届け!仲間からのエール〜男子チア物語第12話〜
2013年1月下旬。
センター試験から10日ほどが経過していた。
いつも一緒に蒲郡から予備校に通っていた他の4人は順調にセンター利用でおのおの、すべり止めをおさえていた。
もちろん仲間だが、そうした事実がさらに俺を不安にさせていた。
自分だけが不利な状況に立たされたように感じた。
複雑な思いを抱きながら、いつものように予備校から夜、自宅に帰ると、家のポストから何かが飛び出ていた。
「こんな分かりやすいのに、親は気付いていないのか?、、、ったく」
郵便物らしきものを取り出してみた。
「あれ?折り畳みの色紙?何だろう?」
玄関先で、ゆっくりと、その折り畳みの色紙を開いた。
その文字を見た瞬間、胸がぐっと熱くなった。
次第に、涙がこぼれ落ちた。
「なんだよこれ...なんで俺にこんなことしてくれるんだよ」
同じの高校だった地元蒲郡に住む仲間たち「蒲メン」7人によるサプライズプレゼントだった。
早稲田受験に臨む前に、激励メッセージが俺に届いた。
すぐに仲間たちとのグループラインにメッセージを入れた。
すると、俺の返事を待っていたかのように、すぐに1人から写真がグループラインに投下された。
「お祈りしてきたよ!ケイタ、絶対大丈夫!今までやってきたことを信じてファイト!」
わざわざ俺のためにみんなでお祈りに行ってくれたことを知った。
心優しき仲間たちのエールによって、俺はさらに気合が入った。
「俺は1人じゃない!応援してくれる仲間たちがいる」
それまでビビっていた俺の不安はどこかへ吹き飛んだ。
この時期には、他にもいろんな友人から激励のメッセージや、プレゼントが届いた。
本当に力になった。
パワーがみなぎってきた。
2013年2月。
俺は仲間たちからもらったお守りを握りしめ、戦いの地・東京へリベンジ受験に向かった。
1年前にも背中を押してくれた富士山が再び窓越しに綺麗に映っていた。
昨年は1週間ほどの滞在だったが、今年は約2週間の長期滞在。
それもそのはず。
順番からいくと、明治、学習院、立教、早稲田と受験があり、中でも早稲田は5学部ほど受験予定があった。
そうなると必然的に、長期滞在しなければならなかった。
1年ぶりに訪れた東京の地は変わらず華やかだった。
圧倒されかけたが、気持ちを保った。
明治受験に始まり、本命の早稲田受験まで怒涛の受験ラッシュを終えた。
「4月に絶対また、帰ってくるよ!早稲田!」
試験疲れを感じた時もあったがなんとか踏ん張って駆け抜けたつもりだ。
2年目の戦いが終わった。
手応えは昨年よりはあった。
早稲田は5つの学部も受けたし、正直どこか1つくらい引っかかってるんじゃないか、という期待もあった。
帰りの新幹線。
気分は清々しかった。
去年の帰りは天候不良で見ることの出来なかった富士山を、この日は綺麗に見られた。
「よしっ!後は信じて待とう!人事を尽くして天命を待つ、だ」
やることはやった。
明るい未来を信じて、結果を楽しみに待っている自分がいた。
つづく
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第12話の登場人物 整理
ケイタ(俺)=筆者であり、主人公。愛知県・蒲郡市出身。豊橋東高校
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