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レン子とカメ爺 写真の話 その6 金平糖
レン:すいません〜ッ。お邪魔します。カメ爺ィさんいらっしゃいます〜。
カメ爺:どうした?随分早いのォ。
レン:行ってきたよ。カメ爺が言っていたような写真屋さんにね。
カメ爺:そうかそうか良かったじゃろ。で、今日はどうした?
レン:カメ爺さぁ〜。ちょっと性格悪いよね。あんまり乙女をいじめないでよネ。
カメ爺:今日はツンか?そんなに突っかかるもんじゃないぞ。お陰で自分がやりたいことが少しは見えてきたか?ほれ、久しぶりに金平糖じゃぁ。
レン:ありがとう。金平糖って美味しいね。なんかさーみんな必死っていうか早すぎてついていけないっていうか。目新しさだけなんだよね〜ェ。
カメ爺:そのスピード感もお前ら若者の特権じゃないんか?
レン:それはそうなんだけど、トキメキに欠けるっていうのかなァ.........。カメ爺にペタ見せてもらったときみたいなワクワクがないんだよね。前に前にガツガツしているだけっていうか。あそこにいると何をしたいのかわからないまま突き進んでる気がしてさぁ〜。あのワクワク、キラキラの方がわたしには合ってるのかなぁ〜。なんて思っちゃったんだよね〜。
カメ爺:そうじゃな。いろいろあっていいのぉ。金平糖もみんな少しづつ形が違うじゃろ。その中で自分に合ったものを選ぶことが大切なんじゃ。それだって間違っているかもしれんし、途中で気持ちが変わるかもしれん。大切なのは決めることなんじゃ。写真を撮る瞬間も決めることが大切なんじゃ。自分の理想通りにいかないこともある。それを待ち続けるのもひとつの方法じゃ。だがな、ワシはそのときの最善に決めることが潔くって写真らしいと思っておる。
レン:今日はちょっとわかる気がするよ。
カメ爺:前に話したブレッソンは日本では「決定的瞬間」という言葉で有名なんじゃが、ブレッソン本人はそんなことは言ってないんじゃ。アレは日本人が勝手に翻訳して付けたタイトルじゃ。じゃが、それがぴったりなほどその瞬間を切り取った写真が多かったのでみんな納得したんじゃな。
レン:なんかさぁ〜。ブレたらの写真を見たくなってきたよ。
カメ爺:そうじゃなぁ。一度、オリジナルプリントを見ると良いの。そのときのためにもう少し言っておくと、鑑賞距離というのがあるから作品に近づきすぎない方がいいぞ。たまには近づいてみるのも良いが、大体ピンボケじゃ。それが少し離れてみるとちゃんとピントが合っているように見えてくる。これがブレッソンのすごいところじゃ。そして、じっくり会話してこい。ブレッソンが何を伝えるためにこのカットを選んだのかということをな。
レン:結局最後は分かんないけど。なんかさー、それもいい気がしてきたよ。すぐに答えを求めて教えてもらうのって簡単だけどすぐに忘れちゃうし、心に残らない気がするし。写真って何だろうね〜。
カメ爺:記録じゃよ。そして、ワシは人それぞれの記憶を呼び覚ましてくれるキッカケのカケラにもなると思っておる。それ以外のことが分かったら教えてくれよ。今日はこれまで、続きはまた今度じゃ。そろそろ夕方のニュースも始まるでな(笑)
レン:ありがとうカメ爺。またね。
また、次回
前回のお話 デリケート
レン子:スマホが必需品の今時女子。流行っているものにはとりあえず飛びつくが、話が難しかったり長くなるといつのまにか消えてしまう。語尾を伸ばすクセがある。
カメ爺:年齢不詳。小さなカメラ屋をやりながらフィルムをこよなく愛す頑固ジジイ。なぜか?女の子は金平糖で機嫌が直ると考えている。実はレン子の影響でデジタルにも目覚めつつある。
日本橋三越本店の地下にもあります。