デジタルのモノクロ
デジタルでモノクロを始めようと思ったきっかけはあるカメラとレンズとの出会いだった。
*デジタルの衝撃
初めてのデジタルカメラはディマージュF100 という400万画素のコンパクトカメラ(2003年)で、そのカメラを使ったときの衝撃は撮ったその場で画像を確認できることだった。
それからレンズ交換式のデジタル一眼レフカメラを使うようになってもカラーばかりで、モノクロを撮りたいとは思わなかった。モノクロはフィルムでやればいいと思っていた。
*E-5 で変わった
そんな気分が変わったのは 2010年に発売された E-5 を使ったときだった。
E-5で画質が上がったのでちょっとモノクロやっても良いかと思えるようになった。これは画素数よりも(E-1の500万画素から1230万画素に画素数はアップしていた)ファインディテール処理という新しい技術が入って諧調再現が非常に滑らかになったからでもあった。ちなみに E-5 の前の E-3(1010万画素)でモノクロ気分にならなかったのは、画素数よりファインディテール処理がなかったからだと思う。
それでも階調再現については少しもの足りずメーカーの人と話していると ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2 SWD というレンズを紹介された。これはスーパーハイグレードシリーズ最後のレンズで開放F値F2.0通しの標準ズームレンズ。
*ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2 SWD
ズームレンズで作品作りをするという発想がなく少し抵抗があったが、そんなことを言っていると貸出機材が準備されて、使ってみると目から鱗というか、素晴らしいの一言だった。お試し後はすぐに購入して、その後、デジタルのモノクロを始めた。
一番気に入ったのはこんな青空のトーンの再現。いまではこの滑らかさも当たり前のように思えるが当時はトーンジャンプを起こしやすく青空を滑らかな階調で再現するのはかなり後処置をする必要があった。それがちょっと嫌だったし、そこまでしてデジタルでモノクロをやる気にはなれなかった。
そんな気分を変えてくれたのが、E-5 と ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2 SWD の組み合わだった。この頃はカメラで撮影したJPEGを微調整して仕上げていて、撮影時のカメラの設定はモノトーンにしていた。
そんな出会いもあってカメラ雑誌でモノクロ写真の連載をやらしていただき、それをまとめた「街の横顔 monochrome」という写真展を開催して、それをきっかけにフィルム時代から続けていた 街角写真 という自分の写真が世間に少しだけ認めらたと感じた。
*ZUIKO DIGITAL ED 150mm F2
カメラ雑誌の連載をやっていたこともあってそのほかのレンズにも手をだそうと画策して、まずは ZUIKO DIGITAL ED 150mm F2 をお借りした。このレンズは E-1 時代からあってスーパーハイグレードの中のスーパーレンズと語られていた。
このレンズはピントあわせがとてもシビアで、自分では一眼レフのAFで対応しきれないと判断してこのときは購入を断念した。その後、ミラーレスの一眼カメラ OM-D E-M1 が発売されるとすぐに購入した(笑)
*ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4
このレンズもまさかと感じる階調再現と深みをもっていた。自分でもこんな素晴らしいレンズを持っていたんだと苦笑いした記憶がある。
このシステムでデジタルのモノクロを初めると、自分が使っていたフィルム現像液やモノクロフィルムが販売終了になるというかなり衝撃的な事件があったりでこの後はデジタルモノクロにすっかりハマていた。
今回は当時の写真を使っています。
*おまけ
作品作りでズームレンズを使いたくないのはイメージの統一が難しくなるから。その場で最も最適な構図を選ぶのであればズームレンズの方があっているとは思うが、自分の作品作りは最高の1枚を狙っているのではなく、おぼろげなイメージをまとめることを考えているので、単焦点レンズを使って自分の動きで変化をつけた方がまとめたときの統一感というか流れを作りやすい。そんなこともあって、今回紹介した2本のズームレンズも作品作りで使うときは基本になる焦点距離を決めて使うようにしていた。と、思って改めてデータを確認すると結構ズームを使ってた(笑)
また、次回。
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