今後確実に訪れる投高打低時代到来を見据えて
今後の未来は投高打低時代
さてと、今日のトークテーマはずばり来る投高打低時代に向けた考え方についてです。
先日の記事「ちょっとしたストレートの話」でも話した通り、
ここ数年の速球のスピードアップに加えて、アマ選手のトレーニングメソッドの発展、食事の改善、映像技術の発展で今後もとんでもないピッチャーが現れる頻度は高くなるでしょう。
一方で、バッターも進化してるとはいえ、18.44メートルという距離は変わらないので、初速が速いストレートは圧倒的に有利で、実際に奪三振率と被弾率は速くなればなるほど良い結果に繋がるというデータは明確に出ています。(印象論ではなく統計学的に信頼に足るデータとして科学として有効な指標として出ているということ)。
ほんの10年でストレートが平均で5-6キロのスピードアップを果たしているということは、我らがヤクルトの石川雅規や楽天の岸などのベテランが経年して少しスピードが下がってるけど先発として投げまくってる人が含まれての結果ですから、若い人のストレートがどれだけ速くなったのかは語らずとも明らかです。
つまりは、今の若い人たちが主力になるに連れてさらにこの数値は上がっていく可能性が高い訳です。現時点ですでに数年前よりかなりの投高打低傾向になっているのに、この若手が主力になると更に投高打低が進むのはもはや明白です。
野球は点取りスポーツ
実際にメジャーリーグでもNPBでも3割バッターが激減しつつあります、ピッチャーのレベルが上がった上に高目の有効性が再認識されて、打者としては高低の対応すべきゾーンが拡大した事が影響していると考えています。抜けてきた高目は打ちやすいけど投げ込まれる高目は打つの難しいからね←
これは個人的な感覚ですが、今は.280打てたら数年前以前の3割とほぼ同価値だと思います。打率で言うなら価値観を2分から3分を割り引いたくらいが適当な時代に突入してると感じています。おそらくこれからはもっと下がってくる可能性が高いとも思っています。
ただ、野球は点取りスポーツでもあります。某マンガで「99点取られても100点取ればこっちの勝ちだ!」vs「0に抑えれば絶対に負けない。」って対決もありましたが、基本的に僕は前者です。「負けない戦い」っていうのはシーズン後半で上位にいるチームが初めて選択出来る戦法で、ペナントの最初で有利な展開のペナントに持ち込もうとする時や短期決戦は必ず点を取りに行かないと勝てません。
なので、打つ確率は年々下がる前提の上で点はしっかり取りにいく。というスタンスがこれまで以上に大事になると考えています。
意味のあるアウトを重ねる事がより大切に
となると、いかに1点を取るかが大事になってきます。もしかしたら、昭和の野球と呼ばれるノーアウトランナー1塁からの送りバントが復活する時代も来るかもしれません、闇雲に盗塁を仕掛ける時代もくるかもしれません。僕は初回や前半でのバントは反対ですし、盗塁は得点損益分岐が70%くらいなので最低でも4回中3回は成功するような走力のあるチームでない限りはやるべきではないと思いますが、そういう変化もくるかもしれません。
ただ、そういう変化より先に対応するべきことは出塁率を高めて、進塁打や犠牲フライ、敵のフォーメーションによっては内野ゴロを打ちにいって1点を取る意味のあるアウトを重ねる方が先だろうと思います。
最近は「追い込まれたら難しいピッチャーだから早いカウントから勝負」というチームやコーチが増えていますが、先程も書いた通り、既にピッチャーの方が上にいる場面が多い時代です。必ずしも早目から勝負する事が是とはとても思えません。例えば、山本由伸や佐々木朗希のような先発相手には球数を放らせて早目に交代してもらえるような戦術も効果的でしょう。
少し専門的な話になりますが、医療系人間の戯言と聞いてください。基本的に球が速くなればなるほど身体への負担は増していきます。速ければ速いほど変化球での肩肘への負担率も上がってきます。つまり球数が増えることでの負担は球が速い人の方が影響が大きい。だからこそ待球も作戦の一つです。ただ、言い方は悪いですが、手を抜いても打ち取れるバッターやランナーの居ない場面などで本当に70%程度の力で放ってバランスを取れる人はどうしようもありませんが笑。バウアーとか山本由伸、若い時の菅野はそんな感じがありますね。
というわけで、ピッチャーがレベルアップしているので、基本的にほっといても打ってくれる確率が下がる、ということはベンチワークや戦術で取れる点数や試合が増えてくるだろうと個人的には考えています。野球がより個からチーム単位で動く事が求められるかもしれません。
大谷翔平のような全てを超越する強烈な個は別物ですが笑
価値観のアップデートは難しいけれど
何事に対しても価値観をアップデートすることは簡単なようで難しいものです。過去に80円だったタバコが600円になるような貨幣的価値のアップデートに代表されるように、生前は何の評価も受けてなかった作品が死後に評価された絵画のような文化的価値、向こう三軒両隣と呼ばれた時代から現在の核家族構成が主となった民族的な価値観とさまざまな価値観がアップデートされてきました。
野球も同じです、先発完投が美徳で中4日はおろか中2日でも投げていた時代から、今となってはセットアッパー、クローザーの地位は確立したり、2番バッターは必ず送りバントだった時代から「2番最強打者」が唱えられるようになったり価値観が著しく変化しました。しかもここ20年で。
ただ、どうしても今の僕の年齢30代と+20した50代の人、−20した10代の人と価値観は違います。50代の人が先発完投が当たり前だった時代を10代の時に見て、30代の僕がリリーフと先発と分かれつつもリリーフが今より低く見られた時代を10代に見て、今の野球を10代の方が見る。
若い時に見たものが価値観として強く固定されるのは間違いありません。よほどのことがない限りは。だから、絶対的に温度差がある。
そして、価値観は必ず若い方に流れて変わっていきます。温故知新とも言いますが、それは結果的に戻る事もあるだけで、基本的には新しい価値観は必ず若い方に流れます。だから、新しいものを理解していく必要があります、納得はしなくてイイけど。納得はしなくてイイんです。理解すれば。価値観のアップデートは難しいけれど、野球というスポーツを理解するため、発展に伴い変化する戦術には必要な過程になると思います。
終わりに
野球っていうスポーツは「失敗」のスポーツです。1試合であんなにミスが出るスポーツは他にないと思います。その失敗を少しでも意味のある失敗にしなければ勝てない。そんな時代はすぐそこに来てると思います。
僕が子どもの頃、約30年前くらいです。エースは145キロ以上投げる人も居ましたがローテの下位の先発だと140出るか出ないかって人もたくさんいました。今そんな人は一軍で投げるには余程の武器がないと出てきません。
僕が高校生の頃は140キロ投げる高校生は大エースでした、今では甲子園出てくるチームだと平気で150近くを投げたり140近い変化球を投げる人が出て来ました。
30代半ばの僕には進化したなぁと感じますが、きっと今の10代はそう感じないでしょう。スマホを見て進化したなぁと感じる年代と当たり前に感じる年代と同じようなものです。でも、これからは「スマホを当たり前」に感じることが当然になるわけです。時は流れていく。
その前提のもと、今後訪れる絶対的に投高打低時代の野球に向けて野球観のアップデートをしなければならない。きっと、ヤクルトファンにありがちな打ち勝つ前提の価値観だとしんどい時がくる。
だからこそ価値観や視点の準備を整えておきたいと個人的に考えていたりします。棍棒で殴り合いのような試合も投手戦1点勝負も面白いは面白いですが、やっぱりヤクルトは点とってこそナンボってチームなので。
点の取り方はタイムリーやホームランだけじゃない。もっと泥臭く、しっかり1点を取っていくような野球が出来るチームになってほしい。
あ、ピッチャーの方はもう投低から投中くらいまで上がってくれることをまずは願っております(΄◉◞౪◟◉`)ハナシハソレカラダ