1年後、ここに立つ!ケイタの決意!〜男子チア物語第27話〜
2013年11月1日。
俺は、1人で明治大学和泉キャンパスにいた。
授業は今日から3日間休みだった。
今日から3日間は学園祭だからだ。
「第129回明大祭 あふれるジブンイロ」と書かれた看板が至る所にあり、様々なサークルが出店を開いたり、いくつかのステージではダンスサークルなどがパフォーマンスを披露していた。
会場は多くの人であふれ、大いに盛り上がっていた。
俺の目的は、ただ1つ。
学園祭の雰囲気を味わいたかったわけでもなく、1年後の未来をイメージするためだった。
会場には大きく分けて屋外に2つのステージが用意されていた。
校門をくぐってすぐに位置するパフォーマンスエリアと、食堂前に位置するメインステージだ。
「まずはパフォーマンスエリアに行ってみよう」
俺は早足で向かった。
到着すると、サッカーボールを使って華麗なリフティング技を披露するサークルがパフォーマンスしており、観客を沸かせていた。
「おー!すげええ」
俺も思わず声が出てしまうほどの驚愕の技を見せつけられた。
「気持ち良いだろうなあ。こんな大勢のお客さんたちの前で演技が出来て」
少しうらやましくも思ったが、来年、俺たちがここで演技をすることが出来たら、もっと沸かせられるだろうという根拠のない自信もあった。
「じゃあ次はメインステージに」
俺はもっと奥に位置するメインステージへと向かった。
「お兄さんチュロスどうですか?」
「たません買いませんかー?」
向かう途中、いろんな学生から声を掛けられ、つかまりそうになったが今の俺はそれどころではない。
「学園祭を楽しみにきてるわけじゃないんだ。それに1人だし…」
恥ずかしさもあり、うつむきながらメインステージを目指した。
「よし、ついた!ここがメインステージか!!」
見てビックリした。
「思ったよりせまい!!!」
予想以上にメインステージはせまかった。
横幅はある程度あるが、奥行きは人が3人立つのがやっとか。
SHOCKERSの演技を見て、大隈講堂前のメインステージをイメージしていただけに、そのステージがあまりにも脳内に焼き付いていた。
「なるほど…。これも勉強になるなあ」
俺はその瞬間、まず俺たちの目指す演技を最大限、披露できるのは、パフォーマンスエリアだと判断した。
メインステージでも出来なくはないが、パフォーマンスエリアで演技を行う方が最大限のパフォーマンスが出来ると感じた。
とにかくお客さんの前で演技がしたい。
決めた。
「来年はパフォーマンスエリアで演技する」
あのパフォーマンスエリアを目指して、1年間、俺は絶対にチームを作り上げると誓った。
来て良かった。
俺のモチベーションはさらに上がった。
帰り際、最後にもう一度、パフォーマンスエリアに立ち寄った。
日は暮れていたが、観客の"熱さ"は増していた。
俺はステージをただただ見つめ、ほほ笑んだ。
「絶対、1年後、このステージで演技するんだ!!!」
声には出せない思いを、自分の心の中で叫びまくった。
つづく
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第27話の登場人物 整理
ケイタ(俺)=筆者であり、主人公。愛知県・蒲郡市出身。豊橋東高校卒業。