特急料金で得られる利益以外のもの
製造業、年度末のシビアな納期要求で色んな取引先が仕事を詰め込んでくる繁忙期、特急料金を設定するかどうかという議論で。
過去データを見ても年度末納期のニーズは高いのだから、特急料金を設定したくらいでは仕事は減らないので、儲けられるところは儲けようというのはある。これは業種業態が違っても一緒。流行り言葉だとダイレクトプライシング。
ただ、儲けがどうこう以外の面もある。
基本的に、特急料金をもらった方が顧客満足度はあがる。というのも、みんな年度末の納期で詰め込んでくるのだから、どうしてもそうしたいという事情がある。まあ利益調整の話だけど。
その大事な納期に対して特急料金をもらわないでいると、あくまで無料サービスの一環なので、間に合うかどうかの責任は持てない。こちらとしては努力の範疇。
反対に、納期に間に合わせる対価として特急料金をもらうと、責任が発生する。ただ、適正な特急料金をもらえば、間に合わせるためのコストをかけ、責任を全うすることはできるようになる。
では、特急料金はかからないけど納期責任の発生しない仕事と、特急料金はかかるけど納期責任の発生する仕事、どちらが顧客とより濃密な関係を築くことができるだろうか。
「なんとか無理をお願いして頼み込んだら間に合わせてくれると思う」と「お金さえ払えばきちんとやってくれる」の、どちらが土壇場で頼ってもらえる存在になれるか。
前者は感情的な期待を込めた「信頼」で、後者は実績や評価に基づく「信用」。
金融機関はどちらで融資の可否を判断するか?
顧客はどちらにより確実な担保があると考え、どちらがより確実に自社の企業価値を高めるだろうか?
みたいな。