入学式...作るんだ、明治で男子チアを!〜男子チア物語第15話〜
2013年4月。
明治で男子チアチームを作ると決めた俺は、晴れて明大生になった。
東京での生活にはいまいち慣れない。
どこに行っても人は多いし、電車が5分おきに来るって、何事!なんて思っていた。
2013年4月7日。
日本武道館で入学式が行われた。
「でっけぇなぁーすげぇー!こんなところで入学式させてもらえるのか」
新たな生活が始まるワクワク感、武道館に入れる喜びなど、明るい気持ちでいっぱいだった。
式が始まると、明治大学交響楽団がエルガー作曲の行進曲「威風堂々」の演奏や、グリークラブと混声合唱団がヘンデル作曲のオラトリオ「メサイア」よりハレルヤの合唱などが行われた。
さらに明治大学を卒業した先輩、ジャニーズ事務所NEWSの小山慶一郎さんからのビデオメッセージも。
盛大な入学式はこれにて終わった。
その後は、大学でクラス別ガイダンスがあった。
教室に入ると、40人ほどの学生がいた。
担任の先生から今後のアナウンスなどを受けて、約1時間で終わった。
ガイダンスが終わると、クラスの周囲の人たちは互いに自己紹介を始めていた。
「君はどこ出身?」
「え?浪人?俺も俺も!よろしくな!」
俺も乗り遅れまいと、繰り広げられる会話の輪に割って入った。
「俺、愛知出身!浪人ですー」
そう言って笑った。
すると、1人が反応した。
「俺も愛知だよ!名古屋!」
彼の名前はタケ。
すると横からもう1人、「おれは富山の氷見出身です!よろしくね」とカズキが反応した。
そのまま、いろいろな人と会話が盛り上がった。
帰り道、同じ方面の電車だったカズキとともに2人で話しながら、帰った。
「カズキ、サークル入る?どうするの?」
俺がそう聞くと、カズキは少し間をあけて答えた。
「んー俺はあんまり、サークルには興味ないかも。それより自分の好きな旅行とかしたいな。でもスキーサークルの新歓には行ってみようかなと思うよ!」
「そうかそうか。俺はとりあえずいろいろなサークルの新歓にいくよ!」
そう言って別れを告げた。
俺には考えがあった。
とにかくいろいろな人と知り合って、片っ端から声をかけようと思っていた。
「もしよかったら、俺と一緒に男子チアを始めないか?」と。
4月は毎晩のようにサークルの新歓コンパが行われ、俺はひたすら参加した。
参加しては、そこにいる同じ新入生たちに声をかけた。
「なぁ、俺と男子チアっての始めない?早稲田のSHOCKERSって知ってる?それ見て!」
だが、いくら何人に声をかけようと周囲の反応は微妙だった。
正直、俺の熱が空回りしているように思えた。
何百人と声をかけたが、その中で興味を示してくれた人は1人もいなかった。
その晩、俺はベッドに横たわりながら、考え事をしていた。
受験に落ちて自暴自棄になっていたあの時のように。
「なんで、響かんのやろ。1人くらい見つかると思ってたのに...」
考えまくった。
逆の立場になってみよう。
もし初めまして、の人から俺と一緒にいきなり新しいことをやらない?と言われたら...。
ハッとした。
賛同できるわけない!
あることに気がついた。
信頼だ。
信頼のある人からの熱意は伝わるはず。
逆に全く俺のことを知らない人にとって俺の熱意は伝わらないはずだ。
決めた。これだ。
サークルにたくさん入って、友達を増やそう。
そして俺はサッカーサークル、フットサルサークル、旅行サークル、ハンドボールサークル、アナウンスサークル、などなど計7つほどのサークルに入ったのであった。
これぞ、友達100人作ろう大作戦!
いや1000人だ!
俺の新たなプロジェクトがスタートした。
つづく
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第15話の登場人物 整理
ケイタ(俺)=筆者であり、主人公。愛知県・蒲郡市出身。豊橋東高校卒業。
カズキ=ケイタが大学に入ってから心を許した初めての友人。クラスメート。
タケ=同じ愛知県出身のクラスメート。仲の良い友人の1人。