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「プロダクトが悪かった」は敗北宣言である~マーケターが事業を動かすための4ステップ~ | マーケターの心構え論

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今回は少し抽象度が高い記事ですが、重要だと思っていることを書きます。

主に想定しているのはアプリやWEBサービス、小売り流通などダイレクトな成果が得られやすいデジタル中心のマーケターですが、どんなマーケティングにも言えることだと思っています。

【マーケターの「成果」とは何か】

そもそもマーケターとは何かという話ですが、一旦ここでは「事業を伸ばすためのあらゆる手段をつくす人のこと」と定義します。

例えば「自分はデジタル広告運用を担当してるマーケターです」という人は、分業の結果として広告運用をしているのであり、
根本的には「事業を伸ばし、売上利益に貢献する」がKGIのはずです。

先行指標として広告施策のCPAやROASを追求していることが多いものの、最終的に売上利益につながっていなければ意味はありません。

どれだけCPAが良くとも、ROASが目標達成していようとも、事業の成果が出ていなければ本質的にマーケターの成果とは呼べないということです。

【”砂漠で砂を売る”ということの意味】

よく言われる例えとして、「砂漠で砂を売るのがマーケターの仕事だ」という話があります。
端的にいえば、プロダクトがどうであれ言い訳せずに売れるように考えろ、ということです。

例えば缶コーヒーなどは、味の違いがわかる消費者はほとんどいない中で、数十年前に出たプロダクトを差別化するブランド戦略を作って売れるようにしていくといったアクションが求められます。
例えるなら、砂漠の砂に対して「ブランド」という価値を付加していくわけです。

これが(特にデジタルの)事業のグロースという話になると、ブランドが重要なのもさることながら、そもそものプロダクトの変更・改修というレベルまで踏み込んでいく必要があります。場合によっては、プロダクトの中身自体を大きくピボットする提案を、マーケターから上げていく必要が出てきます。

それはもはや「マーケター」という言葉から一般的に想像される動きからは大きく逸脱していると感じる人もいるかもしれませんが、現実的にはそれが求められます。
特にデジタルの事業においては以下のように、マーケターがプロダクトに関わるチャンスが大きいというのが最大の理由です。

<デジタルの事業において、マーケターがプロダクトを動かしやすい理由>
・プロダクトの変更、改修が比較的容易
・上記に加え、基本的にプロダクトはブランド価値よりも「便益」で差別化されるため、成果をスピーディに出しやすい
・(ブランドという資産が確立されているケースが少なく、方針転換の意思決定をしやすい)
・データ取得が比較的容易で、ファクトを集めやすい
・これらの特性から、テストマーケティングが比較的容易

簡単にいえば、「やりたいことを実行し、検証しやすい」ということです。

もちろんリアルの事業であっても同じスタンスが求められると考えていますが、特にデジタルの事業についてはこの考え方を強調しておきたい、と思っています。

【言い訳せずに事業と向き合うのがマーケターの役割】

マーケターがプロダクトに限らず、組織全体の成果視点で動くことが必要だというのは、こちらの本が非常にわかりやすいと思います。

もちろんこの本のケースではCMOという立場から組織を動かせる状況にあったので、誰もがこう行動すべきという話は現実的には難しいと思います。

しかしながら、成果が出そうな状況で成果を出すというだけではマーケターとしての価値はなかなか高まりません。
砂漠で砂を売るとは言わないまでも、売れていないものを売れるようにすることこそがマーケターの大きな存在価値になります。

厳しいことを言えば、例えば「デジタル広告の担当者だから、広告予算がないとできることがない」というのはマーケターとしての敗北宣言であり、
それはマーケティングではなく、”マーケティングにおけるプロモーション領域の、デジタル広告という一つのビジネスプロセスの担当者”としての仕事しかできていないということです。

広告予算がなければ、予算がとれるようにすることがマーケターとしての仕事であり、そうでなければ広告予算をかけない形での事業成長の提案をすることが、マーケティングに携わる人間が考えるべきことだと思います。

【マーケターがプロダクトに入り込むために必要な4ステップ】

これまでの話を踏まえると、マーケターはプロダクトの在り方そのものについての提案が求められる職種だということがわかります。
それでは、マーケターが実際にプロダクトの改修・改善などに関わるためにはどうすればよいのでしょうか?

ここでは、自身がマーケターとしての立場から売上利益に貢献してきた経験をもとに、そのためのステップについてまとめたいと思います。

■プロダクトに入り込むための4ステップ
①プロダクトのことを深く理解する
②プロダクト改修や改変にかかるコスト・リソースを理解する
③プロダクト改修・改変による事業インパクトを可視化する
④組織の意思決定プロセスを理解し、決裁をとる

細かい話はあるのですが、大きくは上記の4点が必要になると考えています。

①については言わずもがなですが、特に②と④の部分は経験が必要になってくるポイントかと思います。

例えばプロダクトの改修・改変にかかるリソースがそこまで大きくなくとも、改変部分について非常に強い想いをもっている担当者がいたとします。
すると、作業自体は数日で終わるレベルのものであったとしても、その意思決定には慎重さが求められます。

生々しい話ですが、その部分を担当している人の思い入れが強く、かつ組織内での影響力の大きい人だったりすると、
いくら正しいように思われる改修・改変であったとしても、その人やその周辺の人の反対にあってしまい実現できないということもよくあります。

また、事業インパクトが十分であり、かつ勝算も十分にあるように思える提案であっても、会社の状況によっては容認できないというケースも多々あります。
例えば上場企業だと、「キャッシュは十分にあるが、どうしてもその期の赤字幅は減らさなければならない」といったような理由で実行できないということもあります。

それを「このチャンスを逃すなんて、うちの会社はわかってない!」と嘆いていても意味はありません。
そういった事情をあらかじめ理解し、経営方針とシンクロしたプランを作るという以外には解決策はないわけです。

【まとめ】

今回は心構え論のような話を書きました。

特に最近は、自分自身の動き方としてプロモーションやデータ分析に留まらず、プロダクトの中身そのものの議論に入ることが多かったので、
この機会にまとめてみようと思いました。

誤解されないようにしたいのは、
「この考え方を持っていないと、マーケティングに関わっていても事業インパクトは出せない」ということ"ではありません"

どんな業務であっても、それぞれが事業の維持・成長のために重要な業務であることは間違いありません。

ただ、”この考え方を意識することで、どんな状況であっても安定的に成果を出せる人材になれる”ということを伝えたいと思ったのが、このnoteを書いた理由です。

特に目の前の成果が伸びなくて悩んでいる(デジタル)マーケターの方は、この視点をもつことで一気に動き方が変わることも多いのではないかな、と思います。自分がそうでした。

今回は以上です。

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三浦 慶介 | 事業グロースのひと
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