見出し画像

レン子 と カメ爺 写真の話 その2 階調表現

カメ:おおっ、レン子ちょうどイイところに来たのぉ。ちょっとこっちにおいで、これがモノクロプリントじゃ。

レン:このあいだのテカテカしたのと違ってしっとりした感じだねェ~。

カメ:紙の大きさはデジタルのプリンターで使う用紙のようにA4などの事務用紙のサイズではなくサービス判や国際規格の六ツ切り、四ツ切り、半切、というサイズになっておる。これが六ツ切りじゃな。8x10インチでバイテンと言うこともあって、コピー用紙のA4より少し幅が狭い程度かの。写真学校の学生が最初に使うのがこのサイズじゃ。これだとベタを作るときに35mmフィルムで36コマがちょうど1枚に収まるぞ。

レン:ベタ?この間見せてもらったゲタのこと?

カメ:ゲタ?お前それは履物じゃな。

レン:ペタペタ。なんかくっつきそうだよねェ~。今度からゲタにしようか?

カメ:そんなことしたら逆に話がややこしくなるわっ。ベタじゃからな。ベタのことを密着という人もおる。お前がテカテカといっておる反射が強い紙はRCペーパーといって紙の表面をポリエチレンコーティングしてから乳剤が塗ってあるので処理がしやすいんじゃ。シットリといっておるのはバライタといってRCペーパーと比べて黒の深みがでやすい紙じゃ。手間はかかるがアーカイバル処理で仕上げると長期保存にも向いておるぞ。

レン:終わった。でさぁ~。RCナンタラからは全く意味不明だったよ。で、どっちが高いの?

カメ:お前には人の話を理解しようという気持ちがないのか?まぁ良いか。値段が高いのはバライタじゃな。学生の時は展示するときぐらいしか使えなかったのぉ。同じフィルムからのプリントでも黒の締まりが全く違うので上手くなったような気がして嬉しかったもんじゃ。アーカイバル処理というのは、定着をしっかりして、その後印画紙からできるだけ薬品を取り除くことで、長期保存の鉄則じゃな。

レン:今日の思い出はバブル超えたねェ~。あーなんたらの話はもういいよ(笑)でもモニターで見るのとちがってなんか優しい感じだよね。私好きかも。スマホからもこんなプリントが出来るのかなぁ。

カメ:そうじゃなぁ........根本的に違うからなぁ.......。ネガも必要じゃし、極端にいうとデジタルは同じサイズの点が集まって像になっておる。最近のデジカメはその点がかなり細かいのでこの程度の拡大ならシャープなままじゃの。最新のスマホも結構いい感じみたいじゃぞ。フィルムには粒子というのがあって、プリントするときは基本的に拡大されるから粒子の間も開いていくんじゃ。その粒子がフィルムモノクロの優しさの元じゃからな。

レン:グゥ~。

カメ:レン子、お前寝ておるんか?

レン:なんかさぁ~、いきなり難しくない?無理だし。

カメ:う~ん。デジタルには滲みがないがフィルムは露光するから光の滲みが出るんじゃ。懐中電灯の光を遠くに照らすと周りが滲むじゃろ。LEDとか明るいライトはそれほど滲まないよな。それに近いかの。

レン:今度は感覚で攻めて来たのねェ~。それならフィルムも強いライトでプリントすればシャープになるの?

カメ:そんなことをしたらコントラストが強くなりすぎて階調が台無しになるの。

レン:またぁ、階調とか違う言葉だしてはぐらかそうとしてない?

カメ:モノクロプリントのポイントは階調再現なんじゃ。そのためにはネガづくりが大事になるんじゃぞ。機械でフィルム現像すると微妙なコントロールがしにくいからこだわる人は自分の手でフィルム現像するんじゃ。まぁワシはフィルム現像の感覚はとっくに忘れてしまったがな。

レン:えっ~。肝心なことは忘れちゃうんだね。なんか面白そうだから私もやってみようかなぁ~。今日は疲れたから帰るね。また来るよレン爺。それまでにカメラ用意しておいてね。もちろんモノクロフィルムもだよ。忘れたら承知しないからね。それじゃあね~。今日はありがとう。またね。


また、次回。


前回のお話 モノクロ写真


レン子:スマホが必需品の今時女子。流行っているものにはとりあえず飛びつくが、話が難しかったり長くなるといつのまにか消えてしまう。語尾を伸ばすクセがある。

カメ爺:年齢不詳。小さなカメラ屋をやりながらフィルムをこよなく愛す頑固ジジイ。なぜか?女の子は金平糖で機嫌が直ると考えている。実はレン子の影響でデジタルにも目覚めつつある。

いいなと思ったら応援しよう!