Keita's talk その405 リスペクト
写真専門学校時代に師匠に出会った。
師匠の話はあまりしないし、プロフィールにも入れない失礼な人間なので、誰かはここでは割愛。
なんでその人を選んだかといえば、その人の写真家としての生き方に惚れたから。そこにリスペクトを感じた。
ちなみに風景を撮っている方です。
どんな生き方をしていたかといえば、ほぼ己の作品だけでやっていると感じられた。その出会いは写真専門学校の1年生の終わりごろ。特別授業で公演を聞いた。そのときすでに有名人だった師匠のことはほとんどの学生が知っていたし、そのためにこの学校を選んでいる人もいるぐらいだった。
オレはそのときが初対面。もちろんどんな写真を撮っているかなんて全く知らなかった。
師匠は2年生からのゼミを担当していたので、そのゼミに行くことに決めてその後アシスタントとして修行もさせてもらった。
写真専門学校を卒業してから1年間は貸しスタジオのアシスタントをした。これは、自分が目指す世界だけになるのが嫌だったから。
その甲斐もあって、その時期にも尊敬できる写真家の皆さんに出会い、自分に必要な知識を深めることができた。
不思議なもので、自分がリスペクトを感じている方々から得られることはとても多い。それはそんな方々が優しくご自身の持っているものを教えてくれるからだと思う。
教わると言っても一から十まで教えてもらうわけではなく最初の入り口だけ。あとは自分で切り開く。その方が自分の性分にはあっていた。
アシスタントをしていた時代も、まぁまぁ、不条理だと感じることもあったが。と、ここで不条理と書くと関係者に怒られそう。きっと、お前は迷惑ばかりかけていたくせにと言われる(笑)。
充実した4年間がすぎて卒業した。というより居心地よすぎてそれ以上いたら別の人生になりそうな気がしたというのが本音。
もちろん写真専門学校時代からアシスタント時代を通じて幾度となく写真を見てもらいアドバイスをもらった。納得できる話もあったしそうでない場合もあった。
どちらも心に残っているのは師匠のことをリスペクトしていたからだと思う。
もちろんそのときを通じて風景の写真を見てもらったことはないし、今では街角写真と言っている流れに通じる写真をアシスタントを卒業するまで見てもらっていた。
ちなみにオレはその事務所で唯一風景を禁止されて卒業している。最近はこれでも大人になったので、少し近場の森を撮るようになった(笑)。
そして、いつからか写真を見せなくなっていた。リスペクトがなくなったからではなく、自分の写真でなくなる気がしたから。
師匠の言われること、そのアドバイスは腑に落ちることが多かった。それでも続けているうちに本来の自分の気持ちと離れていくような気がしていた。
師匠の元を離れて10年以上経って、初めて写真展を見てもらった。その感想は何もわかっていないというもの。ただ、それは写真集やポストカードがなかったことへだった。せっかく写真展に足を運んでもらって、その記念になるようなものは何もないのか?と、怒られたのを覚えている。
そのときは写真のことにはほとんど触れられなかったので、勝手に写真は少しは認めてもらえたのかもと都合の良い解釈をした。
それからさらに数年後の写真展では、いいじゃないかという言葉をもらえた。
そのときは言葉にできないほど嬉しかった。
リスペクトってそんなことだと思います。って。解らないか(笑)
また、次回。
余談、写真は初めて師匠に見てもらった写真展のDMに使ったもの。街の横顔 monochrome というタイトルで銀座のキヤノンサロンで写真展をやらせていただいた。この写真展が開催できたのは多くの皆さんの助けがあったからだった。
そして、これが街角写真というジャンルを認知してもらえるきっかけにもなったように思っている。