アンケート調査のやりかた _初学者向け
以前の記事で、インタビュー調査のやり方について書きましたが、今回はアンケート調査のやり方について記載してみようと思います。こちらの内容は完全初学者の方に向けて書かれています。
アンケート調査の基本
アンケート調査を実施するときも基本的に事前準備としてまとめる内容はインタビュー調査と変わりません。
どんなデータが無くて困っているのか?
どんな背景から調査を行う必要があるのか?
調査で達成したい目的は何か?
調査目的を達成するためにどのような論点が考えられるか?
調査が終了し手元にデータが集まったらどのようなアクションが考えられるか?
まずはこれらを箇条書きで大丈夫なので、しっかりとまとめましょう。
アンケート調査は量的調査とも呼ばれ、あなたが検証したい内容を数値で表してくれます。100人中〇〇人が●△■と回答している。
男性と女性では●●%も意識の差があるようだ。
テスト品AはBに比べて使用意向が高い。などのようにです。
深堀りを行いたい場合はアンケート調査ではなく、インタビュー調査を用いましょう。
〜アンケート調査の設計、対象者設定〜
まずは対象者の条件を決定するところから始めましょう。
対象者条件は皆様の仮説を検証するためにはどんな人に聞くべきかという視点から設定します。よく使われる属性項目を載せておきますね。
・居住エリア
・性別&年齢
・職業
・未既婚
・子供有無
・個人or世帯月収(年収)
・該当商品カテゴリ購入時の意思決定者及び使用者
・同業者排除(ライバル会社に何を調べているかわからないようにするために)
・その他条件
└その他条件はテーマによって異なります。ブランドの満足度を聴きたい場合はブランド使用者やブランド中止者を呼んで来なくてはなりません。
どのような条件にするかは何を調べたいのかによるので、都度変わります。
ここまで決めたら、次は割付というものを決めていきます。例えば100人に対してアンケート調査を行うとしましょう。
この100人の内訳をどう設定するかを決めるのが、割付と呼ばれる作業です。
割付は以下のような表を作って整理します。以下の例はとてもシンプルな割付例です。
120人を割付しています。
この表の中の一つ一つの枠組みを【割付セル】と呼びます。
この場合割付セルの数は8セルですね。120人を8セルで均等に割り付けると1セルは15になります。また、今まではわかりやすいように「人」で表記していましたが、正しくは
サンプルです。Sample Sizeの略で ss と記載 したり、s とだけ記載したりします。
誤:120人
正:120 ss / 120 s
さて、ここあたりで勘がいい人はこのような疑問を持ったのではないでしょうか?
1セルあたりの人数は単純に全体サンプル数を割付セル数で割ったものでいいの?と。
実はこのサンプル割付には2つの方法があるのです。ではその2つの方法を見ていきましょう。
1. 均等割り付け
均等割り付けは上述の通りのやり方です。セル毎に均等にサンプル数が割付けされています。
2. 構成比割付
構成比割付は均等にはなりません。セル毎に異なるサンプル数が割付けされます。
理由はシンプル。特定の構成比に基づいて、セル割付が決まるからです。
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均等割り付けと構成比割付の違いは分かったけど、どうやって使い分けはどうしたらいいの?
ごもっともなご意見ですね。では次はその使い分けについて見ていきましょう。
均等割り付けは、セル間の比較を主に行いたい場合に使用されます。
セル毎に割付数が異なると、全体の数が異なるので単純な比較はし辛いですよね。
男性20代と女性20代を比較して結果を見たい場合などには有効なやり方です。
後は、ブランドAの利用者とブランドBの利用者を比較したい場合なども有効ですね。
構成比割付は、全体のサンプルサイズに意味をもたせる際に使用されます。
例えば、100サンプルに対して「お酒に関する意識調査」を実施するとしましょう。
対象者は全国の20〜69歳の男女。週に1回以上自身でビールを購入し飲用する人とします。
このサンプルに新商品のコンセプトを2案提示し、どちらの案がより受け入れられるのかを評価する調査を実施するとしましょう。
この時、均等割付けを用いるのか、構成比割付を用いるのかを考えないといけません。
もし、先程の例の用に男性20代と女性20代を比較して結果を見たい場合は均等割付のほうがよいでしょう。
しかし、皆さんがこのコンセプト調査の結果をベースに商品がどれくらい売れるのかの販売予測を行いたいとしたら、均等割付ではだめなんです。理由がわかりますか?
実際に商品を全国で発売する場合、世の中の人口構成は少子高齢化で20代や30代などの若者の人口より60代以上の人が圧倒的に多いはずです。また、お酒を飲む量も世代によって異なるはずです。市場は均等で構成されていませんよね?もし、均等割付けで調査を実施し、その結果を鵜呑みにすると、どうなるのか。みなさんもうおわかりですよね。そう、世の中を反映していない結果となるわけです。実際には20代の飲酒人口が少ないにも関わらず、20代の人達の意見と60代の人たちの意見の多さが均等になっている状況です。
このような問題を解決するために、均等割付けではなく、人口構成比と飲用率などの条件に基づく対象者の出現比率に基づいて割付を作る必要があります。
何を目的とした調査なのかによって、割付方法が変わると覚えておいてください。
〜アンケート調査の質問の仕方〜
次はアンケート調査で質問を作る方法について述べていきます。聴きたいことを単純に並べたらいいだけというものでは有りません。
アンケートの質問を作る際に気をつけたい点は枚挙に暇がないので、代表的なものをポイントとしてあげておきます。
聴く順番は【行動】→【態度】→【意識】の順番で行うこと
一つの質問に2つの質問を入れないこと(結構あるミスです)
設問数は多くても30問程度。それ以上は答えたくなくなります
排他選択肢と呼ばれる、逃げの選択肢を忘れずに用意すること
└以下から一つだけ当てはまるものをお選びください。という質問があったとします。
当てはまるものが一つもない場合、排他選択肢がないと何を選べばいいかわからなくなります。つまり、"その他(自由回答)"や"当てはまるものがない”などの逃げの選択肢を必ず用意しておきましょう。結構これがないアンケートを見かけますよ。
紙用紙アンケートなどの場合は、特定の設問へのスキップなどがしづらいので要注意。
└Q2:Q1で〇〇とお答えになられた方にお伺いします。〇〇じゃなくて✕✕と回答した場合Q2は答えなくてよいのですが、紙アンケートの場合はプログラミングができないので、明記しておかないと回答されてしまう場合が有ります。
まだまだありますが、本当にたくさんありすぎて書ききれないので、アンケートを作りたい人はご相談ください。
簡単にアンケートを作るなら、以下のサイトがおすすめですよ。無料版もありです。
自分が使いやすいなと思うものを選んでください。
●クエスタント(Questant):日本最大規模の調査会社のセルフリサーチサービス
●SurveyMonkey:世界で使われているセルフリサーチサービス
●Google Survey
アンケートの回収についてもサービスとして行ってくれるサイトもあります。
自分で集めるのは大変だから、お金はかかるけどおすすめです。
〜アンケート調査の分析の仕方〜
アンケート調査が終わったら、次は分析をしないといけません。
もちろん複雑な統計的な手法もありますが、ここでは誰でもできるシンプルな結果の見方をお伝えします。
全体値をベースにアンケート結果を見てみる
└100ssで実施した場合、100ssで結果を見るということです。全体としてどのような会という傾向があるのかをまずはみましょう。
割付セルを軸にしてアンケート結果を見てみる
└全体値と見比べながら、割付セルごとにどのような特徴があるのかを見ましょう。
設問と設問を掛け算して回答を見てみる
└Q1で〇〇と回答した人は、Q3でどんな回答傾向にあるのかなどをみてみましょう。
平均値、最大値、中央値などをみてみる
5段階評価(とても当てはまる〜全く当てはまらない)などの回答は上位2つと下位2つの選択肢を合算してみましょう。トップ2集計、ボトム2集計などといいます。
下記の例でいうと、1と2がTOP2で、4と5がボトム2です。
1.とても当てはまる
2.やや当てはまる
3.どちらとも言えない
4.あまり当てはまらない
5.全く当てはまらない
ここですべてを解説することには無理があるので、気になる人はご相談くださいね。
どのような分析をするにしても、まず必要なのはどのような視点で結果を見たいのか。
ということです。そのうえで、最適な分析手法を選んでください。
まとめ:
今回はアンケート調査のやり方について書きましたが、これを読んだからといってすぐにできるようになるものではないと思います。アンケートは奥が深いので、疑問が残った方はいつでもご質問ください。