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2人目のプレーヤー誕生...!?〜男子チア物語第22話〜

2013年9月下旬。

後期がスタートして、1週間が経過した。


メンバーは俺とカズキの2人。



同じクラスだったこともあり、常に一緒にいた。


あの日、言ってくれたカズキの「俺はたとえ1人でもー」のセリフが頭から離れない。



俺を再び奮い立たせてくれたのは、間違いなくカズキだった。


ある日の体育の授業。

いつものように準備体操をしながら、俺はクラスの仲間たちに片っ端からPRした。



「ねえ、男子チアって見たことある?」


「そっか!ないのか。それならこの動画見て欲しい。あとでラインで送っておくね」



俺はみんなに早稲田大学男子チアリーディングチームSHOCKERSの迫力満点の演技動画を送りつけていた。


中には俺の熱量に引いている人もいたが、快く「面白そう!」と興味を示してくれる人もいた。


「あまりグイグイいきすぎるのもよくないかな」


葛藤に悩む自分もいたが、やるしかないと決めた。


明くる日。

授業後にクラスメートのショウヤが、声をかけてきた。


「ケイタ!そう言えば、俺、昨日送ってくれた動画見たよ!」


俺はビックリした。

そして、めちゃくちゃ嬉しかった。


そのまま俺は、ショウヤに男子チアの魅力を語り尽くした。


「こんなに高く人が飛べるんだ。男たちだけでやるのって、青春じゃないか?」


優しく温厚な性格のショウヤは、ひたすら俺の言葉に、「うんうん」と笑顔でうなずき続けた。



そして、俺は最後に言った。



「俺はこれが大学でやりたいんだ。ショウヤ、もしよかったら仲間になってくれないか?」



するとショウヤの表情は一変した。



「うーん。ケイタ、ありがとう。でも僕には無理だよ。ハハハ。そんなに運動神経は良くないし、きっとこんなこと出来ないと思うんだ」


驚きはなく、予想していた返答だった。



こんなことで引き下がる俺ではない。



俺はさらに熱量を強めた。



「運動神経なんてよくなくたっていい。出来ないも何もないよ。そのショウヤの笑顔がチアでは活きるんだ!」






しばらく沈黙が流れた後、ショウヤは照れ臭そうに下を向きながら、うなずいた。



「そっか。ケイタ。なら、僕チャレンジしてみようかな。笑顔を褒められたのなんて初めてだ」




頭をかきながらショウヤは、OKサインを出した。


「ウォーーー!やったー!」


周りを気にせず思わず俺はショウヤに抱きついた。


「ケイタ...!周りの人が見てるよ。恥ずかしいよ」


顔を真っ赤に赤らめ照れるショウヤがいた。


こうしてメンバーがまた1人増え、3人になった。




「よっしゃー!ショウヤ!よろしくな!よろしくな!」


再び熱い抱擁を交わすと、周囲の大学生からまたしても不信な目を向けられた。



「ケイタ、恥ずかしいよ、やめてよ!」



俺はそんな目も気にせず、ショウヤを抱き続けた。




そして俺は確信した。



ショウヤのこの笑顔が、いつかのステージで輝き放つということを。

つづく
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第22話の登場人物 整理

ケイタ(俺)=筆者であり、主人公。愛知県・蒲郡市出身。豊橋東高校卒業。

カズキ=ケイタが大学に入ってから心を許した初めての友人。クラスメート。

ショウヤ=ケイタのクラスメート。千葉県出身で、趣味は歌うことと踊ること。温厚な性格。

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