レン子とカメ爺 写真の話 その5 デリケート
レン:カメ爺ィ〜。居ないの今日はプリント持ってきたよォ〜。
カメ:相変わらず都合の良いときは威勢が良いのォ。
レン:それよりプリント見てよプリント。
カメ:どれどれ、光沢紙か、まぁ良いんじゃないか。
レン:ちょっと、それだけ?
カメ:まぁ、そんなもんじゃろ。その程度の内容じゃぞ。そもそもこのグリーン被りはなんじゃ?
レン:そうそう、それは気になってたんだよねぇ〜。どうすれば良いかわからなくて、優しいカメ爺さんに教えて頂こうと思っていたんだよね。
カメ:相変わらず都合が良いのォ。ところでこれは何でプリントしたんじゃ?プリンターを買ったのか?
レン:いまどきプリンターなんて買わないよ。時代はペーパーレスだよ。量販店の店頭にある端末を使ったんだよ。これでも端末変えてプリントしたんだけどみんな光沢紙だし、なんかグリーンぽかったりピンクっぽくなるんだよね〜。
カメ:それはそうじゃな。基本的にカラープリントをするための機械じゃからモノクロに必要なグレーがないんじゃ。プリンターを買っても同じじゃぞ。用紙は選べるようになるがグレーインクがないと結局グリーンやピンクにかぶるんじゃ。
レン:かぶるって何?それならコピー機でプリントすればいいんじゃない?カラーコピー機じゃなければモノクロだよね〜。私ってやっぱり頭いいね。じゃあね〜。カメ爺。
カメ:オイオイ、本当にそれで良いんか?まぁ、その天才的なひらめきの答えは身をもって知ることじゃな。そこのコンビニ行ってコピー機使ってこい。コピー用紙で十分じゃからな。
レン:あれぇ〜。図星突かれて拗ねちゃったかしら。若者は日々成長しておるんですよ。レン爺くん。ちょっと行ってくるね。
カメ:どうした?お通夜のような顔になっとるぞ?
レン:あそこのコンビニのコピー機壊れてるみたいだったよ。
カメ:いいから見せてみろ。
レン:これはその.......テストというか検証というか.........まぁ、納得はしてないからね。
カメ:さっきの勢いはどうしたレン子様?まぁ、コピー機はこんなもんじゃ。諧調がなくコントラストが強いだけじゃな。これも狙いなら良いが。そうでなければただの失敗じゃな。さっきの色かぶりも一緒じゃぞ。狙いでやっているなら良いが、たまたまそうなったらというのはどうかのぉ〜。なんとなく見てくれが良ければそれで良いんか?まぁ、いいね世代はそんなもんかな。
レン:そんな言い方ないでしょ。知らないんだから、失敗だってするよ。
カメ:たしかにそうじゃな。ちょっと言いすぎたか?まぁ、教えてもらう方にも謙虚な姿勢というのがあっても良いと思うがな。モノクロプリントというのは実はデリケートなんじゃぞ。そして、デリケートな分、コントロールできるようになると表現の幅も広がるんじゃ。パソコンのモニターやパッドは基本的には与えられた条件で見ているにすぎないからな。自分が目指す階調を求めるためにはそれなりの環境が必要じゃぞ。
レン:すいません。カメ爺さん、わたしそこまで求めているかよくわからないし、なんとなく楽しめれば良いかなぁ〜程度に考えていたのかも。
カメ:それはそれで良いことじゃと思うぞ。気軽に楽しめるのもデジタルカメラの特権じゃからな。まぁ、フィルムも写るんですやその類の気軽に楽しめるモノクロがあったはずじゃ。そんなのを使ってみたら良いんじゃないか。いろいろ試して自分に合ったものを見つけてみなさい。
レン:なんか優しすぎて、逆に気持ち悪いんですけどォ〜。
カメ:そんなことないぞ、レン子ちゃん。ワシはじじいじゃからちょっと頭が固くなっとるところがあるかも知れん。お前のように柔軟な発想にはそれに合った場所があるはずじゃ。いいねをいっぱい集めとる写真屋さんもあるでそっちに行った方が刺激も多くて良いと思っただけじゃ。
レン:ふ〜ん。そうなんだ。今日はとりあえず帰るね。また、来ても良いのかな〜ぁ。じゃぁね。
また、次回。
前回のお話 評価はプリント
レン子:スマホが必需品の今時女子。流行っているものにはとりあえず飛びつくが、話が難しかったり長くなるといつのまにか消えてしまう。語尾を伸ばすクセがある。
カメ爺:年齢不詳。小さなカメラ屋をやりながらフィルムをこよなく愛す頑固ジジイ。なぜか?女の子は金平糖で機嫌が直ると考えている。実はレン子の影響でデジタルにも目覚めつつある。