レン子とカメ爺 写真の話 その9 こだわり
レン:カメ爺っ!プリントできたァ!
カメ:なんじゃ、なんじゃ、そんなに急いで。
レン:なんじゃ?じゃ、ないわよ。プリントよ。プリント。
カメ:ああっ、アレか?やっとらんぞ。
レン:どういうことよ。やっぱり女できて遊んでるんでしょ。信じられないね。こんなカワイイ子が相手してやっているっていうのにさ。このエロじじいが。
カメ:まぁそんなことではないがな。レン子よ。お前さん最近語尾が伸びんようになったのぉ。なんかイライラしとるんか?そんなにイラついておったら誰も近づいてこんぞ。
レン:余計なお世話。それよりなんでプリントしてくれないのよ。1枚ぐらいサービスしてよ。カメ教初の生徒なんだしさぁ〜。
カメ:カメ教なんじゃそれは?
レン:ここで写真のことをいろいろ教わっているからカメ爺写真教室でカメ教でしょ。それともタートルスクールとか横文字がいい?
カメ:どっちでも良いが。変な宗教みたいじゃの。まぁ、教わっとる気があるんなら何か持ってくるとかもう少しないんか?いつも手ぶらじゃのぁ〜。
レン:そうくると思ったから今日はシュークリームを持ってきたよ。
カメ:シュークリームとはハイカラじゃなぁ。お茶でも入れてくるかのぉ。
レン:番茶とかやめてよ。抹茶もパスね。紅茶でお願いします。
カメ:紅茶か。そんなものはないぞ、せっかく玉露でもだしてやろうと思ったのに。
レン:こんなことだろと思って、ティーパックも買ってきたよ。
カメ:なんかすまんなぁ〜。レン子さん。甘いものでも食べながらのんびりするかのぉ〜。
レン:えっ、えっ、ちょっと待ってよ。私のプリントは?
カメ:そりゃぁ、お前さん。そのシュークリームの味次第じゃな。サックっとした感じとクリームの甘みのバランスには、ちとこだわりがあるからのぉ。
レン:贅沢言ってくれるね。このジジイは。
カメ:うまい、うまい、それじゃあ次回はA4プリントを10枚持ってこいよ。それと次はモンブランかな。
レン:そんなわけないでしょ。スーパーの豆大福で十分。ところで今日のこだわりってこのことじゃないよね。
カメ;シュークリームと同じように写真もバランスが大事なんじゃ。絞りだ、露出補正だ、構図だと独立して考えとってはダメなんじゃ。自分のバランスにこだわることじゃ。
レン;バランスねェ〜。そんなこと言われてもわかんないよねぇ〜。それも自分のとか、無理だし。
カメ;そのうち見つかるわ。次回はA4プリント10枚じゃからな。それじゃぁ、ワシも忙しいからな。
レン;ありがとうございました。また、今度ね。
前回の話 プリントの大切さ
レン子:スマホが必需品の今時女子。流行っているものにはとりあえず飛びつくが、話が難しかったり長くなるといつのまにか消えてしまう。語尾を伸ばすクセがある。
カメ爺:年齢不詳。小さなカメラ屋をやりながらフィルムをこよなく愛す頑固ジジイ。なぜか?女の子は金平糖で機嫌が直ると考えている。実はレン子の影響でデジタルにも目覚めつつある。