Sが突然立ち上がり、店中に響き渡るように声高らかに何かを発しました。
通訳の女性がこれまた驚いたように立ち上がり、こう叫んだのです。
「この方が皆さんを明日のマドンナのコンサートに招待するそうです!場所は大阪城ホール!皆さんの友達や知り合いに声をかけてください!さあ、早く連絡して!」
店は一瞬静まり返りましたが、それがジョークでは無いとわかるとパニックになりました。
何しろあのマドンナのコンサートにタダで招待されるのです。
皆こぞって携帯電話をかけ始めました。
Sが連絡先や人数をとりまとめる中、私に向かってこう言いました。
「あなたももちろん来てくれるわよね!」
しかし、私は今世紀最悪のジョークをかましてしまいました。
「アイ ライク シンディー・ローパー。」
外国人ご一行様は「Oh!」と言う表情を見せましたが、実際仕事や予定もありましたし、シンディー・ローパーが好きなことは事実でした。
Sとの最後の会話
次の日、30名ほどがマドンナのコンサートに招待され、十分に堪能したようでした。
実は、当日もSから電話があり「本当に来ないの?」と尋ねられました。(残念ながらお断りしています)
それが彼女との最後の会話でした。
あの日から、Sとは会うこともありませんし、もちろん連絡もありません。
彼女の電話番号は怖くてかけていませんが、なんとなく消去できず、まだ登録しています。
マドンナがスキャンダルを起こしてマスコミに名前が挙がるたびに思い出す、アンビリーバボな思い出です。
以上で今回の話は終わりです。
正直なところマドンナのコンサート・・・行っとけば良かった〜!とも思いますが後の祭り。チャンスはその場でつかまなければ、二度とやってこないということでしょうか。Sは元気にしてるかな。
今回も最後までご拝読いただきありがとうございました。