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Keita's talk その273 街角写真家誕生秘話

  かなり大げさなタイトルで、勢いをつけました(笑)

 そもそも、街角写真って何だ。という話ですが、街角写真は何気ない街の片隅を撮る写真。スナップ写真でしょ。そうそう、そんな感じですが、それが街角写真家そんな肩書をつけるキッカケだった。

 そのきっかけになったのが、トップに使ったイルカの写真。これを撮影したのはまだフィルムの時代。この時は確か20〜35mmのズームレンズの35mmを使っていたはず。撮影したのは水族館のイルカプールの側面から。イルカショーの間の休憩時間のようなタイミングで壁にしがみつくような感じで撮っていた。

 たまたまこの子が俺の存在に気づいた感じで綺麗な円を書いてくれた。

 フィルム時代は EOS-1 というカメラを使っていたが、いつもシングルショットにしていた。

 泳ぎ方からなんとなく綺麗な感じになりそうというか「ちゃんと撮れよ」。そんなことを言われている気分になって集中したのを覚えている。

 シングルで撮っていてもある程度タイミングの違う写真も撮る。フィルム時代は現像時のトラブルのことも考えて1つのシーンで3コマぐらい撮っておくのが基本だった。

 それでもこのタイミングは狙っていないとズレるのでワンショットしかチャンスはない。というかそれぐらいでないとこの子も撮らせてくれなかったと思う。このときはシャッターを押した瞬間撮れた気になれた。それぐらい綺麗だった。

 実はその後もちょっと不安でしつこく撮っていたが、結局同じような動きをしてくれることはなかった。なんとなくアレで撮れないようなら修行し直してこい。そんなことを言われている気分になったのを今でも覚えている。

 そんな出会いがあって、この写真を見てもらうときに潜れるの?そんなことを聞かれることがあった。モニター画面で見ていればそんなわけないと思うでしょうが、プリントで見るともう少し違う優しさがあるので、そんな雰囲気がでるんです。それが、銀塩のプリントの楽しさです。

 そのときに思ったのが現実とは違うイメージを伝えられる写真の力だった。それはいつも見過ごしている風景に光を当てることでもある。そんな思いから街角写真を始めた。初めのうちは街角写真という言葉は使っていなかった。

 そして、この肩書を考えたのは独立してまもなく、27ぐらいだった。その頃は一般誌での取材撮影が主な仕事で、写真雑誌の執筆などはしておらず、作品作りはお金にならない趣味の延長線のようなものだった。作品作りは今でも似たようなものかも(笑)

 一般誌の仕事で名刺をだした時に聞かれるのが、普段はどんな写真を撮っているんですか?そんな質問。この頃から街角を撮っていたので、モノクロのスナップみたいな感じですね。そんな風に答えると。じゃぁ、人を撮るんですね。と、続く。

 ちょっと違うんですよね~ぇ。何でもない片隅を撮るんです。って、答えると向こうは訳がわからない???という感じになる。まぁ、モノクロスナップというのもいろいろあるんですよね。と、お茶を濁していた。

 そこでスナップ写真に変わる名前がないか考えて、思いついたのが街角写真だった。街角という響きも気に入ったので名刺にも入れた。というのがはじまりで、名前を覚えてもらいやすくなった。

 ちなみに当時の名刺には “ Photographs are mirrors that capture the truth and reflect the soul. ” という英文も一緒に入れていた。外人社長さんに名刺を渡した時のナイスって言ってもらえたのが嬉しかった出来事(笑)

 日本語にすると「写真とは真実を捉え、己の心を写す鏡のようなものである」となる。これは写真家になる。そんなことを決めた時に考えた言葉で、この言葉が自分の写真の全てだと思っている。テーマ的な言い方なら「真実を通して自分の心を伝える」という感じかも。

 結局、いつもごちゃごちゃした名刺を使っていたが、名刺には 佐々木啓太 だけでいいと考えている。そうなるとちょっと政治家さんみたいですが、それぐらい自分の名前を広めたいと思っていた。

 名前より写真を知っている人が多くて、あの写真を撮った人ね。と、いうのが理想。そのためにはもっと積極的にならないといけないはずなのにそこはちょっとスローペース(笑)。

 そんな大きな野望も含めて、名刺に街角写真家と入れた。その当時は今ほど〇〇写真家という人も少なかったので、それなりにインパクトもあった。最近は色々な人が増えたし、50になったら外すかなァ~。ふとそんなことも考えだした。

 と、その前に写真展はどうしたんだ。と、最近よく聞かれる。故郷(ふるさと)懐かしく感じた場所 そんな写真展をやってから三年ぐらいご無沙汰(笑)。

 ちなみに街角写真の初個展は「何気ない風景」というデジタルカメラでの撮り下ろし。そのキッカケは仕事で知り合った方の知り合いがギャラリーを始めるので展示しませんか?そんなユル〜いお誘いだった。


 と、長くなったのでこの続きはまたいつか。


Keita's talk その273 街角写真家誕生秘話 2018年7月18日 に加筆しています。

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