【番外編】TikTokでバズる楽曲ってどうやって作るの? 〜作曲編 【作り方/マーケティング講座】
作編曲家、Webマーケターの山本慶太朗です。
全3回でお送りしてきたTikTokでバズる曲解説ですが、実際のサウンド面話にあまり触れてこなかったので、
番外編として、バズるサウンドをいくつかだけ実例で紹介します!
ノウハウを語ると言うよりサウンドの紹介がメインになります。
紹介のサウンドサンプルは私が今作りました。
基本音楽制作に携わってる人向けの記事なので特に解説せず音楽用語使っていくので、マーケター等IT系の方でこれ読んでくださってる方は頑張ってググりながら読んで頂ければ……ごめんなさい。
分からない言葉あったらDMで気軽に聴いてください!
もうちっとだけ続くんじゃ!
1、スマホ媒体でも伝わる音
TikTokは多くがスマホの縦持ちで試聴します。外で見る時はイヤホンで聞いてもらえますが、家で見る人も勿論いてその人たちはスマホスピーカーで再生します。
その為スマホスピーカーに最適化されたmixで作った楽曲の方が楽曲の概要を掴んで貰いやすくバズり易い傾向にあります。
①アコースティックBDよりもEDMのKick
モノラル(縦持ち)でもグルーヴがわかり易い曲を作るのは必須。
となると特に重要なのはKickです。
前半がAcoustic Drumsで後半がEDM Drums。
ちなみになのですが「水平線とかアコースティックドラムなのにバズってるのでその理論は嘘www」とか思う人が出てくると思うのですが、
それはその通りで、あくまで"そういう傾向がある"って話です。
ここで紹介するもの全部"今ん所"そういう"傾向がある"ってだけなので、全部の要件を満たした曲を作ろうとする必要はないです。
じゃあ逆に何故有効な方法として紹介できるかと言うと、この仮説を検証するために同じ曲でKickだけ変えてABテストしたりした結果だからです。
なので"理由があれば"堂々とアコースティックドラム使ってください。
以降の話もその程度の話だと思って聴いてください。
あと私はあくまで「作編曲家」と「マーケター」なのでその視点からの話がメインになります。歌い手視点、エンジニア視点の話は少なめ&弱めなのでそちらも悪しからず。
②モノラルmixでも伝わるアレンジ
例えば……
monoでも伝わるアレンジを心がけけると伝わりやすくなります。
この制約は結構意識して作らないと意外とやりがちです。
結構私がやっちゃうのは、ステレオで鳴る事を前提としたアレンジをしてしまう事。こういうアレンジ。
ダメな実例紹介。
こういった対位法的に絡み合うトラック等は美しくてやりたくなっちゃうのですがTikTokで使用する箇所では縦スマホだと効果が伝わりにくいのでNG。
他にも…
こういうのは意識してないと私はやりがちです。
なのでこういったことを防ぐため私はapollo twinの『monoボタン』を押してTikTokの曲は作ってます。(オレンジのやつ)
こうすることで物理的にモノラルで伝わるアレンジが完成するのだ。
便利!
③トラック数が少ないアレンジ
これは私の好みの話もあるのですが、トラック数が多いとそれだけで飽和してしまうのでスマホスピーカーだと聴き難くなると思っています。
特にTikTokはどんな状況で試聴してるか分かりません。
お風呂や赤ちゃんの面倒を見ながら試聴している人がいる事を想定すると兎に角明瞭で分かり易いmixが歓迎されるのです。
私は同時に鳴らすのは肌感5トラック前後にするようにしています。
意外かもしれませんが、結構経験上これで試聴継続率が変わります。
④シンプルなベースライン
特にスマホ縦持ちだとLowが出ないですよね。ほっとんど聞こえない。
なのでBassで帯域を奪いすぎちゃうと、グルーヴが出にくく聞き辛くなる傾向があると思います。
前半がNG例。単体で聞くとかっこいいが、こんなにアグレッシブに動いてしまうとスマホだとヴォーカルとのバランスが悪くなりがち。
TikTokにおける音楽ってあくまで面白い映像を楽しむためのBGMなので、心地いい事が大事になってきます。
つまり『ノレる曲』
テクニカルなスラップやグライドを多用したヴィルトゥオーゾなフレーズでグルーヴを阻害してしまうのは勿体無いです。
⑤TDの時スマホで確認する
MONOで制作していたとて、スピーカーやヘッドフォンのMONOとiPhoneスピーカー縦持ちの音はだいぶ違います。
前者の方が音量が出てレンジも広くリッチなのでそこで許容できるものもiPhoneだと許容できなかったりすることもあるんですよね。
なので私は作り終わった後にiPhoneで再生して確認します。(勿論縦持ちで)
こう言う時はAudiomoversが便利ですね。マスターに指すだけで、リアルタイムにiPhoneでDAWの音源を再生できるプラグインです。
書き出す手間がないのがイイ。
2、時代の流れを経た音
Z世代はサブスクでの音楽視聴が主流になった影響でそれ以前の世代よりも聴いた曲の数が多い影響で大衆的でありながらも目新しいサウンドを歓迎する傾向があります。
こんなデータも出てるみたいです。
①リリースカットピアノ
これはシンプルに今流行りなんでしょうねー。
リリースカットピアノを使うだけで「リリースカットピアノだ!」みたいなコメントが結構付くんです。
夜系アーティストなどの影響かもしれません。
こういった普通の生ピアノだと出来ないような高速パッセージを入れ込んでいくのが流行です。ちょっとクセのあるコード進行や、食ったフレーズを入れるのもキモかもです。
テクニカルでおしゃれな音だと感じて貰える傾向もあり歓迎されます。
使うなら単独、又は浮いてくる分かり易いアレンジをするのがおすすめです。
この流行りがいつまで続くかはわからないので今だけの話だと思いますが。
②テクニカルなフレーズ
さっきの話と矛盾するのですが、スラップベースのテクニカルなフレーズやギターの速弾きなど、分かり易くテクニカルだと分かるものも歓迎される傾向にあります。
これもおそらく他の"演奏してみた系"のインフルエンサーの方々が、そういったテクニックを魅せる"超絶技巧プレイ"でエンゲージをとっている影響なのでしょう。
曲中ではなくイントロやブレイクで使うような解り易い使い方がおすすめです。
③ちょっとだけ異質を感じるコード進行
マリーゴールドや香水など古来からある日本人が好むコード進行の楽曲が流行する一方で、YouTuberのゆゆうたさんが言い始めた『イキスギコード』と呼ばれるちょっとフックのあるコード進行も昨今流行しておりおしゃれだと感じてもらえる傾向があります。エンゲージメントも取り易いです。
具体的には、
この辺りが歓迎されます。
こんな感じです。
丁度お風呂が沸いたので「お風呂が沸きましたの音楽」を2パターンコード付けしてみました。
1つ目が日本人がずっと好きなやつ、2つ目が最近流行ってるやつです。
とはいえ聞くのはマスの10代の子たち。
私はコード進行凝るの大好きマンなので、これ以上攻めそうになっちゃいますがそれやると流石に理解されないので注意です。
裏コード!と言われてコルトレーンみたいな本物のJazzをやろうとするのはあんま良くないです。Jazzじゃねーし!って言いながらドリームシアターとかキースエマーソンとかやるのもダメ。
ポップスでも富田ラボとかDirtyloopsまでいくとやりすぎです。
昔のジャミロクワイくらいならギリ有りかもだけどSnarky Puppyはやりすぎ。ダメだこの境界線を探る話個人的に楽しすぎて永遠としてしまう(笑)
④90年代風サウンド
この話はわざわざ触れるまでもない皆様周知の話だと思うのですが、20~30年周期で文化の流行はリバイバルするので今90年代のサウンドが若者の間でもてはやされています。
といっても新曲で踏襲する要素は主にメロの作り方です。
一時期DX7的な音を使ってFMサウンドアレンジの曲作って投稿したりを検証したのですが別に反応はイマイチでした。TikTokのユーザーはシンセの音作りの差で聞き分けたりはしていないってことですね。
→この曲なんかはアレンジは別に古めかしく感じないが、メロは懐かしさを覚える。
コードは複雑だとおしゃれだと気付いてもらえるが、シンセの音色は気付かれにくい……。境目が難しいです。
どの要素が視聴者にとってどう受け取って貰えるかは悩みまくって損はないです。
3、アルゴリズム的に優遇される音
同じ人でもコンサートホールとバーとクラブとで聞きたい曲が違うのと同様の現象が当然アプリでも起こります。
YouTubeでもTwitterでもなくTikTokで聞きたい曲とはTikTok文化の上に成り立つTikTokユーザーがより小心動くものであり、それは突き詰めるとTikTokアルゴリズムが歓迎する楽曲という事になります。
ここではアルゴリズムに好かれるサウンドとは何かをちょこっと紹介します。
①急激なアレンジの変化
動画の前後半で雰囲気がガラッと変わる曲は、伸び易い傾向にあります。
変える要素としては「ジャンル」「BPM」などが該当します。それに伴い歌い方を変えられるとなおベストですね。
理由としては2つ。
1つは後半に何か起こると言う期待感を最初に煽ることで視聴継続率が上がる。
もう1つは前後半でのサウンドの変化が面白くて思わずコメントしたくなるから。
この要素だけをド直球に当てて成功している実例がたまたまあったのでご紹介します。
②コメントが来る特殊SEを用いたアレンジ
例えば「学校のチャイム」「LINEの通知音のフレーズ」「YouTuberがよく使うSE」など
何処かで聞いた事があるサウンドを用いた楽曲はコメントがつき易く伸び易いです。
こういったものは「自分はこの音を見つけたぞ!」というコメント欲を刺激できます。露骨すぎず、しかしちゃんと聴けば誰でも気付ける程度であたかも自分だけが見つけたかのような感覚に誘い込むのがコツです。
③フックを感じるヴォーカル
例えば…
など、通常とは異なる入り口で始まり疑問を抱かせるヴォーカルは手を止めて貰える傾向があります。
原曲;
小説 夏と罰 (上)
https://www.youtube.com/watch?v=AiTIlBOX4kk
→この曲は金切り声のような「ああああああ」から始まる大変印象的で動画を作りたくなる楽曲。
④イントロで疑問を抱かせる作曲
など、イントロで疑問を抱かせる曲にすることで格段に反応率が上がります。
これはTikTokで切り抜く箇所がそうなっていればOKです。
こういうのです。
これもかなり再生数に直結します。
⑤ブランドを向上させる分かり易いアレンジ
これは正直普段の編曲仕事とやることは一緒です。
それを自分たちの曲に興味がない一見さんにも分かり易くパッケージングしてあげましょう、という話です。
いつもより誇張しましょうっていうニュアンスが近いです。
例えば…
可愛いで言うと"これくらい"が流行りのアレンジ。
感覚の話なので言葉で説明するのが難しいのですが、中途半端に目指した可愛いなどの感情はユーザーに伝わりきらなくて失敗した経験が多々あります。
多分普通の職業作家に普通に頼むと薄味になると思います。ちょい濃い味めで!と発注することをお勧めします。
4、サンプリングレート/ビットレートと拡張子。ラウドネス規制に関して
執筆日現在、TikTokのアプリ上では上記のサンプルレートで再生されているのを確認しています。
ちなみにラウドネス規制に関してはおよそ『-14LUFS』前後で掛かるのではないかと予想しています。
ラウドネス規制はPC版ではかからずiOS版限定の仕様になります。
規制がかかるのはアプリ上の見た目だけであり、ダウンロード機能を用いて動画素材をダウンロードして再生すると元の音量で聴けます。
ちなみに上記は通常の動画投稿での音声データになります。
TuneCore Japan経由だともっといいデータで配信できるのですが、結局UGCの音楽データは上記に圧縮されるんですよね。
なので私は上記で確認するようにしています。
あくまで現状の私的な調査なので悪しからず!!
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