3.2.1.GO!ANCHORS!初めての円陣〜男子チア物語第20話〜
2013年5月上旬。
カズキがメンバーになって、数週間が経った。
ついに俺、サヤカ、カズキのANCHORSのライングループが出来た。
こうした些細な出来事も、俺にとってはスタートした感じがして嬉しかった。
とはいえ、まだサヤカとカズキは対面していなかった。
「今度、第1回、ANCHORSミーティングを開催しよう!3人で!」
俺がグループラインに投下した。
2人も賛同してくれ、初のミーティングが開かれることになった。
2013年5月中旬。
俺たちは新宿歌舞伎町のファミリーレストランに集合した。
会議や"駄弁り"といえば、ファミレス。
高校時代からずっとそうだった。
カズキとサヤカは初対面。
2人は照れを見せていたが、俺が話を進行させた。
これからどうやって仲間たちを増やしていくか、どういう理念を持って活動していくか、など深く3人で語り合った。
グループスタンツを組むにはトップ、ベース2人、スポットの合計4人が少なくとも必要だ。
カズキと2人のままではできない。
とりあえず、3人で周囲に片っ端から声をかけることを決めた。
「年内に最低8人のプレイヤーを集めよう」
ひとつの目標として掲げた。
チアの話がある程度終わると、初めましてだったカズキとサカヤは、互いに自分のことを打ち明けていた。
仲が深まるのを、俺は外から見て嬉しく思った。
気づけば、ミーティング時間は4時間近くに及んでいた。
新宿駅への帰り道。
3人で歩いていると、アルタ前でサヤカが急に立ち止まった。
そして俺とカズキの方を見て、ニコッと笑った。
「ねえ。円陣、組もうよ。絶対成功するってことを祈って。ね?ANCHORS最初の円陣だよ」
その言葉を受けて、俺は右手を差し出した。
サヤカが俺の方を見て微笑んだ。
「ケイタ、じゃあ掛け声お願い」
周囲には多くの人が行き交うのをよそに、俺は大きな声で叫んだ。
「よっしゃー!いくよ?3.2.1...」
『GO.ANCHORS!!!』
新宿の夜空に3人の声が響き渡った。
恥ずかしさを通り越してサヤカ、カズキも笑っていた。
ANCHORS最初の円陣。
未来への成功を祈って、俺たちは駆け出した。
つづく
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第20話の登場人物 整理
ケイタ(俺)=筆者であり、主人公。愛知県・蒲郡市出身。豊橋東高校卒業。
カズキ=ケイタが大学に入ってから心を許した初めての友人。クラスメート。
サヤカ=埼玉県出身。同じ経営学部。手先が器用。ケイタと同じく早稲田の男子チアSHOCKERSに憧れ、マネジャー志望として早稲田大学を目指すも叶わず明治大学に入学。
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