デジタル広告運用で継続的に成果を出すためにオススメの学習1+3ステップ | デジタルマーケティング
今回はデジタルマーケティングの、特に広告運用をするうえでの学習段階について書いていきます。
■想定する読者
・これから初めてデジタル広告運用を勉強、実践する人
・広告主側として広告運用、管理をする人
・事業を伸ばすためにデジタル広告の効果改善をしたい人
以前、こちらの記事にて「事業を伸ばすデジタルマーケターに求められる要素」についてまとめましたが、
今回はより具体的な、広告運用で成果を出すための学習方法について書いていこうと思います。
※注:長いです
【自分のデジタルマーケティング経験について】
今でこそデジタルマーケティングがどうとか書いていますが、自分自身がデジタルマーケティングと言えるものをやり始めたのは2017年の3月です。
この記事の執筆時点で、デジタル広告の経験はまだ3年ということになります。
その間にやってきたことの一例でいうと、例えば以下のような感じです。
■自分がデジタルマーケティングでやってきたこと
・ROASを前月比で200%改善、かつ広告消化額は300%改善
(消化額は数百万円→3,000万円弱)
・前月比で広告消化額をキープしつつ、ROASを200%改善
・TVCM等の外部プロモーション無しで、毎月1.5億円程度の消化をROAS目標達成しつつ実現
別に成果を自慢したいわけではないのですが、これから書く内容の信憑性のために、あえて実績を書いています。
こういった成果を出す過程では、しばしばデジタル広告の都市伝説とでもいうべきセオリーのようなものと遭遇し、その都度セオリーを無視して成果が上がってきました。
【デジタル広告の”都市伝説”との向き合い】
都市伝説の例としては以下のようなものがあります。
■デジタル広告の”都市伝説”との向き合い
・効果の良い配信面ばかりに出していると「枯れる」ので、ROASだけで見ずにバランスよく配信すべき
→ずっとROAS良い面ばかりに出しても枯れないどころか、良い面に出し続けられることが重要
・広告の数字は統計的に判断すべきなので、効果が良くないからといってすぐに配信を止めるのは良くない(後から良くなるかも)
→悪いと思ったらすぐ止めるのが絶対のルール
・広告はブランドにもつながるから、きれいに見せるべき
→気づいてすらもらえない広告に意味はない(もちろんブランドを壊すようなものはNG)
こういった都市伝説のような話は、すべてが「ユーザーのことを見ていない」というところから生まれていると思います。
【「とにかく顧客のことを見ろ」~経験から学んだこと】
少し話はそれますが、、、自分はサイバーエージェントに新卒入社し、今は子会社であるアプリボットに所属しています。ただ、その前は一度転職してリヴァンプという会社にいました。
自社でも事業経営をしつつ、クライアントの事業を伸ばすための支援をしているような会社です。
そこでデジタル広告をやっていたわけではないのですが、上司から徹底的に教え込まれたのは「顧客を見る」ということでした。
「お前は顧客のことを見てないし、業務理解もできてないから提案も実行計画も薄っぺらいんだ(意訳)」というようなことをひたすら叩き込まれて血肉となった結果、マーケティングのマの字くらいはわかるようになりました。
その経験から、アプリボットに戻ってからもひたすらユーザーのことを考えて広告運用に向き合った結果、この思想が正しいんだと理解できるような成果を出すことができたと思います。
そういった経験に基づき、デジタル広告を学んでいくうえでの適切なステップだと考えていることについて書いていきたいと思います。
【デジタル広告で成果を出すために(序):”広告ではなくユーザーを見る”ということを心に誓う】
いきなりポエムのようなことを書いていますが、大真面目です。
前述した話にもつながりますが、ここの意識が成果を大きく分けるポイントになると思うので、順を追って説明していきます。
デジタル広告の運用現場では、以下のような会話がよくあります。
「この媒体、数字悪くなってきたから止めましょう」
「新しく始めた媒体、最初はよかったけど最近良くないですね」
「以前良かったこの媒体、最近効果良くないですね」
↓
「もっと広告出したいんだけど、効果が見合わない…なんとかなりませんか…」
要するに、「媒体に広告投資した結果が良かったか悪かったか」の話に終始しているというケースです。
この状況に陥ると、たいていの場合は
「効果の良いクリエイティブを横展開してみますか」
「あの媒体を配信再開してみますか」
「この新規媒体があるんですが、試しに出稿してみますか」
といった話の流れになったりします。
が・・・そのアプローチで広告効果が良くなるのは、せいぜい5%~10%といった範囲内の改善に留まります。
それどころか、大した改善ができないまま徐々に広告を縮小していくしかないというケースのほうが圧倒的多数ではないかと思います。
冒頭で紹介したような効果を実現したことがある人は、そんなに多くはないのではないでしょうか。
これはすべて、「広告媒体」のことしか見えていないときに起きる事象です。
寝ても覚めても広告媒体のことを考えて、「Twitterのアルゴリズムが…」「FacebookのAIの学習が…」と思い悩んでいるのに、
その広告に接触するユーザーがどういう状態になっているか、ということは全く議論されないということすらもあります。
しかしながら、
広告を見ているのはユーザーであり、
広告をクリックするのもユーザーであり、
貴重な時間を使ってプロダクトに触れてくれるのもユーザーであり、
売上を作ってくれるのもユーザーしかいません。
ユーザーのことを考えずに広告が上手くいくと考えるのは、奥さんが怒っているのにその理由を考えようともしない夫のようなものです。
「部屋の片づけくらい手伝ってよ!」と怒る奥さんに「じゃあダスキンに掃除たのもうよ」と言ったら、さらに怒るというようなケースはよくあると聞きますが、
根本的なインサイトを把握せずにソリューションばかり提案しても、とにかく的外れになってしまうわけです。
ソリューションは合ってるはずだといくら主張しても、奥さんは永遠に怒り続けるのです。
(我が家はそのようなことはありません、多分)
そういうわけで、これ以降の話を書く前に、まずは「数字を見るのではなくユーザーを見る」という前提の理解が何よりも重要だということを書いておきたいと思った次第です。
以降から、具体的な学習ステップについて書いていきます。
【デジタル広告で成果を出すために①:徹底的に他社を研究する】
まずは基本的な話ですが、他社がどんなことをやっているかを研究するというところです。
どんな配信面に、どんな訴求やデザインで、どのくらいの頻度で出ているのか・・・というのをひたすら調べます。守破離の「守」ですね。
このとき重要なのは「徹底的に」というところです。
単にTwitterやFacebookやいろんなWEBサイトを見て、
「ふーん、こういう広告もあるんだあ」と眺めていても、あまり仕事には活かされません。
いろんな切り口、いろんな仮説をもって配信面を見ることで、他社がやっているプロモーションが見えてきます。
例えば自分の場合、Twitterアカウントを3つ用意して、それぞれプライベート用、ゲームアカウント用、その他調査用という使い分けをしています。
各アカウントに表示される広告の傾向の違いを見ることで、どういうユーザーを狙った広告が、どんな訴求をしているのかを知ることができます。
また、スマホゲームの場合だとゲーム攻略サイトなどがかなりの効果面になるのですが、これもiOS、Androidの違いがあり、さらにアプリ版とWEB版でも表示される広告が異なります。
両OSの端末を用意して、ひたすら同じサイトをアプリ版とWEB版で100回くらいリロードするといった地道な作業をすることもありますが、
とにかく、いろんな切り口で広告を調査していきます。
そうやって他社の事例をひたすら集めていくと、頻繁に表示される広告がわかります。
それが効果の良い広告であるはずなので、その広告の要素を書き出していくなどして、効果が良い広告の傾向を理解していけるわけです。
それを真似すれば、それなりに成果の出る広告運用ができるはずです。
ここで大事なのは、「いきなり自分の頭で考えてはいけない」ということです。
広告担当をすることになると、いきなり自分でクリエイティブ構成を考えたりする人も多い印象なのですが、正直いって”車輪の再発明”でしかありません。
世の成功事例を、まず自分の肌感として理解できるまで調べ抜くというのが、結局のところ成果を出すための最短ルートだと思います。
なお、他社の広告出稿状況を確認できるツールもありますが、対象となるネットワークがあまり多くないので使うことは少ないです。
何より、ユーザーになりきって広告に接触しないとわからないことも多いので、ここは効率を意識せずに、とにかく自分の感覚を磨くことに集中するのが良いと思います。
【デジタル広告で成果を出すために②:ユーザー視点から広告を見直す】
徹底的に調査したら、次は守破離の”破”です。
調査した結果を、自分がユーザーのつもりで評価してみることで、新しい仮説が見えてきます。
ひたすら事例を吸収したうえで、「自分だったらこうする!」というのを考え、実践してみるということです。
例えば冒頭で記載したような成果が出たときは、以下のようなことを考えて実践することで効果が大きく伸びました。
・見た目が整ったクリエイティブが多いけど、もっと”スーパーのチラシ”のような視認性第一のクリエイティブがあってもいいのでは?
・Twitter広告はもっと、宣伝ぽくなくネタっぽいもののほうがいいのでは?
・獲得用の動画広告は短いものも多いけど、30秒以上あったってクオリティが高ければ見てもらえるのでは?
・AIを活用した広告が人気だけど、配信面は自分で決めたほうが効率が良いこともあるんじゃないのか?
こんな感じで、世の中で「効果が出ていそう」な例を元に改善案を出していくことで、仮説が当たったときの成果が伸びやすくなります。
上記のような仮説をコンスタントに出せるかどうかで成果は大きく変わります。
冒頭の事例のうちの一つでは、上記の仮説で生まれたクリエイティブが月に1千万円以上の配信ボリュームを作るということもありました。一つのクリエイティブだけの話です。
実際にはマイナーチェンジでクリエイティブを横展開して効果を継続的に出せるので、こういった気づきがあるかどうかで年間の成果は比較にならないくらいの差になります。
繰り返しになりますが、「いきなり自分の頭で考えてはいけない」です。
とにかく守破離の”守”あってこその”破”です。
型があってこその”型破り”なのです。
それを間違えてしまうと、的外れな施策を量産するだけに終わることは確実です。近道をしようとせず他社事例調査をすることをオススメします。
【デジタル広告で成果を出すために③:プロダクト・ユーザー・広告媒体のことを深く理解する】
ここまでくると、次は守破離の離といきたいところですが・・・
デジタルマーケティング初心者~中級車向けの記事で、そこまで高度なことは書けません。
そもそも自分もそんな境地に至っているとは思っていないです。
”離”の境地にたどり着く方法は皆さんが各自で模索するとして、、、
3つ目のステップは「プロダクト・ユーザー・広告媒体のことを深く理解する」ということだと考えています。
こちらの記事で書いた③⑤⑥にあたる話です。
デジタル広告運用における”守”と”破”ができるようになってきたからといって、いきなり自分の型を作る”離”の段階に進むのは容易なことではありません。
その前段階として、デジタル広告運用の主要ステークホルダーであるプロダクト・ユーザー・広告媒体の理解を深めていくことで、より多くの”破”を生んでいき、成果を積み重ねていくのがよいと思っています。
・プロダクトには、まだ伝わりきっていない魅力があり、それを伝える表現方法があるのではないか
・ユーザーはこういう広告に見慣れているから、この仕掛けをしたら面白いのではないか
・媒体と調整を入れれば、この配信面で一気にシェアをとれるんじゃないか
上記のようなことを考えて実行を繰り返すことで、さらなる成果を生んでいくという段階です。
ここまでくると基本的な考え方はできるようになっているので、あとはひたすら勉強と実践の日々になると思います。
その中で、「これだけの成果を出せたからもう大丈夫だ」と思うことなく、ひたすら目線を高く持ち研鑽を続けていくことで、さらなる成果を生み出し続けることができるようになるのだと考えています。
【まとめ】
①広告媒体ではなくユーザーと向き合うと誓う
②他社事例を徹底調査する。守破離の守
③自分の考えで、あえて違ったことをやってみる。守破離の破
④プロダクト・ユーザー・広告媒体の理解を深め、継続的に成果を出し続けていく
ここまでの話をまとめると、この4つがデジタル広告の学習ステップになります。
広告の運用を担当するというとき、多くのケースでは一つの媒体の運用方法を学んだり、数字の意味を理解するところから始まると思います。
しかし、あえて今回の4ステップを強調しておきたかったのは、
どれだけ広告媒体に詳しくなろうと、それだけでは成果は伸びない
ということを伝えたかったためです。
向き合っているのは広告ではなく、あくまでその先にいるユーザーであり、
売上を作っているのも広告ではなく、その後ろにあるプロダクトです。
この基本的な構造を考慮せずに広告の仕組みにだけ詳しくなっても、それだけではマーケティングとは呼べません。
特にデジタルマーケティングの場合、結果が数字で見やすいがために、このことを忘れて数字=広告のことしか考えられていないケースは多いと思います。
デジタルだからといって、マーケティングの本筋を見失わないようにしたいと思う次第です。
個人的にも、デジタル中心のマーケティングにおいて成果を出すためのメソッドを日々模索していきたいと思っています。
今回は以上です。