パルクール?未知のワードと新たな出会い〜男子チア物語第23話〜
2013年10月。
ショウヤが仲間となり、ANCHORSのメンバーは俺、カズキ、ショウヤの3人となった。
ショウヤもカズキと同様に同じクラスだったことから、毎日のように顔を合わせていた。
俺たちは自然と一緒にいる時間が長くなった。
一方で、まだまだこの人数では練習がスタートできないことから仲間集めは引き続き3人で行っていた。
ある日、俺が所属していた7つのサークルのうちの1つ、アナウンスサークルの活動に参加していた時のことだった。
各班に分かれて、その日の活動が行われた。
テーマは「夢を語る」。
1人1分の時間内に自分の夢を班の仲間20人の前で語るというものだった。
俺はもちろん、男子チアANCHORSのことを話そうと決めた。
が、しかし。
それは一方でこのアナウンスサークルに僕の熱はないと、否定してしまうことにならないか。
葛藤はあった。
俺が仮にも男子チアANCHORSを本格始動した暁には、このアナウンスサークルへの活動はおろそかになるだろう。
それを、この時点で俺は暗に言うことにならないか。
迷ったが、仲間の顔を見渡して話すことを決めた。
この人達なら、きっと俺の夢を応援してくれるはず。
1分のスピーチの中で、浪人してまでやりたかった夢、また今本気でチーム結成に打ち込んでいること、熱い思いを、夢を大いに語った。
言葉は自然と熱を帯びた。
終わると、仲間たちが笑顔で拍手を送ってくれた。
少々驚いた表情を見せた人もいたが、全員俺の夢を受け入れ、「頑張れ!協力できることがあったらなんでも言って!」と声をかけてくれた。
俺は安堵の気持ちに包まれ、涙が出そうになった。
帰り道。
アナウンスサークルのメンバーの1人、タカラが俺に近寄ってきた。
「ケイタ、さっき話してた男子チアって、もしかしてパルクールみたいなやつなのか?バク転とかバク宙とか、アクロバティックなことするんやろ?」
俺はその時、パルクールが何かは分からなかったが、「うん!そう!パルクールみたいなものだよ!そうそれ!!!!」と興奮気味に返答してしまった。
すると、タカラが食い気味にきた。
「おもしろそーじゃねーかー。へへへ」
俺はすかさず、このチャンスを逃さまいと声をかけた。
いや気付いたら、声をかけていた。
「タカラ、一緒にやろう。そのパルクールというものを!男子チアでやろう!」
タカラは、俺の熱に圧倒されながらも、「お、お、おう。そんならやってみるか」
迷いつつも答えはOKだった。
タカラは「NO」と言えない男みたいだ。
多少強引ではあったが、こうして新たな仲間がまた加わった。
いよいよダブルベースのスタンツが組める4人が揃ったのだ。
「タカラ、明日、仲間のカズキとショウヤを紹介するよ!」
「お、お、おう!」
やはり、この男は「NO」と言えないみたい。
俺はクスッと笑いながら、天に拳を突き上げた。
つづく
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第23話の登場人物 整理
ケイタ(俺)=筆者であり、主人公。愛知県・蒲郡市出身。豊橋東高校卒業。
カズキ=ケイタが大学に入ってから心を許した初めての友人。クラスメート。
ショウヤ=ケイタのクラスメート。千葉県出身で、趣味は歌うことと踊ること。温厚な性格。
タカラ=ケイタがアナウンスサークルで出会った仲間。体重は40キロ台でチーム1の軽量。アクロバットが大好き。
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