「モノ消費」と「コト商品」。現代は意味世界
「モノ」から「コト」消費へ。という言葉はマーケティングの世界にいなくても耳にタコができるほど聞くフレーズです。本記事ではこの「モノからコト」を「物質世界から意味世界へ」という切り口で深堀りしてみたいと思います。
そもそも「モノ消費」、「コト消費」とは?
そもそもの定義からまずは見ていくことにしましょう。
そんなの当たり前に知っていると言う人は飛ばしてください。
「モノ消費」とは、製品やサービス事態を消費することを指します。言い換えると、代金を支払って手に入れる製品やサービスのことです。例えば、カメラが欲しいときにはカメラの代金を支払って手に入れますね。モノ消費の時代は「機能性」に消費者の注目は注がれます。
カメラの機能が前のモデルより良くなったかどうか、という具合にです。
一方で、「コト消費」とは、製品やサービスを利用した後にどんな意味があるのかという点に注目がされます。引き続きカメラを例に取ると、カメラを買った後に写真を撮影し、皆でその写真を見て思い出を懐かしむという、カメラが生み出すその後の世界観などが挙げられます。つまり、モノを消費する中で得られる経験のことです。
消費者はモノを手に入れただけで満足はせず、その商品を使って得られる経験の部分を重視するようになったということです。
もちろん、コト消費になったからと言って、モノが重要ではなくなったかというとそうではありません。あくまでも、モノがあってのコトと捉えておく必要はあります。
物質世界と意味世界
モノ消費とコト消費の定義がわかった上で、本題に入りたいと思います。
私は現代は「意味世界」にいると思っています。
私が定義する「意味世界」とは、人々が意味を探し求め、深く知りたいと思う欲望を持つ世界のことを指しています。
「物質世界」とは「意味世界」の反対の立場にあり、人々が意味より物質性を求めている世界のことを指しています。対して意味は求めていない状況です。
まさに、我々は「意味世界」にいるんだと思っています。
それでは、なぜ私がそう思うのかを次項でまとめてみることにしましょう。
なぜ現代は「意味世界」なのか?
私が現代は「意味世界」であると思う理由に以下の事象があげられます。
1. マーケティング用語で「モノからコト消費」というワードが流行る
2. 透明性を求める人々
3. 音楽の歌詞がいつでも見れる
4. 喧嘩を忘れた人々
5. 仕事に意味がないとやらない人々
6. 個人発信が流行る世の中
これらのワードを見ただけで、確かに今は「意味世界」にいるなと、感じた方は私と同じ感覚を持てているのだと思います。
上記の理由について、過去と現代を比較すれば、現代が意味世界にあるというのは一目瞭然ではないでしょうか?
透明性はもちろんあるに越したことはないですが、透明性が担保されることは、どこまで我々の世界に影響するでしょうか?
音楽は音で楽しむ時代があったはずです。なのに今は音より歌詞が前に出ている気がします。携帯でもすぐに歌詞にアクセスでき、歌詞がディスプレイに表示されるスピーカーなども発売されるほどです。
喧嘩をすることに深い意味なんてなかったはずです。抑えきれない感情があったから喧嘩をしていたんだと思います。現代は喧嘩をすることにも意味が必要な気がします。
仕事においても同様のことが言えそうです。仕事にも意味を求める時代です。自分にとってどういうメリットが有るのか、なぜこの仕事をするのか?
昔は、そんなこと考える余裕もなかったことでしょう。
個人発信が流行る世の中においては、このようなnoteやYoutubeなどで自分の思うことを自由に発信できる様になりました。実はこれらもすべて意味の世界にあることだと思います。言葉や映像に自分の世界観を表現して、意味をもたせているからです。
ちなみに、「物質世界」と「意味世界」でどちらがいい悪いの話をしているのではありません。今が意味世界寄りの時代であるということを伝えているだけです。
この意味世界は日本だけでなく中国で同様に起きているように思えます。
中国も意味世界に突入している
中国人といえば爆買のイメージが強いと思いますが、近年では爆買は収まる傾向にあります。では、訪日中国人は日本に何をしに来ているのかというと、日本でしかできない体験をするためにやってきているのです。物資的な商品を購入するためだけに日本に訪れる中国人は減少しています。
それでは、中国人が物質世界から意味世界に移行した理由を考えてみることにしましょう。
答えは簡単です。当時はモノがなかった。だから物質的な欲望が強かった。
しかし、今はモノに溢れていて自国でも良い商品を購入できるようになりました。人はモノを手に入れただけで満足するほど、欲が浅い生き物ではなさそうです。モノを手に入れた後は、意味を求め始めるということです。
だから、マーケティングに携わる人たちはこの「コト消費」をいかに生み出せるかに注目をしているわけですね。
意味世界を理解するのは難しい
意味の世界に生きる人たちを理解することは容易ではありません。
物質欲が強い世の中では、機能性や価格、商品の目立ち度や手に入りやすさが重要な購入ファクターになりますが、意味世界の消費者はそれらの要素だけでは購入に至らないケースがほとんどです。
つまり、現代のマーケティングは本当に難しくなってきているということです。消費者の一人一人が違った意味世界を持っていて、どのようにその意味を見出させるかはマスマーケティングでは叶えることが難しい時代です。
しっかりとN=1(1人の消費者)を見つめ、理解し、マーケティングを行うことが重要であると考えられます。
中国のマーケットは大きいですが、「意味世界」に中国もいるということの理解なしで、物流やモノ主導のマーケティングだけをしていては成功することが難しくなるでしょう。
まとめ
「物質世界」、「意味世界」という少し抽象的なワードでお話をしてきましたが、意味を求める世界でのマーケティングは困難を極めます。
だからこそ、消費者の理解は重要であると考えられます。
せっかくいい商品を作っても、この意味の捉え間違いを起こすと商品は売れません。消費者を理解することからマーケティングの旅は始まります。
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