TSMCに死角は?
半導体企業の代表格の、みんな大好きTSMCが先日通期(一年間)の業績を公表しました。数字としては昨年ほど良くはありませんが、許容範囲といったところでしょうか。特筆すべき点は、製造業で営業利益率が40%を超えているところです。簡単に言えば、めちゃくちゃ儲かっています。
利益に対する税率も15%程度の低位で推移していたり、個人的にはやや負債が多いかなとも感じる以外は財務諸表的にはこれといった死角は見当たらないようです(もちろん粉飾等がないという前提ですが)。あえて考えられる死角を挙げるとすれば、地震等の災害や中国の台湾侵攻ぐらいでしょうか。ちなみに万が一侵攻開始となると、沖縄や九州に台湾からの避難民が押し寄せると想定されているようです。
製品ジャンル別では、直近四半期ではかなり伸びていましたが、年間で見ると意外にもAI等のデータセンターで使われる高速処理向け製品(高效能運算)の伸びはほぼゼロ、スマホ向け製品(智慧型手機)も-8%と低調のようでした。今年のNVIDIAの快進撃を考えると合点のいかない箇所かもしれません。(物聯網=IoT向け、車用=車載向け、其他=その他)
回路の長さ別では、2023年の主流製品は5ナノメートルですが、3ナノメートルも登場して徐々に割合を増やしています。流れ的には、「Rapidusさん、付いてこれるかな?」という感じの余裕があると思います。
決算発表を受けて直近四半期の伸びを好感して翌日の株価は窓を開けて急騰したようですが、業績に対する株価水準は高くもなく、個人的には良い感じだと思います。日本から台湾市場の個別株を購入できるとは思いませんが、NYSE(ニューヨーク証券取引所)にADRとして上場してるのでご興味のある方は検討してもよいかもしれません。
現会長の劉徳音さんが今年の夏にtsmcを退任しますが、No.2の魏哲家さんが引き継ぐ予定なので、何も起こらなければ取締役会の体制移行もすんなりといくと思われます。
☆了☆