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ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー) - 思考の囚われから解放されて軽やかに生きる


ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)という言葉を聞いたことはありますか?

これはマインドフルネスを基盤とした認知行動療法の一種ですが、メンタルの不調がなくても、人生をより良くするセルフコーチングの手法として非常に役立ちます。

ACTを学び、実践すると、思考や感情に振り回されず、より自由で充実した人生を歩めるようになります。具体的なメリットは以下の通りです。

  • ストレスや不安に飲み込まれにくくなる
    ネガティブな感情を無理に消そうとせず、上手に付き合えるようになる。

  • 自分らしい生き方ができる
    他人と比較するのではなく、自分の価値観を大切にし、それに基づいた行動を選択できる。

  • 柔軟な対応力が身につく
    予測不能な困難にも冷静に対処できるようになる。

  • 幸福感が高まる
    「今、この瞬間」に意識を向け、日々の小さな幸せに気づける。

僕のエピソード

僕はADHD気質が強く、目の前のことに気を取られやすい反面、何も聞こえなくなるほどの「過集中」に陥ることもあります。

仕事でこの「過集中」が発揮されると高いパフォーマンスを出せますが、怒りや後悔、ネガティブ思考に囚われたまま「過集中」してしまうと、一種の地獄です。

実際、ADHDの人は一般の人と比べて自殺率が高いと言われています。研究によると、ADHD患者は「外因死(事故、自殺、意図しない薬物の過剰摂取など病気ではない原因による死亡)」のリスクが約2倍高いとされています(Barkley et al., 2006)。

僕がACTに取り組むようになったのも、このネガティブ思考をどうしてもコントロールできなかった経験があったからです。

普段はリフレーミングで対処できても、強い衝撃的な出来事に対する怒りや悲しみが、時間が経っても突然湧き上がることがありました。まるで、引き出しに仕舞っておいたネガティブな感情が突然ボンっと開いて、中身が飛び出してくるような感覚です。それが数ヶ月も続いちゃったんですね。

「このままじゃ、人生の貴重な時間が無駄になってしまう。」

そう感じた僕は、どうにか抜け出したくていろいろ調べていたらACTに辿り着きました。
実際、ACTを実践することで、以前のように苦悩に囚われることがほとんどなくなり、自由に生きられるようになりました。怒れたりイラッとすることも断然少なくなり軽やかに生きられている実感があります。
この記事では、ACTの基本的な考え方と、心理的柔軟性を高める「6つのコアプロセス」を紹介します。

ACTとは?

ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)は、「思考や感情を排除せず受け入れながら、自分の価値に沿った行動を選択する」ことを重視する心理療法です。

その目的は、苦痛を完全になくすことではなく、心理的柔軟性(Psychological Flexibility)を高めること。つまり、どんな状況でも自分の価値に基づいた行動を取れるようになることが重要です。

僕がACTを学ぶ上で大きく影響を受けたのが、ラス・ハリス(Russ Harris)の著作です。彼はACTを世界に広めた第一人者の一人で、特に『幸福になりたければ幸福になろうとしてはいけない(The Happiness Trap)』は、ACTを実践するためのわかりやすい入門書です。

ACTの6つのコアプロセスは、順番通りに実践するものではなく、ダンスのように状況に応じて柔軟に活用することで効果を発揮します。

ACTの6つのコアプロセス

ACTでは、心理的柔軟性を高めるために、6つの重要なプロセスを取り入れます。

1. 脱フュージョン(Defusion)

私たちは、しばしば自分の思考を「事実」として受け止め、それに囚われてしまいます。脱フュージョンとは、思考と現実を切り離し、「これはただの考えに過ぎない」と気づくことで、思考に振り回されなくなる技術です。

2. アクセプタンス(Acceptance)

人は苦痛や不快な感情を排除しようとしますが、ACTではそれらを「そのまま受け入れる」ことを推奨します。ネガティブな感情と戦うのではなく、それを受け入れながら行動することで、より自由になれるのです。

3. 今ここへの接続(Contact with the Present Moment)

マインドフルネスの要素を取り入れ、「今、この瞬間」に意識を向けることを重視します。過去の後悔や未来の不安に囚われるのではなく、今の体験に集中することで、充実した人生を送ることができます。

4. 文脈としての自己(Self-as-Context)

私たちは、「自分はこういう人間だ」と固定観念に縛られがちです。しかしACTでは、「自分は思考や感情の観察者であり、それに縛られない存在」と捉えます。この視点を持つことで、自己批判に苦しむことが減り、柔軟な自己認識ができます。

5. 価値の明確化(Values)

価値とは、「自分が本当に大切にしたいもの」です。目標とは異なり、価値は達成するものではなく、人生の方向性を示す指針となります。ACTでは、自分の価値を明確にし、それに沿った行動を取ることを重視します。

6. 価値に基づいた行動(Committed Action)

価値を明確にした後は、それに基づいた行動を取ることが重要です。たとえ困難や恐怖があっても、価値に従って行動を続けることで、充実した人生を歩むことができるのです。ACTでは、小さな一歩からでも始めることが大切だとされています。


まとめ

ACTの本質は、「思考に囚われず、ありのままの自分を受け入れ、価値に沿った行動をすること」です。

この6つのコアプロセス(脱フュージョン、アクセプタンス、今ここへの接続、文脈としての自己、価値の明確化、価値に基づいた行動)を柔軟に活用することで、人生の困難に直面しても自分らしく行動できるようになります。

また、これらのプロセスは固定された順番で実践するものではなく、状況に応じて適切なものを選び、柔軟に活用することが重要です。

あなたが本当に大切にしたい「価値」は何ですか?
それを明確にし、日々の行動の指針として、後悔のない人生を歩んでいきましょう。

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