【公開1on1】新卒エンジニアがカンパニーCTOになるまでの軌跡をCTOと振り返る
みなさんこんにちは!マネーフォワード新卒採用担当田中です。
今回も【公開1on1】シリーズと題して、社内の【1on1】を覗き見できる企画をお届けします!
シリーズ第2回は、2018年に新卒で入社し、個人向けのサービスを提供するマネーフォワードホームカンパニーのCTOを2020年12月から務める小笠原と、全社CTO中出の1on1を覗き見してみましょう!
※ マネーフォワードは現在事業ドメインごとのバーチャルカンパニー制になっています。
登場人物
中出:取締役執行役員 CTO。ジュピターショップチャンネル株式会社、シンプレクス株式会社を経て2015年に当社入社。入社後はFinancialシステムの開発に従事。2016年にCTOに就任。
小笠原 (@0gajun) :マネーフォワードホームカンパニー カンパニーCTO。2014年にインターン、2018年4月に新卒エンジニアとして入社。CTO室、サービス基盤本部を経て現職。
マネーフォワードとの出会い
(小笠原)
ー小笠原くんが最初にインターンとしてマネーフォワードに入社したのは2014年、まだメンバーが50人ほどしかいなかった時代でした。まずはインターンとしての入社の経緯を聞かせてください。
小笠原:2013年、マネーフォワードに入社する1年ほど前ですが、大学の学園祭実行委員で専用のスマホアプリをひとりで作ることになりました。「こんなものがあったら面白いんじゃないか」と提案したものの、当時は今ほどスマホアプリが流行っていなかったこともあってほとんど誰も興味を持ってくれなくて。
必要なプログラミング言語を全て独学で勉強するところから始めたんですが、iOSのアプリを作成するための言語の勉強が間に合わなかった。そこで、学園祭実行委員のOB経由でインターンの求人サイトを運営している会社主催の無料勉強会に参加したんです。その勉強会の参加条件が、その求人サイト経由でインターンに応募することでした。当時の僕は一人暮らしを始めたばかり。銀行口座が3つに増えたり、パソコンが欲しくてカードローンをしていたことからお金の管理が必要になり、お金の見える化アプリ『マネーフォワード ME』を使い始めたころでした。インターン候補の企業にマネーフォワードを見つけ、好きなサービスに関わることができるのはいいなと思って応募しました。2014年の5月だったと思います。
ー2014年当時の『マネーフォワード ME』はまだ今ほど知名度が高くなかったはず。そんな時代からアプリを使っていたんですね!入社当初はどんなことを?
小笠原:Androidエンジニアのインターンとして入社して、最初はパスワード入力画面のパスワード表示/非表示ボタンを作る、みたいな簡単なタスクから始めました。そういえば、当時は飲食のアルバイトしかしたことがなくて、会社の面接=スーツだと思ってスーツで面接に行ったらいじられたのを覚えています(笑)。面接の場でアプリの改善要望を伝えたりもしていました。
中出:いかにも学生インターンっていうかんじですね(笑)。
小笠原:次第にAndroidのAPI※呼び出し周りの整備など、プロジェクト単位で仕事をいただくようになりました。ただ言われたことをやるんじゃなくて「こんなことがやりたい」っていう大きな目標を掲げて、自分が使っているサービスを改善出来るのが楽しかった。Wear OS by Google スマートウォッチ(旧称 Android Wear)対応など、本当にいろんなことをやらせていただきました。あの頃は、自分の作った物が世に出ていくことがやりがいでしたね。
※アプリケーション・プログラミング・インターフェースの略
ー中出さんは、当時の小笠原くんの印象はいかがでしたか?
中出:私は2015年にマネーフォワードに入社しているんですが、小笠原くんのほうが先に入社してるんですよね。だから最初はずっと「おが先輩」って呼んでいたんです(真顔)。
小笠原:いやいや、それは嘘です(笑)。中出さんが入社された当初は部署も遠かったし、一緒に仕事することはほとんどなかったですね。
中出:会うより先に噂が入ってきていましたね。小笠原くんっていう優秀かつイケメンなインターン生がいると。あぁ、そんないけ好かないやつがいるのか、と思っていたんですが(笑)、会ってみたら本当に優秀かつイケメンで。当時からぜひ新卒として入社してほしいなぁと思っていました。
マネーフォワードに新卒として入社を決意するまで
ーその後、小笠原くんは就活や論文執筆のために一度退職されています。最終的に新卒としてマネーフォワードに入社することを決めるわけですが、決め手はどんなことでしたか?
小笠原:就活では、マネーフォワードともう一社で迷っていました。元々『マネーフォワード ME』が好きで入社していることもあり、事業的な魅力を感じていたのはマネーフォワード、一方でもう一社には技術的な魅力を感じていました。最後にもう一度だけマネーフォワードを見てから決めようとマネーフォワードに戻り、最終的に事業の魅力、好きなプロダクトを通じて社会貢献ができると感じたマネーフォワードを選びました。エンジニアとして技術的な魅力も捨てがたかったのですが、マネーフォワードはインターン生である僕にも大きな仕事を任せてくれていたこと、今はレガシーで動きにくい部分もあるかもしれないけれど、それを決して良しとせず変えていこうとしていることから、技術的にもチャレンジできる環境があると感じたんです。世の中に新たな価値を届けていくためのチャレンジがしたい、と思って決断しました。いい話ですね~(照)。
中出:全米が泣きましたね。
小笠原:大学生の頃は研究職を目指していたので、まさか自分がベンチャーに入社するなんて想像もしていませんでしたけどね。
中出:そうだったんだ。それがどうしてマネーフォワードに?
小笠原:大学では情報工学を専攻していましたが、将来はその中でも通信系の研究職に就こうと思っていました。でも、当時の自分には通信系の研究はかなり完成された世界のように感じられたんです。そんなときに受けた授業でOSの話に興味を持って、システムソフトウェアの研究室に入りました。研究も楽しかったですし意義のあることなんですが、インターンを通じて技術がユーザーに届くことに大きな価値を感じました。自分がやっていることが世の中にとっていいことだという実感が得られる、そこに自分の時間を投資したかった。
ーユーザーに貢献したい思いが強い?
小笠原:これはシンプルに僕自身が『マネーフォワード ME』に救われた経験があるから。他の人もそうであるといいなと思っています。
ーその当時、中出さんとの関係性は?
中出:戻ってきた当時、迷っているのはわかっていました。技術的にはもう一社のほうが圧倒的にキラキラしていた。一方当社は、サービス同士が密結合した状態からの脱却にやっと取り掛かろうというところで課題が満載の状態、ハッキリ言ってボロい。でも、当社の事業やサービスは好きだと言ってくれていたので、ぜひ一緒にボロいところを直すのを手伝ってほしい、と何回か話をしました。
小笠原:CTOである中出さんがそのボロい部分を本気で変えようとしていたから、きっと変えていけるし、変えていこうと思ったんですよね。
新卒としてマネーフォワードに入社(やっと)
(入社式の様子)
ー最初のマネーフォワードとの出会いから約4年、2018年4月に、晴れて新卒メンバーとして入社されました。
小笠原:最初はCTO室でマネーフォワードホームカンパニーのインフラ整備と開発環境の構築に従事していました。ですが、始めてすぐにこれは事業部に閉じない課題があると気づいたんです。全社のインフラの課題解決をしたほうがよさそうだなと感じていたある日、CISOの市川さんとの飲み会の席で、「インフラ(サービス基盤本部)のほうが動きやすいと思うんですよね」という話をしたところ、翌々日にはもう異動が決まっていて(笑)。入社してすぐ、6月くらいのことじゃなかったかな。そこから、今回マネーフォワードホームカンパニーに異動してくるまでサービス基盤本部でインフラの整備に従事していました。
ーサービス基盤本部でのお仕事はいかがでしたか?
小笠原:当初は1年でマネーフォワードホームカンパニーに戻る予定でしたが、世の中甘くないと思いました(笑)。当社が持っている大量のデータを物理サーバーからクラウドサーバーに移行するプロジェクトでしたが、想像以上に大変で、全く終わりが見えない。相互に複雑に絡み合ったデータを少しずつ剥がしていく必要があるし、なおかつその物理サーバーは地方にあるので通信にかかる時間も織り込まないといけない。気の遠くなるような工程でした。
(2019年、AWS Summitに二人で登壇したときの様子)
ー1年の予定が2年半かかって、ようやく積年の思いが叶ってマネーフォワードホームカンパニーに戻られたわけですが、中出さんはどうしてこのタイミングで小笠原くんをホームカンパニーのCTOに?
中出:迷いはなかったです。もう、おがだよねって。インターンしていた時代から何をやってもできるし、責任感があって真面目、伸びるに決まっていますよね。この年代で彼ほどできる人はいないのではないでしょうか。インフラだけじゃなくて、1日も早くこの会社の中核を担う存在になってほしいと思っていました。
ー小笠原くんは、カンパニーCTOの打診を受けたとき、迷いや不安はありませんでしたか?
小笠原:引き受ける時にはできるかなという不安はありませんでした。周囲に相談できる中出さんのような存在がいるし、むしろ恵まれているなと。もともとホームカンパニーにいていずれ戻りたいと思っていましたし、僕が意思決定をすることで技術的な課題に対する閉塞感や停滞感を変えていけたら、僕自身のやりたいことにも繋がるしいい経験になるだろうと思いました。ここで断ったら、もう二度とこのチャンスは巡ってこないだろうという気持ちもありましたね。そういう意味でも、断る理由がなかった。
中出:悔しいくらいポジティブでいいですね。
小笠原:実際にやってみたらイメージと違うこともたくさんありましたけどね。普通ならチームリーダーやって、グループリーダーやって、部長とかやって、色々マネジメント経験積んでからというイメージがあるんですが、僕は一切リーダーとかやらずにCTOになってしまったんです。 マネジメント経験や評価経験が一切ない状態でメンバーのアサインメントに携わったり評価をしていかなければならなかったりと、大変ではありますがいい意味でストレスを感じる日々を過ごしています。
ー中出さん、今後の小笠原くんにどんな期待をされていますか。
中出:最終的には今の私のポジション、全社のCTOになってほしいなと思っています。そのためには小笠原くんにはもっともっと成長してもらわないといけません。仮に全社CTOになるのに数年かかるとして、マネーフォワードは急成長企業ですからその間に組織もまたどんどん大きくなる。組織の成長に負けない成長をしてほしいと思っています。今回はその道の入口に立ったということ。ここからどんどん経験を積んでいってほしいですね。
ー小笠原くん、その期待についてはどう感じていらっしゃいますか?
小笠原:以前にさらっとお伝えいただいたことがあるんですが、今は一旦忘れるようにしています。話が大きすぎて(笑)。今は『マネーフォワード ME』が好きだというモチベーションでカンパニーCTOを任せていただいているので、まだ全社にスコープを広げる想像ができていません。
中出:まぁ順番にね。今ももしかしたら思ったより難しいこともあると思いますけど、おがなら良い状況にしてくれると思ってます。
小笠原:カンパニー全体で60人くらいの組織ですが、それでもまだどう動けばいいのか掴みきれていないのが正直なところです。引き受ける前と違って、実際にやってみたからこそ余計に考えているのかもしれません。
ー実際にその立場に立ってみて見えてくることもたくさんありますよね。
小笠原:正直、以前は中出さんって何やっているんだろうと思っていました(笑)。でも今自分がこの立場になって思うのは、本当に大変なんだろうなと。Respectの気持ちが高まっています(笑)。
中出:おがもいつかこっちに来るからね(笑)
小笠原:過去にやられていたプロジェクトも、なんでこんなことやってるんだろう、もっとこちらのことも考えてほしいと思っていたんですが、あれはグループ全体のことを考えていたんだなと。見える景色が変わってきました。
カンパニーCTOとして
ー最後に、カンパニーCTOとしての今後の展望を聞かせてください。
小笠原:プロダクト面では、『マネーフォワード ME』を未来のお金の見える化ができるプロダクトにしていきたいと思っています。今はまだ過去と現在のお金の流れを把握することしかできませんが、そこから未来の見える化に繋げることで、人々がお金の不安から解放されて正しい意思決定ができるように。プロダクトを通じて「お金を前へ。人生をもっと前へ。」という我々のMissionを実現したいと考えています。技術的には、困難なことは全部倒していきたい。それをやることでもっと社内外のエンジニアから関わりたいと思って貰えるような組織やプロダクトにしていきたいと思っています。
ー中出さん、小笠原くんへのメッセージをお願いします。
(中出)
中出:そうですね、いろいろ難しいことがいっぱいあるだろうけれど、目の前にあることは全部課題だと思っています。高みを目指すためには、技術的にも組織に対しても課題解決能力を磨くことが大切。大きい課題とぶち当たって、ひとつひとつ乗り越えていってほしいですね。苦しいかもしれないけれど、楽しんでほしいなと思っています。
いかがでしたか?フェーズ毎にどんどん視野を広げて急成長している小笠原と、それをまるで父のように温かく応援する中出の姿がとっても微笑ましい1on1でした!これからのマネーフォワードホームカンパニーと、小笠原の未来がとても楽しみです!
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