海外営業としての通訳経験とその準備記録 11
それは台湾への初めての出張で、営業担当+通訳としての役割での出張であった。
それはKick off meetingと呼ばれるミーティングで、そのPJに関わる経営層、工場長、管理職が一同に集まるもので、PJの概要、工期、保証条件etcを話し合う場であった。今回はその際の保証条件についての出来事について綴りたい。
"保証条件"…、特に"数値"での性能保証は妥協できない重要ポイントである。今回はその数値でもめていた。
こちらとしては絶対に飲めない条件を突き詰けられており、通訳中はひたすら"We can't accept it."や"It's impossible."等のお断りの言葉を繰り返していたように思う。私は1担当者に過ぎない為、営業といえども主観は一切排除しないといけないし、当然ながら誤訳も許されない。
そんな押し問答を繰り返していると、あっという間に時間は経ち、外は暗くなった。ここまでくると交渉というより、"根気比べ"に近い。
時計は22時を回る。お互いに一歩も引かない攻防が続く。"いつになれば帰れる(解放される)のだろう…。そう思いつつも、粘る。
そして、23時を回る頃だろうか、相手がついに根負けしこちらの条件をのんだ。
長い長い話し合いは無事に終わった。今振り返っても非常に荷が重い通訳だったなと思う。色々な通訳の形がある…と思い知った長い1日だった。
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